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リバーシブルSOCって?解説します

※今回は日本語のみの記事となります。
 少し前の記事ですが、せっかくなので取り上げさせて頂きます。
リバーシブルSOCシステム、日本特殊陶業という企業が開発した水素関連の装置で、記事にあるように装置1台で「発電」と「電解」を行う事ができるというシステムになるようです。
 ちなみにここで言う「発電」とは、水素と酸素(空気)を使った燃料電池の発電反応のことで、「電解」とは、中学校で習う水の電気分解を行うことで水から水素と酸素を作る電解反応のことを言います。

#日経COMEMO #NIKKEI

◆リバーシブルだと何が良いの?

 単純に「発電」と「電解」が装置1台でできてしまう…という話なのですが、これはどういうことなのでしょうか。
 「発電」というのは、例えば火力発電所だと石油や石炭または天然ガスなどの「燃料」を他所から運んできて使用するということになります。これは、原子力発電でも同じで燃料のウランを運んできて使用します。 

 他所から燃料を持ってくる必要が無い発電方法には、太陽光発電や風力発電、水力発電などがあります。これらは自然現象を電気エネルギーに変換(太陽光⇒電気エネルギー、風→風車の回転エネルギー=力学的エネルギー⇒電気エネルギー、水の流れ→水車の回転エネルギー=力学的エネルギー⇒電気エネルギー)することで発電できるため「燃料」が必要ありません。 

 リバーシブルSOCでは「電解」と「発電」が1台でできるので、水を電解して水素を作り、その水素を発電に利用する(また水ができる)ことができます。すると、最初に水を準備さえしておけば、昼間に太陽光発電の電力が余った時に水素が製造でき、夜間になって太陽光発電ができなくなった時に作った水素で発電をすることができるようになります。つまり、その場で燃料を作り、消費するとまた燃料ができるということになるため、他所から燃料を持ってくる必要が無くなります。

◆さらに良いことも…

 その場で燃料を作り、その燃料で発電ができるということは、他の発電所と送電線が繋がっていなくても発電ができる、ということになります。ちなみに原理的には既に普及しているエネファームでも似たようなことができます。エネファームは都市ガスで発電するので、送電線が切れてしまっても都市ガスの供給が維持されていれば発電が可能なためです(ただし災害時はガスパイプラインを遮断する事もあるので、その場合は発電できません)。

 つまり、送電線が伸びていないような地域であっても太陽光発電パネルや風車、水車など自然エネルギーで発電できるデバイスをリバーシブルSOCシステムに繋げば、水素が製造できるので自然エネルギー発電ができない時でも水素で発電をすることで常時発電している状態を作ることが可能となります!!

◆未来にはこんなことも…?

 さらに応用的なお話(個人の発想ですが…)として、この自然エネルギー発電デバイスとリバーシブルSOCシステムを船舶に積めば、燃料を補給せずに長い航海をすることが可能になるとも言えます。実は最近になって「燃料電池船」の開発が進んでいて、試作船でテスト航海も行われるようになりつつありますので、近未来では超長距離を航海できる燃料電池船が当たり前になるかも…しれませんね。

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