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レビュー「好きなドラマ、小説、漫画等10作品」  第十回 さくらの唄

「さくらの唄」

爆弾を作っていましたが、「太陽を盗んだ男」を連想させます。それが示すようにセンセーショナルな「さくらの唄」でした。バブル時代が背景なだけに金、権力、快楽等、いくつかの事柄が混在した作品でもありました。かつての不良やヤンキーが角が取れて丸くなった姿を見ると微笑ましく清々しい気分にさせられますが、そうでない問題児がそうなると、なんだか、寂しい気分にさせられます。「さくらの唄」はそのような感傷的な余韻を残しますが、先ず思い出すのが、すり替えられた自主映画を目の当たりにした女教師のパニックと狂行です。シチュエーションの残酷さ、映し出され暴かれた性生活、加えて自身の肛門のクローズ・アップは羞恥の極みです。個人的には「デビルマン」や「十階のモスキート」みたいなエロスとパイオレンスはいつまで経っても忘れられませんが、それに加わる「さくらの唄」でもありました。当時、本作の作者自身の年齢も若かったですが、稀にそのような若さの熱量が溢れ過激な作品が登場することがあります。一例を挙げると音楽では頭脳警察のファースト・アルバムやセカンド・アルバム、小説では村上龍の「限りなく透明に近いブルー」、映画では石井聰亙監督の「狂い咲きサンダーロード」です。「さくらの唄」はそれらと同列に並べられる作品でもありますが、自身がリアルタイムで同世代の作者が発表した作品ということもあって贔屓にしたい作品です。

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