埼玉北部、注目のエリアで今、何が起きているのか?
はじめまして。埼玉北部の仕掛け人、チーム県北(なかのひと)です。東京の北に位置する埼玉の、そのまた北部を地域の実験場(大人の遊び場ともいう)として、地域に来てくれる皆さん、そして地域の面々(私たちも)がともに笑顔になれるよう、いろいろな仕掛けを企てています。
私たちが活動している埼玉北部、最近注目をされるようにもなってきましたが、そもそも私たちのチームなぜ活動しているのか。その背景のある地域の課題について、まずはお話したいと思います。
近年注目のエリアがぞくぞく、埼玉北部
埼玉県というと、浦和・大宮の都会、あるいは南の東京郊外のベッドタウン、最近だと西部の所沢や狭山、ムーミンパーク開業で注目される飯能といったイメージが強いかもしれません。しかし、実は県の北部も都心に近い自然豊かな地域ということで少しずつ注目されつつあります。
もともと、埼玉の北部といえば長瀞秩父エリアが有名でしょうか。近年のキャンプブームでコロナ渦でも来訪者数は衰えず、週末は都内や神奈川、千葉を中心に多くのアウトドア愛好者が訪れており、その数は玄関口である関越道花園インター経由だけでも、年間数十万人規模と言われています。
また、近隣の小川町・寄居町・美里町など、からだもこころもよろこぶオーガニックな地域が都心の新たなファンを惹きつけつつあります。
さらに、交通の要衝となる関越道花園インターでは、2022年10月に、約10年ぶりに郊外大型アウトレットが誕生し、さらに新たな来訪者が予想されるエリアとなっています。
今まで、県内でも日の目の当たりづらかった埼玉北部地域、この追い風をもとにもっと多くの人に知って、訪れて、好きになってもらいたい。そうした思いをもとに地域在住のメンバーを中心に2022年夏に私たちのチームが発足しました。
地域の「点」をつなぐグランドデザインが必要
上記のように地域に追い風こそ吹いているものの、一過性の打ち上げ花火にならないようにするにはどうすればいいか。そうしたことをメンバーで考えるうちに、いくつかの課題が見えてきました。
まず、全体として「地域」を体験するグランドデザインがないのではというところです。
例えば最近オープンしたアウトレット。単に買い物だけだと、今時ネットで購入でいいはずで、その中でわざわざ遠くまで足を運ぶというのは、買い物以外にも遠くまで来てやりたいことがあるから来るのではと思われます。
実際、同じくアウトレットを擁する近所の軽井沢・那須を見てみると、エリア内の特定の施設や店舗に直行直帰するのではなく、「軽井沢に行く」「那須に行く」というように、地域のいろんなスポットを回遊する形が一般的ではないでしょうか。
そう考えると、同じように埼玉北部エリアも「埼北に行く」みたいな形で、地域ならではいろいろなモノやコトに触れてもらう形が遠くから足を運ぶ人にとってもよさそうです。
こうはいっても、現状なかなか簡単にはいかないこともあります。
個々の施設や店舗が自分の持ち場で最大限を尽くしても、個々でできることには限界があります。では、そこは行政が音頭を取ってやるべきだろうという意見もあるかもしれませんが、特に日本の行政機関(自治体)は、行政サービス機関という地域のプレーヤーの1つでしかないことが多く、行政を含めて、地域の各プレーヤーをつなげ、個々ではできないことを進めていく役割が必要でしょう。
さらに、特に新しくできるアウトレット擁する関越道花園IC付近に至ってはもう一つ「行政の境界線」という問題もあります。このエリアは、いくつかの自治体の境を接している場所。よくある行政単位での観光や地域活性のやり方だと、すぐ近くのお隣の自治体のことは我関せず、隣の街のプレーヤーとつながりもなしという話もありがちです。地域に来る人には行政の境界線など関係なく、本来は行政の境を取っ払った体験の導線づくりができるのが理想ではあるのですが…
観光DMOから、分野の縦割りを超えたユーザー視点の体験づくりへ
こうした話をすると、「今ハヤりの観光DMOね」という返答を受けます。しかし、既存の観光DMOの枠に果てはまるかといえばそうでもありません。
一般的には、まだまだ観光=「マス観光」のイメージが根強く残っています。ツアーのように一度にできるだけ多くの来訪者を呼び込む一方、お客が帰ってしまったら関係はおしまい、次の来訪者をまたゼロから呼び込む…の繰り返しです。ただ、今どきの観光はマス=来訪者数の大きさから、呼び込む来訪者数こそ少なくとも、一人ひとりに合わせた体験から高い満足度を生み出し再訪してもらえるような、マーケティングでいうCRMや1to1的な発想が主流になりつつあります。そうすると、一人の来訪者にいかに一度の訪問=観光から、その先への関係構築も含めた一貫した体験づくりが求められそうです。
1人の来訪者の体験から考えると、地域への来訪はたしかに観光の枠組みでおもてなしできるかもしれません。しかし、その後のまた再訪したくなるようなコミュニケーションはPRの話であったり、仮にすぐに再訪できなくても、例えば地域の農産物や商品などをオンラインで購入するような農業/商業的な話もあったり、最終的に何度も足を運んだ結果、お試しで二拠点生活でもしてみようかなという形になれば移住の話になったりと、一人の来訪者の体験をシームレスにつくっていくには、様々な分野の話を横断しないといけないでしょう。これが例えば行政主導の地域活性では「縦割り」の弊害が大きいのが現状でしょう。
そして、もう1つチームのメンバーが上記のお話以上に大きく課題に感じたことがあります。
それは…お話が長くなったので次の記事で…