スタートアップスタジオ-東南アジア編
スタートアップスタジオという言葉をここ数年で一気に耳にするようになりました。一方で、スタートアップスタジオってアクセラレーターと何が違うの?、VCっぽい感じ?等のご意見を頂くことも多く、明確な定義が難しい現状があります。
このnoteでは、スタートアップスタジオの業態の整理とシンガポール本社の弊社がメインマーケットとしている東南アジアのスタートアップスタジオ企業リスト をご紹介したいと思います。
3業態の整理
まず、最初によく混同しがちな3業態に関して簡単に整理しておきます。
3業態には上記のような特徴があると考えております。
スタートアップスタジオに関しては、報酬形態が3つに分類されます。
①株式報酬型
②受託開発を提供し業務委託費
③VCのように直接シード投資を実行し、開発リソースを提供し業務委託費を受取る(わかりやすくいえば、行って来い)
②は一般的な受託開発の報酬体系ですが、①と③はスタートアップスタジオの特徴的な報酬体系と認識しております。
VCはご存知の通り、株式出資がメインの役割となりますが、近年はVCによって人材紹介等の手厚いリソース支援を行なっているVCもあり、資金サポートだけにとどまらない役割の変化が著しい業態と感じております。
アクセラレーターは、YCに代表されるように、一定の期間で豪華なメンター陣からフィードバックを受けられる機会が持てるのが特徴的で、期間限定で行なっていることから、2020年XX期生のように同じスタートアップ同士で同期となって一緒に学ぶことも多いと思います。
個人的な意見ですが、数年もたてばこの3業態は機能としての業界の垣根もなくなり、資金調達のフェーズでシリーズごとのプレーヤーで分けた方が業界がわかりやすくなるかもしれません。
東南アジアのスタートアップスタジオ
リストの作成Step
・Googleで「Startup studio+国名」で検索。対象国はシンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア。
・Google検索の1Pに表示されるHPや記事から企業をリストアップ
・リストの中で、VCやアクセラレーターと名乗っている企業は排除。投資を活発に行っておりVCのような業態でもStartup studioと自ら名乗っている企業はリストとして残す。
シンガポール/バンコク
注目すべきはバンコクのSantoraNakamaで創業者の一人が、ロケットインターネット出身でLazadaの創業メンバーとして知られています。ロケットインターネットに関しては少し前の記事ですがこちらをどうぞ。シンガポールはベンチャーキャピタルやアクセラレーターが活発で、タイは企業VCや企業アクセラレーターが数多く存在します。それらはスタートアップスタジオ と似たような機能を持ちますが、独立系のスタジオ はまだまだ少ないと認識しております。(残念ながら、シンガポール本社の弊社GAOGAOはリストにヒットしませんでした...露出頑張ります!)
ベトナム/インドネシア
ベトナムのスタートアップスタジオ として特徴的なのは開発リソースの提供をアピールしているスタジオ が多い点です。また、日系のSun*がベトナムが拠点を設けております。インドネシアに関しては情報が少ないので、ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。
フィリピン/マレーシア
フィリピン、マレーシアにもまた関してはHPは存在するものの多くの情報提供がなく、現地での情報収集が必要な状況で、東南アジア全域で支援している情報は入手できませんでした。
GAOGAOの特徴
・日本語対応可能なエンジニアのみで開発(英語案件も対応可)
ブリッジエンジニアは置かずに、日本語もしくは、英語のみで開発を行い(クライアントの社内公用語に合わせる)伝達工数を最小化することを目指し、開発体制を構築しております。
・シンガポール、バンコク、ホーチミン、東京に拠点をもち、日本のスタートアップの海外進出と同時に、海外からの日本進出を支援
クロスボーダーで日本を含む東南アジアのスタートアップの支援体制を構築中で、スタートアップだけでなく日系大企業様の新規事業の取組み事例も増えてきております。
今後の見通し
GAOGAOとして、東南アジアのスタートアップスタジオ事業 に2つの理由から大きな可能性を感じております。一つの理由は日本と同様に、スタートアップの数は増える一方で開発リソースは常に不足しています。また、高いレベルの開発チームを機動的かつ柔軟に供給できる業態はスタートアップスタジオ だけでなく、他の業態を見回しても存在しないはずです。今後、ますます開発リソースをもつ、スタートアップスタジオの必要性が高まることが予想されます。
もう一つの理由は東南アジア全体でスタートアップスタジオ の特徴的な株式型報酬の交渉ハードルが日本より低いからです。背景には日本ではシード調達環境が良く(今後はわかりませんが)、株式報酬型よりも調達した現金で業務委託費としてお支払いを希望されるケースが大半で株式報酬型の契約は困難です。一方で、東南アジアは日本と比較するとシード調達の難易度が高く、開発リソースを提供するかわりに株式報酬型での支払いを選択することも検討できる環境の違いがあると考えられます。また、一部投資家サイドからも、玉石混交の東南アジアマーケットで弊社が開発に入ることで、一定のクレジットを担保出来る安心感とVCにはないソーシングアプローチがあるというコメントも頂戴しております(一方で、シード期の外部委託は投資判断で大きなマイナス要素との声も頂戴しております)。
まとめ
上記の通りスタートアップスタジオ は、東南アジアでは一部の限られたプレーヤーが存在するだけで、また設立はリストの企業は全て10年未満でスタートアップスタジオ という業態が活気づいているとは言えないのが現状かと思います。一方で、VCやアクセラレーターの充実度は高いと認識しております。今後、スタートアップスタジオ のプレーヤーが増え東南アジアのスタートアップシーンの一役を担うのか、もしくはスタートアップスタジオ 業態なしにスタートアップエコシステムが作られていくのか、今まさに分かれる局面に直面しております。
弊社GAOGAOではエンジニアの方、0→1開発にお困りの大手企業様・起業家の方、双方募集中ですので @kengaogaoasia までお気軽にDMください!
最後に
最後に、タイ最高学府と呼ばれるチュラロンコン大学に通うインターン生のBaipaiさん(ニックネーム)のリサーチにより当記事を掲載できたこと心より感謝申し上げます(本当はこれの5倍くらいの情報量をまとめて頂いたのですが...)。タイ語で情報にリーチすることが、我々外国人にとってはハードルが高く、大変有意義なリサーチを日々供給して頂いてます。また、気が向いたら他のリサーチも記事にしたいと思います。
Represented by Ms. Thayawee Tangchittarworngul
A bachelor of accountancy, majoring finance & banking, Chulalongkorn University
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