レビュー「エレファントカシマシアルバムレビュー」 第四回 生活

「生活」

本作から恒例となる日比谷野外音楽堂でのコンサートが行われるようになりました。ビルを山に見立てるには充分なロケーション、そして、虫の音が相乗効果を発揮していました。もちろん、着席してのコンサートでしたが、適切な鑑賞方法だったと思います。また、本作の七曲というのも意外にも適切だったし、また、音のバランスも、そのようにすることで本作のイメージの孤独をわかりやすく示したと思います。この孤独の闇は深く、自殺をするのでは?と不吉なことを思ってしまうくらい緊張感がありましたが、「男は行く」のカオスや「遁生」の絶望が大きな要因にあるのかもしれません。「ペットのようなら飼ってもいい」と歌う一言は強烈に心に刻まれました。既にラブソングを歌わないことは定着していましたが、それに加えての一言でした。ロックバンド、あるいはロックンロールとは?生きるということとは?異性、付随して恋愛とは?本作もあれこれと考えさせられる作品です。「偶成」の優しさや「晩秋の一夜」の美しさが後押しをしているのかもしれないし、また、冒頭で挙げたいくつかの適切な事柄のせいで判断を鈍らせているのかもしれませんが、考えた末、間違った答えを出してしまったり、大切な何かをないがしろにしてしまうのも本作でした。でも、選択の誤りも後回しにした事柄も小さき花を見たかったり、「遁生」と同じ立場に立って、夕日に浮かぶ富士の山を見たかったからそのようにしたのかもしれません。

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