バリュー(価値観)を再定義する

注)このnoteは、株式会社ネクイノ代表取締役の石井健一が株式会社ネクイノメンバー向けに書いているnoteです。そのため、使用している用語に通常で使われているものと意味合いが異なる場合があります。

0.はじめに

なんか、久々のnoteです。下書きになっているものはいっぱいあるんですが、世の中のタイミングを外しちゃったり、もうちょっと主張を考え直したりした方がいいな・・・なんて思って出せてないです。どっかのタイミングで必ず出します。
さて、今日は月に1度行っているネクイノ全社会(オンラインの全社員集合イベント)の日でした。多くの回で、僕は冒頭の時間をもらってメンバーにメッセージやトピックスを伝えるのですが、今月は「バリュー」の見直しについて報告させてもらいました。

共有資料p.2「バリューとは何か」

1.ネクイノにおける”バリュー”とは

バリュー(英:value)をそのまま訳すと「価値」という意味になります。ネクイノでは、このバリューを「大切にする価値観」と定義して2020年ごろから現在のミッション(世界中の医療空間と体験をRe▷designする)を構成する大切な価値観として運用をしてきました。
2022年10月現在、ネクイノでは100名を超えるメンバーと数十人規模の社外コラボメンバーでプロジェクトを進めていますが多様な背景を持つメンバーが増えてきたこともあり2年前に設定したこの「大切にする価値観」について、「解釈の幅を減らし直ちに行動に落とせるレベル」での再構築と運用を行いたい、と強く感じるようになりました。

共有資料p.4「なぜ見直すのか」
左から大沼(副社長)、石井、渡部(取締役・共同創業者)
共有資料p.3 旧バリューとその日本語訳

2.紆余曲折を経て決めたこと

このプロジェクトは、取締役3名(当時)に人事・コミュニケーション領域担当執行役員である手代さんと特別メンバーである野村さんで構想から半年以上かけて作ってきました。今日(2022年10月11日)の時点ではまだ6-7合目くらいの地点ですが、このタイミングでみんなにメッセージを発信することがいいタイミングだ!ということで今日の発表となりました。
バリューを構成する3本柱そのものから変えちゃうか!とか、4つ目の概念を入れちゃうか!みたいな議論を侃侃諤諤(カンカンガクガク)やりましたが、結局決めたことはまず以下の通りです。

共有資料p.6「新バリュー制定までの道のり」
共有資料p.5「バリュー見直しの3つのポイント」

思いを込めて作った3つのバリューそのものは変更せず、解釈のブレ幅を減らし意味が伝わりやすい補足文を再考すること、そして3つのバリューとミッションをつなぐ「架け橋」としてステートメントを新たに設定しよう、というものでした。

3.これが新バリュー

共有資料p.7

3つの柱は変更せずに、まずGet Wildの日本語訳であった”異端であろう、先導しよう”を独立させステートメント(私たちのあり方、ミッションとバリューをつなぐ架け橋)として定義しました。この「異端と先導」はネクイノが創業当初から大切にしてきた価値観であり、最も自分達らしいよね、というものを表す言葉として定義しました。
そして、補足文としてまさにここまで歩んできた体験を書き記しています。私たちは、「変革の起点」になるためにならどんな努力も惜しみませんし、社会との対話も欠かさない、という意思表示をこのステートメントに乗せました。
イノベーション(革新)は、その革新をまだ知らない人々にとって言語化したり、体現したりすることはできません。でも、潜在的感じていること、言語化できていなくてもモヤッと感じていることに対して最適なプロダクト/サービスを提供することができたとき、人々は「そうそう!!これこれ!!」って最大限の賛辞を送ってくれます。私たちが紡ぎ上げてきた「スマルナ」もまさにそれを地で行くサービスとなりました。改めて、私たちが世の中に届けていきたいものは「いつかどこかで見たことのあるプロダクト/サービス」ではなく、”そのプロダクト/サービスの社会実装に込めた思想と、それがもたらす社会の変化という差分”である、という点についてこの場で改めて伝えていきたいと思います。

3-1. Get Wild

共有資料p.9

改めて、Get Wildから。僕たちの世代(昭和50年生まれ前後)だとこの言葉を聞くだけでTMNetworkシティーハンターか!って即答してくださると思うんですが、はい、そのGet Wildです。
仕事をしていく上で、大小様々な意思決定をしていくと思うのですが、その瞬間瞬間で「簡単な方じゃなく、難しい方を選ぼうぜ」っていうのが元々バリューに設定した時のコンセプトでした。そこに、社是でもある「異端と先導」を組み込んだのが旧バリューでした。
今回は、組織も拡張し会社のフェーズが大きくなってくる中でその意思決定を「難しさ」というひとつの次元だけじゃなくて、しっかりとした根拠を持って大切に決めていこうよ、っていう思いを込めています。
根拠を持って物事を決めていくには、当然「決めるための判断基準」が必要です。そして、その判断基準を保つためには判断をする人が判断に必要な知識を研鑽していくことが重要です。もしかしたら、今日の意思決定には十分なスキルや能力を備えているかもしれません。でも、明日の課題や1年後の課題の解決、意思決定に際して必要な知識を積み上げていくこと、研鑽することに対して”絶対に手を抜くなよ”というのがこのバリューに込めた1番の思いです。そして、必死になって研鑽を積んだ上で「なんとなく・・・」じゃなくて根拠を持って、胸を張って物事を決めていこうよ、というのがこのGet Wildに込めた想いになります。

