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ワクチンに関する個人的な見解

注1)この文章は、株式会社ネクイノ代表の石井健一が、社内のメンバー向けに書いている内容です。社内用語を使用していたり社内での運用を前提にしているので、必ずしも「正しい情報を正しく伝えていない(意訳している)可能性があります。
注2)2021年1月21日現在の情報です。最新の情報により正しい内容と異なるケースがありますが、多分更新はしません。(するかもしれません)

まずはこれ

いよいよ、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19とします)に対するワクチンが、日本国内でも接種できるようになります(とはいえもう少し時間がかかりそう)。
ワクチンに関する報道が各メディアなどで出始めていますが、ネクイノ的な考え方でいくと『情報に踊らされず、科学的に考えよう』ってスタンスが必要だと思うので、今日時点でわかっていることをここに書きます。

まず、結論

1.現時点の情報で、ワクチンを「否定する」要素はない
2.ということは、「接種する」前提で情報を吟味するべき

っていうのが今日時点での僕の見解です。前提条件の変化とか、新しい情報がわかった時点でみんなに共有しようと思います。
以下、現時点で上記のように考えた理由を
・効果
・副作用
・その他考察
を入れながら書いていこうと思います。

臨床試験について

ここで取り扱うデータについては、特に注釈がなければファイザー社が開発した『BNT162b2』というmRNAワクチンに関するフェーズⅢ試験の情報を基とします。(元文献はコチラ

医薬品が承認を受けるには大きく3つのフェーズがあって、
◉フェーズⅠ:少人数の健康成人向けに薬の「安全性」を確かめる試験
◉フェーズⅡ:比較的少人数の患者向けに薬の「有効性」「安全性」「使い方(投与期間、量など)を確かめる試験
◉フェーズⅢ:多数の患者向けに薬の「有効性」「安全性」を最終的に確認する(いずれも日本製薬工業会webから引用)
みんながイメージするような「人体実験」みたいなものは基本行われないです。しっかりとした科学的・倫理的な考え方に沿って臨床試験は行われ、この際に被験者の人権や健康への配慮はそれこそ「めちゃくちゃ厳しい」基準によって行われています。

なので、基本的に「日本で承認を受けて販売されている」医薬品については、この↑科学的・倫理的なプロセスをへて承認されています。

今回のワクチンについては、日本国内では臨床試験を行っていないので、世界規模で行われたグローバル試験の結果を元に、日本国内で承認するかどうか、が検討されている状況です。(と理解しています)

で、効果は?

結論=非常に有効である

といって過言ではないと思います。

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サッと作ったので見づらくてごめんなさい。各種メディアなどで、「有効性95%」みたいな文言を聞かれた人もいると思いますが、これだけ聞くと「5%もコロナにかかっちゃう人がいるのか・・・」って思うかもしれませんがちょっと違います。
↑の画像の右側のグラフを見てください。これは、縦軸に発症率、横軸に時間(日数)が書かれています。青の線がプラセボ群、赤の線がワクチン群です。で、右側に書いた赤の矢印の「差」がプラセボとワクチンの有効性の「差」で、右下の赤い四角で囲った部分が、その「差」について書いています。

つまり、どういうことかというと

ワクチン群は、21,669人のうちワクチン接種7日目以降に感染した人は9名
プラセボ群は、21,686人のうち同感染した人は172名

ということが書かれています。172名感染してしまうのを、9名に抑えた
1-9÷172=95%(めっちゃ粗く計算してます、本当は違う式だけどまぁ大体ってことで)っていうのがワクチンの「効果」となります。
みんなも知っているインフルエンザワクチンの有効率(おんなじ考え方で大体60%くらい)と言われているのでそこと比べるとめちゃくちゃすごい、ってことが理解できるかと思います。

少しだけ捕捉します。
なんで7日目以降に感染した人を比較しているのか。
これは、ワクチンの効果が発揮されるには接種から時間が必要です。そのため、7日後以降で設定しています。(合理的)
インフルエンザのワクチンも、接種してから効果が出るまで「少し時間がかかる」っていうのはみなさんご存知かと。それと同じ理屈です。

で、安全性は?

結論=短期的な副作用によるリスクがメリットを上回ることはなさそう

もちろん、急ピッチで行われた試験なので追跡期間が長くないので中長期的なスパンでの副作用の発生については検討がこれからだ、という事実はあります。

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小さくて見にくいと思うので要約を書くと、注射部位の痛み、発熱、かゆみなどについてはそれなりな頻度で発生しています。が、いずれも軽症〜中等症までのケースが多く、上記に書いたよう短期的なスパンで見た場合には「ワクチンを打つべきでない」と警笛を鳴らすような科学的根拠は見当たらないです。

一方、「それでもなんか怖い」って思うのは正常で、これははっきり言ってメディアが悪い。フェアな報道をしていないからね。その「怖い」っていうのをできる限り科学的に考えていきたいと思います。

