放射性物質で汚染された土を「再生利用」する??
今、環境省のトップは、言わずと知れた小泉進次郎さんです。若くて端切れがよくてイケメンで大人気です。私も期待しています。
小泉進次郎さんは、環境大臣なので、とりあえず環境省がやることに全ての責任をもっています。つまりは、環境省がやることは小泉環境大臣がやっていることと同じです。環境保全のために、ぜひ頑張ってください!
「除去土壌」って何か
ところで、その環境省が、「除去土壌」の「再生利用」を進めてようとしています。かなり長い間この議論をしています。問題百出です。
その議論は、長くなるのですっ飛ばして、「除去土壌」の「再生利用」とは一体どういうことなのか、ごく簡単にお話しします。
なにごとも、物事を正確に理解してから考えましょう。まずはおさらいですが、「除去土壌」(=除染土、汚染土)は、「きれいになったほうの土」ではありません。土地をきれいにするために、剥ぎ取った「放射性物質で汚染された土」のことです。(※どれくらい汚染されているものなのかは、ややこしくなるのでまたお話しします。)
なので、国・環境省(=小泉進次郎さんがトップの省庁)がやろうとしている「除去土壌」の「再生利用」とは、要するに、「放射性物質で汚染された土」を「再生利用」するっていうことです。
「再生利用」って何?
そこで、「再生利用」って何?ってことになるわけですが、「再生」といっても、放射性物質を取り除くわけではありません。
そもそも、取り除けないので「除染」して剥がしてきたわけです。放射性物質を簡単に取り除けるのなら、最初から誰も困らなかったでしょう。
えー、「再生」って言ったら、元の土に再生されると思ってたよ〜、詐欺じゃん、と普通考えるでしょう。私もそう思いました。国がやることを甘く見すぎてましたね。ちゃんと調べないといけませんね。
で、再生ですが、環境省さんは、写真をだして説明してます(スクショで紹介しますが、ぜひサイトにいってみてください。)。
※煙幕張ってめちゃわかりにくくしてますが、環境省さんのサイトはこちら。
はい、写真見ても、わけわかんないですね。
ここでポイントは、いろいろやっていても、結局は、放射性物質を取り除いてるわけじゃない、ということです。
じゃ、何してるかというと、袋から出して、ゴミをとって、ふるいにかけたり、めちゃ汚染されてる部分を取り分けたり、(分量が多いので)かさを減らしているわけです。何度もいいますが、「放射性物質で汚染されたまま」です。
このことを「再生」と言ってます。・・・・「言葉の使い方が間違ってないか?なんも再生してないやんけ」って思った人もいるかもしれません。その心の中のツッコミは正しいです。ツッコミをいれた貴方は正常です。
というわけで、
こういうふうに「再生」されると(・・再生してませんが)、「除去土壌」(放射性物質で汚染された土)は、
「再生資材」と名前を変えます!
見た目は、ゴミを取り除いた土なんですが、要するに、放射性物質で汚染されたままの土です。それが「再生資材」です。この「再生資材」を「利用」するのが「再生利用」です。
で、環境省は、こんなふうに説明してます。一読してわかりますか?
(※環境省(2016)「再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方について」の一節です。)
まとめます
「除去土壌」の「再生利用」とは、つまりこういうことです。
1)東京電力が、広い地域を放射性物質で汚染しました。それで皆が困っています。
2)放射性物質は取り除くことができないので、土地から、「放射性物質で汚染された土」をはぎとりました。はぎとった「放射性物質で汚染された土」が「除去土壌」です。
3)「除去土壌」からゴミをとったりすることを「再生」といいます。放射性物質を取り除いているわけではありません。(そもそもできません)
4)そして、「除去土壌」は「再生資材」に名前を変えます。
5)環境省は、この「再生資材」(放射性物質で汚染された土)を「利用」することを進めています。
※じゃ、いったいどれくらい汚染されてるものなの?、何に使うっていうのさ〜、という話はごちゃごちゃするので省きました。また次の機会にお話しします。
※※このことを外国で、関係者向けに発表したら唖然とされましたよ。わけわからん、チェルノブイリ後の旧ソ連かよって言われちゃいました。
※※※以上はものすごく簡単に説明しています。詳しく知りたい方は、『科学』(岩波書店)2020年3月号に寄稿した拙著を読んでみてください。でも、noteのほうが読者は圧倒的に多いと思いますが・・。