ヘルメットメーカーのこだわりから、Made in Japanの心を知る
東京モーターサイクルショーに行ってきた。
いろいろなオートバイや、その付属品含めて実物を見られるのはとても大きい。
完成車メーカーはかっこいいデザインや、性能でどこまでライダーの思いを実現できるか。
部品メーカーとしては、その技術を支えることや、その基本となる本当の基礎部分を担当し、すべてを安全のためにどこまでも技術を追求していく。
さらにその部品を支えるメーカーや、サービス面としての異業種の参入含めて、色々なアイデアを持った会社が参戦。
これら完成車メーカーの思いや、それを支える部品メーカーがどのような心で製品を作っているのかということを直接聞くことが出来る。
心を躍らせる、ワクワクさせるということにおいて、2輪車はとても素晴らしい夢を持っていること、ブースの説明員そして参加者一人一人からその熱気を感じることが出来た。
今回特に勉強になり、とても素敵だなと思ったのは、ヘルメットメーカーのSHOEIとARAI。
他にもOGK KABUTOやAGVなどのメーカーもあるが、個人的に「オートバイのヘルメット」と言えばSHOEI or ARAIの2社というイメージがある。
その中で、SHOEIは素敵なデザインと快適性のイメージ、ARAIはとことん安全性を追求するイメージ。
ヘルメットの形状もSHOEIとARAIでは大きく異なるし、なんとなくかっこいいかもということで当時はSHOEIを選んだ。
しかし、実はこの2社の違いという面について、設計思想からかなり異なっているということがわかり、とても勉強になった。
SHOEIはライダーの快適性のために、外部連携含めて様々な取り組みをしていた。
ヘルメットのバイザー近くに、登録した行先を表示するOPTICSONというツールを使って、行先を示す技術を開発。
これを活用することで、手元のスマホに気を取られずに前を向いたまましっかりと行先を間違えずに進むことが出来る。
まさに物理的な安全性だけでなく、事故となってしまう原因となる元から断ちたいという思いが感じられる工夫。
他にもSIGNHOUSEと共同で開発を行い、ヘルメット内で音楽や自由に会話できるようにするツールのヘルメットとの一体化を進めるなど行っている。
こうすることで、通常のヘルメット形状の横に飛び出した機械の違和感や付け心地デザイン含めて、より快適にする方向性に向けて努力していることを感じることが出来た。
快適性をさらなる安全性に繋げる思想。
最新技術を駆使し、まさに外部との連携含めて様々な工夫することで、さらに安全性を高めることを追求していることに素晴らしさを感じた。
さらなるライディング中の快適性と安全性が飛躍的に伸びるための工夫をとことん突き詰めていることについて、この会社そのものがさらに伸びていくように感じた。
一方でARAIのブースでは、ヘルメットがどのように作られているのかの製造過程、設計面のベースとなる安全への徹底的なこだわりなどが紹介されていた。
ヘルメットの剛性をとことん高めるための、とことんこだわった素材。
衝撃に対するエネルギーを直接受けずに「かわす性能」を高めるために、円形・なめらかさを極めていくこと。
その円形設計を支えるために、ヘルメットの内側の発砲スチロールでできたライナーの硬度を、頭頂部から側頭部にかけて段階的に変化させる技術。
安全性の規格として設定されている以上の安全性を追求し、「真の安全性」というものは何なのかということをとことん磨いている。
日本初のオートバイ用のヘルメットメーカーとしての誇りと、細部までこだわった安全思想がとても響いた。
これらは過去に起きた事故事例をベースに、それらに対して徹底的に対応できるようにするための工夫ということ。
事故が起きるたびに、命を守れなかったその悔しさを次の進化に繋げていく。
その結果が、よりシビアで究極域のレースにおける安全性と安心をもたらす製品に深くつながっているように感じた。
そして印象的だったのがARAIのパンフレットに書かれていた言葉。
「やらないより、やったほうがいい」というもの。
様々な努力で、すでに完全であるものについて、さらなる改良を求めて、どのような小さなことでもそこに改善の余地があるなら徹底的に取り組むというもの。
満足をすることなく、さらに深く広く物事に取り組んでいく。
もしかしたらその技術を完成させるためには大掛かりな費用や投資が必要になるかもしれない。
それであっても、コスパという言葉に惑わされずに、どこまでもやるべきことを極めていく。
そしてたどり着いたものこそが、究極の製品としてとんでもない価値を持つ。
やらないで不安が残るではなく、やって完全を目指すこと、99.9%を99.99999999%までに高める力。
これこそが日本のメーカーだということを、体現しているように感じた。
日本にはまだまだ徹底的に物事を極めていこうというメーカーが沢山ある。
ただひたすら儲けをより出していこうというよりも、徹底的にこだわりを持って作った製品の先にあるお客様の利益のことを常に考えること。
顧客の1歩先、2歩先を常に満足させるために出来ることを徹底的にやり遂げていく。
そして未来のユーザーが製品を使って、無意識のうちにその恩恵を享受できるように工夫をし続けること。
そのためにはどんな小さなことでもとことんまで突き詰めて、技術として発展させていく。
このようなメーカーこそが、より日本を日本らしくしていく。
そして、このようなメーカーの心意気がある限りは、まだまだこの国は何があっても大丈夫だと安心できる。
自分自身もメーカーにて働く一人として、改めて高いところを目指していきたいと感じさせる、良い機会に恵まれたように感じる。
ありがとうございました。