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THE DOUBLE GOAL COACH ダブル・ゴール・コーチ 勝利と豊かな人生を手に入れるための指導法

「チームの選手を一人も辞めさせないことだ」

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「シーズンが終わったときに、シーズンの初めと同じくらい選手たちがバレーボールを愛していること」
「シーズンが終わったときに、シーズンの初めと同じくらいかそれ以上に選手たちが身体的に健康であること」

スタンフォード大学女子バレーボール部 ジョン・ダニング監督(2001年NCAA優勝)

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私たちが見るべき「大きな絵」とは、子供たちがその後の人生で成功を手に入れるため、または充実した生活を手に入れるためにどのような術をユーススポーツから得るかということである。

ユーススポーツにおける悪役は競争でもなければ勝とうとすることでもない。後ろ向きな思考やその他ユーススポーツのほぼすべての問題の根本には、この勝利至上主義と言うメンタリティーが潜んでいる。これこそが悪役であり、私たちの敵なのである。

人は、子供時代に培われた価値観、行動習慣などをその後も維持し続ける傾向があるそうだ。グラウンドで失敗した後に立ち直る方法を学んだ子供はそれを学ばなかった子供と比べると、その後の人生の大事な局面で失敗しても立ち直ることができる可能性が高い。

「私はこうしたらいいと思うが、みんなはどう思う?」

文化とは「どのように行動するか」である。

立ち直り(何か失敗したときに克服する能力)の速さに関する研究によると、非常に困難な状況を経験しても成功する子供たちがいるそうだ。その子供たちが成功できたのは、人から真に思いやられ、支えてもらったためだという事がわかってきている。さらに興味深いのは、たった一人に支えてもらうだけでも極めて厳しい状況をはねのけ、成功する子供たちがいるという事だ。ユースコーチがその子供を支える大事な1人になることも多い。

文化とは簡単に言うと「ここでの(私たちの)やり方」だ。強いチームにはチーム員を励ましパフォーマンスを向上させるような価値観、振る舞い、習慣を維持・強化していく強い文化が必ずと言っていいほど備わっている。監督は、選手たちが目標に向かって実力を発揮できるようなチーム文化を意識的に築いていく必要がある。

「鳴り響く」チームではチーム員が文化を強化し、そして再強化し続ける。「鳴らない」チームでは文化の強化と再強化は正式なリーダーである監督にほぼ任せっきりだ。「鳴り響く」チームでは、ある選手がふざけていた場合チームメイトがその選手に対し集中するよう呼びかける。「鳴らない」チームでは監督が何か言うと思い、他の選手たちは何も言わない。

ユーススポーツでは大局的にとらえるべき「大きな絵」は子供が成長する過程で活用できそうなことを学べるかどうか、そして本当に大事なフィールド、すなわち人生という名のフィールドで成功するために役立つことを学べるかどうかということだ。しかし勝つことに対する欲望は麻薬のように非常に強力で、それ以外のすべてを圧倒する。そのため「この」試合を「今」勝つことがすべてになってしまう。これが「小さな絵」しか見えない近視眼的なものの見方である。ユーススポーツ近視眼はその目を通じて見る「小さな絵」をとても魅力的なものに見せてしまう。

「試合から帰宅する車の中で、自分は疲れ果てていて、しばらくは試合のことは忘れたいのに父親が試合を事細かく分析し、その一つ一つの要素につき話そうとすることが嫌で嫌でたまらなかった」

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大塚健吾(ツカさん)
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