東大(理科II類)に現役で受かるまでにお世話になった参考図書(物理編)

 ぜひ、物理選択をおすすめしたい方がいます。

 それは、”暗記が苦手、というか嫌い”という人です。(裏を返せば、暗記が得意な人は、生物や化学の方が勝負しやすいかもしれません。)

 この記事は私(高校1年時の偏差値は60ちょい)が、なるべく学校に頼らずに東大理IIに受かるまでの過程で、お世話になった参考書をまとめたものです。

はじめに(物理の勉強のコツ)

 物理の勉強を始める前に、数学をある程度まで完成させておくことを強く勧めます。”ある程度”とは、対数関数・三角関数・ベクトル・微積分(対数関数や三角関数の微積分、できれば二階微分方程式まで)のこと、、、つまりは、ほぼ全部です笑

 ただし、数学の勉強の大半は、基礎事項を収めた後の問題演習にあるかと思いますので、「なんとなく分かったかも」くらいの理解で、物理に手を出してもいいだろうと思います。なぜなら、物理を学ぶことによって、むしろ逆に数学の理解が深まったりもするからです。

 実は、高校の物理の授業には致命的な弱点があります。(つまり、独学でやる者が圧倒的に有利になるポイントがあります。)

 数学が完成するよりも先に物理の勉強に着手するため、普通に学校通いをしている生徒は、物理の公式を「意味もわからず暗記して、目の前の問題になんとなく雰囲気?で当てはめて解く」羽目にならざるを得ません。これはカリキュラムの都合上、仕方がないのかもしれませんが、非常にもったいないことだと思います。非常に遠回りですし、「意味はわからんけど、暗記しといた公式をとりあえずつかっちゃえばいい!」的な態度は、理科系に進むものとして云々(以下略)

 独学で物理を進める者は、先に数学を大まかに理解してしまうことを強く勧めます。そして、物理の公式の成り立ちや仕組みを理解した上で、問題演習を重ねることが望ましいと思います。(それからでも十分に間に合います)

物理と古事記

 ここでいったん、”古事記”の話に飛びます。(なんでやっ!)

 「三貴士の誕生」として知られる物語があります。紆余曲折の事情を経て黄泉の国から帰ってきたイザナギが、身を清めるために禊(みそぎ)を行うシーンです。

 この時、たくさんの神々が産み落とされます。

 顔を洗うと、左眼からはアマテラス大神が、右眼からはツクヨミ神が、鼻からはスサノオが生まれます。

 物理も、これと似ています。

 特に力学分野が分かりやすいですね。

 運動方程式を時間で積分すると速度の式になります。速度の式をさらに時間で積分すると、位置の式になります。

 (読み飛ばして下さい→ または距離で積分するとエネルギーの式になります。それを時間で微分すると仕事率の式になります。作用・反作用と絡めて時間で積分すると運動量保存の式になります。)

 何が言いたいのか、といいますと、物理は、”運動方程式”という、この宇宙を支配する法則(神さま)を、ちょっと洗って、またちょいと処理して、というのを繰り返して、個々の法則(神々)を生み出している、という構造になっているということです。図示するとこんな感じです。

画像1

 細かいところはどうでもいいです。大事なのは、数の少ない重要な公式(原理・原則)を、ちょこっといじっただけ(積分したり、微分したり、連立させたり)で、数多くの式が生み出されていくことです。これらを暗記する必要は、必ずしもありません。(ほとんどないかもしれません)

 こうした体系(ストーリー)を理解しておくことで、暗記量を減らすことができますし、何より、応用力がつきます。意味もわからず、ただ暗記しておいた式を闇雲に当てはめるだけでも、目先の定期考査ではいい成績が取れるかもしれません。しかし、そのようなやり方で大学受験の問題に対処するのは困難だろうと思います。(みんな、けっこう苦しんでましたねぇ、、、)

 それでは、前置きが長くなりましたが、参考書の紹介に入らせて頂こうと思います。

おすすめの参考書

 可愛らしい表紙ですが、内容は充実しています。高校物理の範囲を、ほとんど余すところなく網羅できるのではないかと思います。

 私は偶然、BOOK OFFでこれら三冊をまとめ買いして読みました。紹介されている確認問題を逐一解いていく中で、いつの間にか物理ができるようになっていました。(少なくとも、センター模試では満点が取れます)
 この他、学校に買わされたチャート式物理などがありましたが、ほとんど開かず終いでした。

 その名の通り、微積分と物理をつなぐことに「命をかけている」参考書です。書いてらっしゃる方がたしか、大学生か何かで、ノリは軽い感じなのですが笑

 ただし、注意点があります。

 この参考書は、あまりに「微積で解く」ということを重視するがあまり、やや遠回りな解答になっているきらいがあります。何というか、雑魚キャラを相手に必殺技をいちいち発動しているような感じ。最近流行りの呪術廻戦で喩えるなら、いちいち領域展開して戦っている感じです。確実に倒せるというのはわかるけれど、消耗するし、時間がかかります。(原点を定めて、座標軸を伸ばす感じなんか、まさに領域展開)

 ですので、まぁ、数学と物理の繋がりを理解するために使う、に留めた方がいいかもしれません。

おすすめの問題集

 他の記事にも書きましたが、私は極端に問題演習の量が少ない受験生でした。それは、一緒にいてくれていた友達のおかげなのかもしれません。彼とあれこれ物理について語っていました。ホワイトボードにごちゃごちゃと式を書きながら、彼の拾ってきた問題(物理オリンピックとか)を楽しみつつ解いていました。(けっこう喧嘩もしましたが笑)

 ですので、私は受験生活を通して、物理に関しては一冊も解き終えた問題集がありません、、、ですが、お世話になったものはいくつかありますので、紹介させて頂こうと思います。

 『名門の森』は、けっこう解いた記憶があります。八割くらいはやったかな。『難問の系統と〜』は、ほとんど解いていないのですが、東大に受かった周囲の友人が、よく開いていた印象があります。

まとめ

 ”質”か、”量”か、で考えるならば、物理は圧倒的に”質”に寄った科目だと思います。理解できないまま問題演習を多く積み重ねても、あまり進歩がありません。(既に解ける問題の正答率や、解答速度が向上するだけです。)

 ですので、”理解”が何よりも重要になります。そのコツは二つです。

 一つ目は、”定義”を重要視すること。”定義”については、もう、そういうものだと受け入れるしかありません。いくら自分の頭を捻っても、どうにもなりません。(ただ、理解が深まっていくと、そのような”定義”が、いかに便利なのかがわかってくると思います。)

 二つ目は、原理・原則に立ち返って考える、ということです。古事記でいうところの、イザナギを意識する必要があります。(この喩え、分かりにくいですか??^^;)
 これもまた、いくら自分の頭を捻っても仕方がありません。どうして私たちはこう、重力に縛られているんでしょうね??

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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