UIデザインを成功させるために、失敗を恐れずサイクルを回す
自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード ME」のUIデザイナーの池内です。この記事は、UIデザインを成功させるには、失敗を恐れず繰り返し改善サイクルをまわしたほうが良いという内容です。主にインハウスのUIデザイナーの方の参考になればと思います。
世界は複雑だから、失敗は必ず起きる
これまで様々なUIをデザインをしてきました。しかし、長い期間をかけてデザインした機能がユーザーから不評だったことは一度や二度ではありません。多大なリサーチコストを割き、多くの同僚にフィードバックをもらってブラッシュアップしたにも関わらずです。
どんなに頑張っても、失敗することはあります。世界は私たちの頑張りを忖度してくれません。
この世界は複雑すぎて、何が要因で成功するか、失敗するかは世に出してみるまでわかりません。どんなにリサーチしてもすべてを把握することはできません。
どんなにがんばってデザインしても失敗することがあるならば、失敗する可能性を前提にデザインするしかありません。でもそれは悪いことではありません。失敗する可能性を考慮したほうが、結局は最後に成功する可能性が高くなるのです。
成功させるにはとにかくサイコロを振る
プロダクトや企画は、世に出すまで成功するか失敗するかはわかりません。であれば、とにかく早くそれを世に出すことです。もし失敗すれば、また新しいプロダクトや企画をスピーディーに世に出すだけです。これを繰り返すと、いつかは成功します。
サイコロを1回振ったとき1の目が出る確率は約16%です。しかし、10回振れば、1の目が1回以上でる確率は約84%になります。
承認フローを複雑にするほど、成功は遠ざかる
サイコロを振る回数が成功の秘訣であるならば、サイコロを振る回数を減らす要素は減らすに越したことはありません。
しかし、組織が拡大しステークホルダーが増えるほど、承認フローは複雑になっていきます。みんな良いものを作ろうと思うあまり、失敗を過度に恐れるようになりがちです。しかし、承認されたからと言って、それは成功を約束しません。
あまりにもサイコロを振る回数が少ない状況であるなら、今の承認フローが本当に適切なのかを考え直したほうがいいかもしれません。
もちろん、発電所や病院などの命に関わる機器や、お金や個人情報に関わるものなど、個人に重大な被害をもたらす可能性があるものは厳重なチェックが必要です。
しかし、失敗したところで上記のような甚大な被害のないもの、たとえばちょっとしたボタンの配置や文言の変更などで、厳重な承認フローが必要でしょうか?
そのリサーチ、本当に必要?
過度なリサーチも要注意です。リサーチしようがしまいが、その次のアクションが変わらないなら、そのリサーチはまるごと不要かもしれません。そのリサーチによってネクストアクションがどう変わるのか、逆算してリサーチを設計するのが良い方法です。
仮説を確かめるためにリサーチすることもありますが、そのリサーチにかかる期間より、実際に開発してリリースするまでの期間が短いなら、さっさとリリースして検証したほうが手っ取り早いかもしれません。
サイコロをたくさん振るには
細かく切る
とにかく大きなリリースは可能な限り避けて(仕方ないことも多いですが)、細かくわけてリリースすることです。
ABテストする
たいていの施策はABテストすればリスクを避けられます。施策の実施可否の判断のハードルも下がります。
一つのやり方に固執しない
あるやり方に何度も挑戦することもいいですが、行き詰まったら別のやり方を模索したほうがいいかもしれません。
この記事は以上です。参考になればうれしいです。