3-2.Activation,Velocity

共有資料p.10

アクベロ(Activation,Velocityの略語)も、補足文によってガラッとイメージが変わったバリューの一つです。今までは日本語訳で「脅威的なスピードで世界を驚かせよう」という文言で「スピード」に重きがありました。実際、社内でアクベロについてヒアリングをすると

とにかくすぐやる、考えずにすぐやる

っていうイメージが強かったようで、これをそのまま体現すると優先度ではなく緊急度の高い業務に忙殺されてしまい結局生産性を高めたり、WAO!って社会に喜んでもらえるようなイノベーションに辿り着きません。
また、Activationについてはイメージしやすかったみたいなんですが、Velocityについては???という回答もあり、

Velocityとは(引用:https://sprint-condition.info/category33/entry336.html)

速度と向きを合わせないと目的地に辿り着けないよ(やたらめったらアクセル踏んでも意味ないよ)っていう意味を改めて含めるため今回の補足文となりました。そのために”はやさ”とあえてひらがなを使い立ち上げの時期をしめす”はやさ”と目的地までの巡航速度を示す”はやさ”をひとつのメッセージの中に加えました。
簡単に言えば、PDCAちゃんとやろうぜ、って意味になるんですが。やたらめったらプロジェクトを仕掛けるのではなく、初動を早めること、工数をしっかり見積もること、必要なバッファを持ちながらそれを削る努力を惜しまないこと、そして思考のスピードを上げていくこと、こういった意味が今回のバリューの中に込めています。

3-3.Give it Forward

共有資料p.11

実は一番難しかったのがこのGive it Forwardでした。元々は「恩送り」の意味を持つPay it Forwardからイジった造語ではあるのですが、日本語訳である「正しいことをしよう」という言葉が完全に一人歩きしてしまったため、どういう方向で修正をかけていくのかについて時間をかけてすり合わせをしてきました。

ここまで書いて気づいてくださったかもしれませんが、実は補足文はすべて

私たちは、ミッションの達成のために◯◯します、
そのために・・・

という構文になっています。

つまり、バリュー(ネクイノが大切にする価値観)は全て”ミッションの達成”のためにエネルギーが向いている、ということを改めて記載しました。Give it Forwardの項も同様で、ミッションの達成のために正しいことをしよう、最善を尽くそう。という構文にしました。
そして、この最善を尽くす、というプロセスの中で
◉考え続けること
◉仲間を助けること
◉仲間を巻き込むこと
◉プロフェッショナルとして行動すること
を謳っています。この4つの行動を実現できるメンバーについて会社は最大限の支援と評価を行うことを約束しますが、この4つを実現できない場合においてはその限りではありません。特に、2つ目の仲間を助けること、についてはかなり議論を重ねました。

考え続けることをやめない
最大の成果のために仲間を巻き込めている
プロフェッショナルとして恥ずかしくない言動を取れている

この条件が整っても何らかの支援が必要な時、周囲の人は積極的に”仲間を助けよう”、というのが今回この項目に記載をした想いです。「助けてもらって当たり前」っていう価値観は、ネクイノにおいては存在しないよ、っていうことも改めて書き添えておこうと思います。

4.このバリューを社内に実装するために

共有資料p.12

どんなに良い文言も、コンセプトも実装されなければ意味がありません。そのために、まずこの3つのポイントから会社全体で取り組んでいきます。特に、皆さんにお願いしたいのは全社会でも伝えたように3番目。1on1を含む社内のミーティングにおいて、その所要時間の1/3をバリューの理解と評価、具体的な事例を踏まえてのすり合わせ等に使ってほしいです。1on1を含むミーティングの多くは業務連絡や共有、進捗管理に時間を割いていると思いますが今日から僕が「もういいよ」っていうまでの期間、この1/3割り当てルールを徹底してください。例外はありません。

もし、明らかにバリューの理解やすり合わせのための時間を割かない上司がいたら、僕または内部監査室へDMをください。このクソ忙しい時期に!って思う人もるかもしれません。でも、このフェーズでこの実装を終えることができなければ、未来に今以上の辛さとか苦しみが待っています。だからこそ、リスクを承知で胸を張ってこの時期に意思決定しました。もちろん、バリューのすり合わせを行うためのGood/Badケース策定など、まだやらなければいけないことは山盛りです。でもこの完成を待ってからでは遅くて、まさに今このタイミングでActivationすることが必要だと考えてGoサインを出しました。未来に必ず訪れる課題を乗り越えるためにも、このタイミングで自分達が大切にする価値観について、みんなでしっかり実装しよう。

2022年10月11日
株式会社ネクイノ
代表取締役
いしけん

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