「怖い」に対応する要素は

◉ワクチン全般に起因するもの
◉RNAワクチンという新しいタイプのワクチンに起因するもの
◉新型コロナウイルスワクチン(今回のもの)に起因するもの

の3つに分類できると思います。
まず、ワクチン全般に起因するものとしてよくあげられるのが「アナフィラキシー」のような免疫反応があります。

論文ではなく報道や発表情報を元に記載するので誤差があったらごめんなさい。↑の報道の仕方なんてまさに「悪意」しか感じないのですが、2021年1月6日時点で189万人が接種して100万人あたり11.1人とのこと。記事をそのまま引用すればインフルエンザワクチンの同1.3人と比べると頻度が高い。とあり、確かに事実ですがこの「差」が現実的なものかどうかは賢明なネクイノメンバーには言わずもがな、かと思います。この差について「アナフィラキシーの頻度が高い!キケン!!」と声を大きくして言っている人は「あぁ、科学とか数学とかが得意じゃないんだなぁ・・・」と遠い目で見てあげましょう。
↑にも書きましたが、少なくとも「短期的なスパン」でみた場合の安全性については、「メリットを揺るがすもの」ではない、と考えます。

次に、RNAワクチンに起因するものについて。
ごめんなさい、これは全く専門外なのでトンチンカンなことを言ってしまうかもしれません。
こういう時は、僕よりも間違いなく見識が高い方の意見を見てみることにします。(難しいのでこの章は飛ばしちゃってもOKです)

実は↑このページを見れば、今回のワクチンに関する情報は全て書かれているのですが、重要な部分を抜き出してみます。まず、DNAとかRNAが何か・・っていうところから説明すると日が暮れてしまうので、このnoteではDNAは遺伝情報の設計図、RNAはDNAの一部分の写し(指示書)みたいなもん、とだけ思ってください。
ワクチンの中に、コロナウイルスのトゲトゲの部分を作る指示書が入っていて、マクロファージっていう免疫細胞がこのワクチンに含まれているRNAを取り込むと、このトゲトゲに対する抗体を作れ!って指示をしたり、トゲトゲを狙って免疫の兵隊走れ!って指示したりします。これによって免疫が獲得できて病気を発症しなくなる、っていうのが簡単な仕組みです。

遺伝とか免疫だとか聞くと、なんだかよくわからないし不安になるよね。
できるだけ短く書くと、ワクチンの中にはコロナウイルスは入っていないし、コロナのトゲトゲを作れ!って指示書もめちゃくちゃ不安定(だからマイナス80度とかめちゃくちゃな保管しないといけない)で体内に取り込まれてすぐ壊れちゃうので、理論的に遺伝情報を書き換えたり、その情報が体の中に残り続ける・・・っていうのは考えにくいわけ。ただし、現時点でこれは証明されたわけではない、っていう事実だけはここに置いておくね。

で、最後に新型コロナウイルスワクチン(今回のもの)に起因するもの、なんですが、これは

正直時間が経ってないからわからない

っていうのが結論です。それじゃ結論にならない!って思う人もたくさんいるかと思いますが、もしこの条件↑のみで、この医療を受けたくないって思うんだとすると、例えば新薬は一生使えない、最新の医療技術は一生使えない、ってちょっと乱暴な書き方になっちゃうけど、フェアに考えるとそういうことになります。

現在の科学的水準において、十分許容できる(と思われる)リスクの範囲の中でメリットと比べながら医薬品は開発され、承認を受け世の中に出てきます。今回はワクチンの話ですが、この「十分許容できるリスク」をとった人だけがワクチンの恩恵を受けられるわけで、少なくとも今日(2021年1月21日)までの情報で本ワクチンの接種について僕に選択権があるならば、間違いなく「接種を希望」します。

考察

ここまで読んでもらった上で「それでもこの未知のリスクを自分は取れない」と思う人は、ワクチンの接種を見送ったらいいと思います。でも、その際にみなさんに1個だけお願いがあります。

他人の"ワクチンを接種する『権利』"を奪わないでください。

ワクチンを忌避したり、標準的医療を軽視なさる方の多くは、(現時点での)医療における標準的思考=科学的根拠に妥当性を感じない方が多いように感じています(個人的な見解です)。そもそも医療は多くの不確実性を含む領域で、何かを断定的に言い切ったりできることは稀で、むしろ言い切れないことが多かったりします。
科学的でない考え方や、時には陰謀論を持ち出して他者の医療へのアクセスを阻害することはもしかしたらとんでもなく自己効力感のある行為かもしれません。でも大事なことなのでもう一回書きますが

他人の"ワクチンを接種する『権利』"を奪わないでください。

あくまで、現時点でわかっていることに関しての個人的な見解を書きましたが、これを読んでくださった方のワクチンに対しての不安が少しでも解消できれば幸いです。

蛇足:Twitterで「禿同」な見解見つけました。この話ごもっとも。


2021年1月21日
株式会社ネクイノ
代表取締役 いしけん

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