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東大(理科II類)に現役で受かるまでにお世話になった参考図書(化学編)

 大学受験の「化学」は、大きく3分野に分けられ、それぞれにおいて、重視される能力が変わってくるように思います。

 この記事は私(高校1年時の偏差値は60ちょい)が、なるべく学校に頼らずに東大理IIに受かるまでの過程で、お世話になった参考書をまとめたものです。

大学入試の化学のコツ

 大学入試の化学は、大きく
・理論化学
・無機化学
・有機化学
の三分野に分けられます。それぞれについて、コツを大雑把に書いていこうと思います。

理論化学

 まず、理論化学。この分野は、物理・数学と同じような、体系的な理解(とその応用)が必要になります。化学の理解の出発地点を押さえておく必要があります。(←要するにつぶつぶ(原子や分子)同士の電気的な相互作用です。それを決めるのは電子と陽子の数です。中性子の数はあまり関係ありません。)

無機化学

 それから、無機化学。この分野はとにかく丸暗記が必要になります。「そういうものだ」と割り切って覚えるしか無いです。試験の一週間〜三日くらい前から復習(丸暗記)をはじめ、試験中にその知識を放出し、それが終われば忘れてもいいです。そして、また試験が近づいてきたら覚え直す、、、(その繰り返し)

有機化学

 最後に有機化学。化学の三分野の中では、最も暗記や、体系的な理解の必要ない分野かもしれません。ここで必要な能力は、「パズルを解く」能力です。ただし、その辺の謎解きと異なるのは、ある程度の知識が無いことには、パズルそのものを認識できない、ということです。違いはそれだけです。謎解きセンスのある人は、短期集中的に学習すれば、二週間程度で東大の二次試験も解けるようになったりします。(もちろん、理論・無機の理解も必要ですが。)

 それでは、それぞれについてオススメの参考図書を挙げさせていただこうと思います。

オススメの参考書

理論化学

 かなり初歩的なところ(有効数字や、単位の話)から、高度な内容(それこそ、東大の二次試験にも対応できます)まで書いてくれているので、これ一冊でほとんど全て網羅できるんじゃないかと思います。(ちなみに、私は東○ハイスクールの東大特○コースの授業を受けたことがありますが、そのときに配布されていたテキストは、この参考書の内容に、東大二次試験の過去問を付したものだったと記憶しています。)

 解説の合間に差し挟まれている問題演習(それほど数は多くないです。)をこなすことで、入試問題にも対応できるようになります。センター試験くらいなら、満点近い点数をとることができるようになります。東大の二次試験であっても、時間的な制約さえなければ、かなり多くの問題が解けるようになります。(時間的な制約に抗うためには、もっと多くの問題演習が必要になります。理Iや理IIくらいなら、必要ないかもしれませんが、理IIIで勝負したい人は、ガリガリ問題演習を積んで、素早く作業をこなせるようになる必要があります。)

 また、このシリーズの最大の利点として、暗記すべき内容をまとめた小冊子を付してくれていることがあります。赤シートなどで暗記しやすいよう、読み手の都合を考えて作ってくれています。
 今でも塾講師をする際には重宝しています。(ちょっとだけ中身の紹介をさせていただきます、、、著作権に関しましては、1.教育関連はわりと緩い。 2.あくまで引用の範囲と言えるくらいの引用面積である。 を加味していますが、怒られましたら、すぐに取り下げます)

(『鎌田の理論化学の講義』鎌田真影著 旺文社 付録小冊子p31 より)

 ここに紹介させていただいたページの内容は、覚えないことにはどうしようもない(受験で勝負できない)物事です。試験中に試験管を用いて実験して確かめるわけには行きません。どんなに頭を絞っても、自分で考えつくことができるような内容でもありません。丸暗記するしかないです。

 そんな内容を、赤シートを用いて、効率的にブルドーザー暗記(私はそう呼んでいます)をすることができます。それが、この小冊子のいいところです。

 以下、無機化学・有機化学に関しましても、同じシリーズの参考書を紹介させていただくのですが、みな、同じ利点があります。 

無機化学

理論化学の参考書と、全く同じ種類の利点があります。

  1. 基礎的な内容から、実際の入試に必要な応用まで幅広く網羅してくれている。

  2. 解説の合間に差し挟まれている問題演習をこなすことで、おおかたの入試問題に対応できるようになる。

  3. 暗記すべき内容をひとまとめにした小冊子がついている。

有機化学

 説明はもうほとんど要らないかと思います。理論化学と、無機化学の際にまとめた利点が、そのまま当てはまります。ですので、代わりに、私の努力の痕跡(みたいなもの)を挙げさせていただこうと思います。私はほとんどこのテキストのみに頼って入試を終えました。お世話になりました。

いつも持ち歩いていたので、ボロボロになっています。側面に張り付いた大量の付箋が、私の努力の痕跡です。表紙にはコーヒーの滲みや、リサージュ図形の落書きなんかがあります。(リサージュ図形、大好きでした。左から順に数式を、、、書くのはやめておきます笑)

その他

問題集

 もう何度も書いていることですが、私は極端に問題演習の量が少ない生徒でした。それでもうまくいったのは、やはり、化学グランプリに積極的に参加する友人と、あれこれ議論をしながら勉強してきたからだろうと思います。実は私は、化学に関しても、最後まで解ききった問題集がありません。
 ですが、苦手分野の補強に役に立ってくれた問題集はありますので、定番のものですが、紹介させていただこうと思います。

辞書的な参考書

 それから、より突っ込んだ内容に踏み込んで書いてくれている参考書もあります。あまりにも分厚くて、詳細なので、「将来、本気で化学をやっていくんだ!」という気概のある人以外は、あくまで辞書として参照するに留めた方がいいかと思います。時間と労力がかかり過ぎます。その意味で、コスパ——あまり好きな言葉ではないですが——が良くないと思います。


まとめ

 詳しいことまでは分かりませんが、この宇宙には四つの力があるらしいです。

  1. 強い力

  2. 弱い力

  3. 電磁気力

  4. 万有引力

 これらのうち、化学に関係してくるのは、電磁気力くらいです。それは、電子と陽子の数によって決まります。理論化学の問題のほとんどは、こうした粒々同士の電気的な相互作用に関するものか、もしくは、粒々の数を数えていく作業かのどちらかだと思います。鉛筆12本で1ダースと呼ぶように、小さな粒々がアボガドロ数だけ集まると、1molと呼ばれるようになります。

 無機化学は、そこに個々の粒子の”性格”が加わります。電子や陽子や、(場合によっては)中性子の数によって、それぞれの粒々に性格が宿ります。寿命が決まる場合もあります。面白いですね。

 有機化学は”謎解きパズル”です。個々の粒子が何十個も集まって織りなす巨大分子が、パズルのピースになります。

 総じて、化学の分野は、細かな知識を「覚えて、忘れて、また覚える」の繰り返しになります。考え方の部分は、そんなには難しくないだろうと思います。ただ、辛抱強さが必要になります。

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