だいたいこれくらいのはなしをしてもらえると フォトグラファーとしてはさつe
2422文字 文中写真無し 読了まで約5分
表題をまんま口にしてもらえるとわかるのですが、これで大凡5秒くらい。
イベントや講演会等で登壇される方が、聴衆者の方を向いて任意の一方向で語ってもらえると、登壇者の良い感じの写真を1〜2枚撮ることのできる時間がこの5秒です。
なので登壇される方は「お話をされる時には常に顔を上げ、一定方向に向かい語ってもらう時間はまず5秒」と心がけてもらえれば、登壇時間中に上下寄り引き縦横の写真が満遍なく残せて、登壇者・イベント主催、撮影者にとっても喜ばしい写真が残ります。
僕は年間10〜20イベント程度、人数にして50〜100人程度、各種イベントや学会の記録撮影をしております。大規模だと東京ビッグサイトやインテックス大阪で行われるようなもの、小規模だとキャパ200くらいのライブハウスのトークイベントという感じでしょうか。
多い時だと1イベントで20人程度撮影しますので、やや雑で乱暴な計算をすると「登壇者」だけに絞ってもキャリアのうちで2,000名以上撮影している計算になります(ちなみにこの二ヶ月ほどで約80名ほど撮影させてもらってます)
登壇者が上述通りにされれば、僕の仕事はどなたでもできる簡単な撮影になるのですが、多くの方がこれができないのです。
では、できない、とはどういうことか。
以下類型化してみます。
1)手元資料ないしプロジェクター表示された資料しか見ない
わかりやすいです。下を向いて資料のみを見てるか、ご自身の左ないし右後ろの設置してある大型スクリーンのみを見て話をされる方です。
これが撮影的に一番厳しい。
この手の方は本当にお顔を前に向けません。
プレゼンをこなすのに必死で聴衆者がご自身の話に関心があるのかどうか、の確認もされません。
学会ではよく見られますが(体感的には10人に4.5人くらい)、稀にビジネスイベントでも見られます。
ビジネスイベントですと「何故この人の顔の上がった写真がないのか」と納品後にお叱りを受けるケースが稀にですがあります。悲しい。
上がらないものは上がらない(なお学会だと責任者の方が大抵その場にいるので、むしろ謝られますが)。
ので、登壇者が壇につき発声する前と壇から降りる際の、一瞬顔をあげる時になんとか1枚だけ確保しておく、というのが撮影上の悲しいテクニックになります。
いわゆる「抑え」ですね(涙)。
2)一瞬だけ浮上(ただし突然)
1)の方より幾分状況はましですが、1〜2秒で顔の振りが変わる方がいらっしゃいます。
特に手元資料やプロジェクターと、聴衆者の方を行ったりきたりするタイプが多く、ただそれが「資料側30秒、聴衆者2秒」みたいなケース。
前を見て話さねば、という気持ちはお有りなのですが、時間が十分でない。
また、タイミングが一様でないので「文章や言葉の脈絡なく顔上げて下げる」みたいなケースも多いです。つらい。
3)顔が泳ぐ
1)2)より条件はややまし。
顔は上がってるのですが、聴衆者を意識しすぎてなのか緊張からなのか、顔を右往左往されながらプレゼンされる方が割といらっしゃいます。
そのスピードが速い。だいたい2秒まで。
最近のプロユースカメラは「顔認証・瞳認証機能」が搭載されているため、ピントを合わせは「ターゲットが一人」であるケースが多い登壇イベントにおいてほぼ問題ない状況になりました。しかし「口の形問題」もあるので、顔の動きが落ち着かれないとシャッター数が加速度的に増えることになります。
撮影環境によっては「シャッター音がめちゃめちゃうるさい」という大変気まずい状況になります。
4)一箇所に止まれない
これは登壇イベントのうちでも、○pple的(ないし○ED的)な登壇方法を採用されてる際に起こります。
ご本人が落ち着かれないのかもですが、とにかくステージを右往左往される方が稀にいらっしゃいます。
引きの画であれば別段問題ないのですが(だいたい会場一番後方から撮影するので)、寄りの画を撮ろうとすると途端に厳しくなります。
特にこの手のイベントでは、登壇ステージと聴衆者との間に撮影者が入るケースも多いために立ってうろうろするわけにも行かず、機動力が落ちます。またステージの前を横切ることは憚られるので、上手で撮影しようと待ち構えたら登壇者が下手に行ってしまった、みたいな時に迅速対応がしづらい。
思い切って下手に移動を開始すると、登壇者がセンターあたりに戻って来ちゃう(が、その後どっちに動くかわからない)みたいなことが起きます。登壇時間が短い場合にはかなり焦ります。
と、ざっと経験上の4類型を上げてみましたが、ここまで読まれてお気づきいただけたと思います。
「楽に撮影させろよ」という話ではありません。
僕らが撮影し易い登壇者は大抵の場合「聴衆者に自分の語ってる内容を聞いてもらえるように丁寧に語りかけてる」のです。
「自分に向かって語りかけられてる」と感じられる登壇者の話は傾聴できますし、興味も高まり理解も深まります。そこには登壇者の顔の向きや口調、語りの落ち着きという要素が大きく関与します。
つまり「聴衆者への適切な語りかけ」と「撮影のし易さ」はかなり近似の位置にあります。
ですので、登壇者にはぜひ「落ち着いた話し方」を心がけていただきたいですし、イベント・学会主催者の方には登壇者に「落ち着いた話し方」をしてもらえるよう何らかの働きかけをしていただければと思います。
大事な記録である以上「登壇者の良い写真を残したい」という意識がフォトグラファーにはあります。ですので登壇者の皆さんにもぜひこの辺り気にかけていただき、より良いプレゼン・発表をしていただければと思います。
「フォトグラファーにとって撮り易い登壇者=聴衆者にとって話を聴き易い登壇者」というお話でした。
登壇挨拶と最後のまとめ、だけでもノー原稿で1分ずつ程度顔上げて喋っていただければ、何とかするんですけどね(笑
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?