心のなかの悪魔
「くるり」というバンドが居る。
1998年の「東京」でのメジャーデビュー前から京都のFM局によく出ていて、「ボーカル・ギターが電車好き」というまぁ珍しい紹介をされてて、楽曲(=「東京」)聴いたらドハマり。
1999年に京都の磔磔で行われた「くるりの大回転神社」というイベントにも行っている人なので、ファン歴はおそらくいちばん長い部類に入る。
「くるり」の魅力はいろいろあって語りだすと止まらなくなるけれど、一番はダメな自分の心に寄り添ってくれるところだと思っている。
なんかの音楽雑誌でボーカル&ギターの岸田繁さんがフジロックの会場でおいおい泣いていたと書かれたインタビュー記事を読んだ。
当時はたしか5枚目のアルバム「アンテナ」後のクリストファーの脱退の時期だったような気がして、オリジナルメンバーのもっくんが抜け、クリストファーも抜けとドラムが定まらん時期(それを考えると「感覚は道標」は泣ける)。
彼の繊細さに怖くなる(こないだ炎上してたときすごい心配だった)こともあるが、自分もおおよそ同じでそれに助けられている部分が往々にしてある。
くるりのファンであることを公言している人は芸能人にも多く、公式サイトにも出てくる人では、妻夫木聡さんや吉岡里帆さん、又吉直樹さん、そうでなくても飯豊まりえさんや杉咲花さんなんかもラジオでくるりの曲選んでたりしていて、こうやって名前を見渡してみても自分が好きな方であり、安心感がある。
「心のなかの悪魔」という楽曲がある。
もともと録ってはいたものの、新型コロナの影響で活動ができず、くるりの膨大な楽曲のストックから選ばれた曲が入った「thaw」というアルバムのなかの1曲。
曲聴いて泣くことはあまりないんだけど、この曲については別。
楽曲を聴いてまず泣いたし、鳥飼茜さんが携わったミュージックビデオ見てさらに泣いたし、なんなら歌詞だけ読んでも泣けて「ああ、我ながらメンヘラだわ…」と(苦笑)。
家なし生活になってから、絶望的なことが多いからそのときはこれをエンドレスリピートしている。
精神の病気→失業→こどももいるのになにもできないとかありえん(そもそもフリーになった段階で元妻には死んでほしいと思われていた)→離婚→実家で療養→復帰の見通し立てろや!なんで見通し言えん筋通せよ!と責められ実家脱走(ここで機能不全家族育ちであることをようやく実感)→家なし生活
こないだ初めてお会いした方にも「タフだね」と言っていただいたんだけど、まぁほんとタフだなぁとは思っていて、人間が受ける強いストレス(離職・離婚・借金・死別=実際には死んでないけど親しいと思っていた人がそうでなかったことはこれに近い・住むところがない)はすべてもってて、自分でもなんでいまだ死んでないんやろなと(苦笑)。
ここの歌詞最初はなにも響かなかったんだけど、本当にお金がなくて家もないし、西宮から神戸までの15kmくらいを5時間くらいかけて歩いてった経験を踏まえると本当にそうで涙しか出なくて、岸田繁という人は人生を何回やってんねやろなと思う。
全体的に救いがない曲なんだけど、後半悪魔を解き放つところで少し射し込む光みたいなものが見える。
自分に起こっていることは事実ではあるんだけれど、長年の経験からの「呪縛」みたいなものがそうさせているところがあると思っている。
それが「心のなかの悪魔」でいつか解き放つときが来ると信じて前に進む。
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