HR Technology Conferenceの変遷から見る、HRテクノロジーの方向性
今回ご登壇頂いたのは、ハイマネージャー株式会社で代表を務めている森謙吾さんです。
森さんは、PwCコンサルティングで人事・組織コンサルティングに従事された後、ハイマネージャー株式会社を創業され、現在はパフォーマンス管理やエンゲージメント管理のSaaS「HiManager」を中心に事業を展開しておられます。
今回は、HR Techに精通されている森さんから、「HR Technology Conferenceの変遷から見る、HRテクノロジーの方向性」をテーマにお話頂きます。
※本記事は、2020年11月30日に開催されたHR Millennial Lounge#12」のイベントレポートとなります。(テーマは「HR Tech Conference 2020から考えるHRテクノロジー最新動向と活用のポイント」になります)
はじめに
ハイマネージャー株式会社で代表取締役を務めている森と申します。本日はよろしくお願いいたします。
私からは「HR Technology Conferenceの変遷から見る、HRテクノロジーの方向性」についてお話させて頂きます。
初めに自己紹介をさせて頂きます。
私は、前職のPwCコンサルティングにて人事・組織コンサルタントとして、人材マネジメント戦略策定および人事制度構築、役員報酬設計、残業削減・退職率低下等幅広いテーマに従事してきました。
現在は、前職の経験を基にハイマネージャー株式会社を創業し、社員のパフォーマンスやエンゲージメント・評価管理を行うことのできる人事評価DXツール「HiManager」の展開を行っています。
本日は HRTechの第一人者と言われているジョシュバーシンさんが話した内容をもとに昨年や一昨年、本年のカンファレンスの内容を踏まえて以下4つの方向性についてお話します。
1. HRtechからWorktechへ。コロナ禍においてより生産性を上げることが求められる
2. Action Platformへの統合が進む
3. Talent Marketplaceによって内外問わないタレント活用へ
4. アジャイル、レジリエンスの話が多く、ウェルビーイングも注目されている
まず、簡単に概要からお話させて頂くと、先ほどの4つの点はそれぞれ以下がポイントだと考えております。
1.HRtechからWorktechへコロナ禍においてより生産性を上げることが求められる
HR Tech という言葉自体がだんだんと終わりに近づいていており、HRtechからWorktechという言葉に変化しつつあります。
実際に直近のトレンドも人事だけでなく、仕事の生産性を上げるツールにシフトしております。
2.Action Platformへの統合が進む
こちらは昨年のカンファレンスから引き続きとなりますが、データを単に管理するだけでなく、データから従業員の行動の改善を促していくことが求められるようになっています。
3.Talent Marketplaceによって内外問わないタレント活用へ
今回のカンファレンスで新たに発表されていましたが、日本で最近出てきているジョブ型のような考えについてとなっています。
ジョブやプロジェクトに対して、社内外問わず雇用することが話題となっていました。
4.アジャイル、レジリエンスの話が多く、ウェルビーイングも注目されている
コロナにテレワークなどの推進でより注目されるようになりました。
HRtechからWorktechへ。コロナ禍においてより生産性を上げることが求められる
先ほどの点について、さらに具体的に話していきます。
アメリカは日本よりもコロナの被害が大きく多くの従業員がリモートワークをしております。
その中でも生産性をいかに高めていくかが課題となっており、コロナにより従業員自身もより意識するようになってきました。
元々HRTecnの流れとしてはデータを統合していくAutomateの領域から、従業員の方が実際に使っていく、Integrate、Engageの領域でツールが進化しておりましたが、最近注目されているのはIntegrating work and lifeです。
つまり、HRtech ツールがリモートワークを行っている従業員の生産性を高めていくところに寄与するかどうかが注目されています。
日本でいうところのワークライフバランスの考えが近いと思います。
更に具体的にいうと、労務や給与管理、タレントマネジメントのツールから、仕事の生産性を高めていく work toolとして時代と共に変わってきております。
今まではHRtechと呼ばれていた通り、あくまでも人事のためのツールであって、人事の仕事が楽になることが主流でした。
このような流れを受け、前述の通り、これからはHR techではなくWort techになっていくと言われており、Work techの中には瞑想ができるツールやslackなどのコミュニケーションツールやファイナンスを支援するツールも総称してWork techとして言われております。
さらに言うと、現場の中で使いやすく、仕事の中で使っているツールと連携していく必要があるとも言われています。
例えばteamsやworkplaceやslackといったコミュニケーションツールを基点にWorktechツールも使う必要があるとのことです。
具体的には、エンゲージメントサーベイとslackを連携して、Slack上でサーベイを回答できる、といったように日常のツールで完結できるようになることが今後のトレンドとなるのです。
Action Platformへの統合が進む
昨今、エンゲージメントやタレントマネジメントの領域のサービスが競合していき、サービス自体が統合していくことが話題になっています。
実際に海外で以下のような変化が起こっており、Action Platformの市場はどんどん拡大しています。
● 日本でいうモチベーションクラウドのようなサービスをやっているGLINTが1on1や称賛を従業員同士で送り合うと言う機能を追加した
● エンゲージメントサービスを行っているculture ampが1on1の記録できる機能を実装した
● 7GEESEが給与関連のサービスを行っている企業に買収された
このような変化の背景としては、Engagement・評価・称賛(褒める)のデータを一括で管理することで、従業員(主にマネージャー)に対して様々な示唆をレコメンドできるようになることが分かり、統合化が進んでおります。
実際にhumuという元GoogleのCHROが作った会社では、データを基にnudgeというレコメンドをシステムから自動で送るサービスも展開しており話題となっています。
Talent Marketplaceによって社内外問わないタレントの活用へ
Talent Marketplaceと言う新しい考え方も今回の発表ではありました。
コロナによって、ビジネスの変化が激しくなっている中で、よりアジャイルな対応が求められています。
そのような中で、必要なポジションに人を当てはめていく、日本でいうとジョブ型のような最適配置の考え方=Market placeが今後の組織の当たり前になっていくとカンファレンスでも触れられていました。
具体的には空いているポジションやプロジェクトに対して社内の人材ポータル上から適切なメンバーを選出しアサインするようになっていくということです。
私も前職で経験しましたが、現在のコンサルティングファームのような働き方に近いと考えられます。
必要な仕事やプロジェクトに対して社内の人が応募できたり、スキルや経験に応じてリコメンドされアサインされるようになるのです。
また、このような流れは社内だけでなく、外部の人材活用にも展開されると言われており、実際に現在でも様々な会社がこの領域に参入してきております。
例えばキャリアパスを提示するfuel 50やリクルーティング領域の会社work dayなども参入を始めています。
特に衝撃的だったのですが、eightfoldと言う企業は創業4、5ヶ月でまだベータ版かつ1名にしか利用されていないにもかかわらず、125億円ほど資金調達しており、海外での注目度の高さが分かります。
こちらの会社では社内の最適配置、タレントマネジメント、ラーニングを一括で行うことが売りになっており、会社全体がmarket placeになる時に最適なサービスであることをマーケティングしています。
他にもgloatといったサービスもできており、社内外の最適配置といった領域は注目されています。
アジャイル、レジリエンスの話が多く、ウェルビーイングも注目されている
これまで述べた領域と同様に、ウェルビーイングのマーケットも伸びており、コロナになってテレワークでも生産性高く仕事をしていくために心理的安全性を高めていくこと含め注目されています。
実際、以下のようにウェルビーイングの領域のサービスも増えており、アメリカではファイナンシャル支援や運動などの身体的な部分の支援、瞑想のサービスや医療プラットフォームなど幅広い領域でウェルビーイングを支援できるようになっています。
例えば、ファイナンシャルのサービスだと、Best Money Movesと言うサービスができており、日本で言うところのマネーフォワードの個人版のようなイメージで、従業員の資産運用状況などを管理することができるサービスです。
マネーコーチと呼ばれるファイナンシャルのプロからアドバイスも受けれるようになっています。
他にもメンタル的なサポートとして、瞑想のサービスであるheadspaceや健康管理としてVirginpulseといったサービスもあり、心身共にサポートできるようなサービスが出てきており、海外ではウェルビーイングのサービスが充実しております。
以上がHR Tech Conferenceを踏まえた4つの方向性となります。
今後は、海外と同様のトレンドが国内にも訪れると思っております。
ご清聴ありがとうございました。
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