夜しか泳げない (名盤037)
「夜しか泳げない」
「夜しか泳げない」は1990年に発表されたSIONの五枚目のフル・アルバムです。1989年に発表された前作の「ストレンジ・バット・トゥルー」はタンゴを導入、SION の音楽性は渋くて本作はジャズやブルースの感触、どちらかと言えばジャズのフィーリングが強い作品です。収録曲の「12号室」はコンサート等でダイレクトに聴きたいと思うくらいのインパクト、当時、音楽評論家の渋谷陽一さんのラジオ番組でも本作やこの曲を取り上げていて、「12号室」の為にあるアルバムと紹介していたほどでした。この曲もジャズのフィーリングでピアノ、ウッド・ベース、ドラムというシンプルな構成、あるはずのギターがないのは歌詞とシンクロして説得力があります。本作を聴く前に収録曲が雑誌に記載されていたので気になっていました。ミステリアスな雰囲気を感じ取りましたし、同様にアルバム・タイトルもミステリアス、それもまた、期待する要因になっていたのかもしれません。アルバム・タイトル曲は仲井戸麗市がスライド・ギターで共演しています。SION と言えば新宿ですがチャボも新宿が出身、共通項が一致している二人の共演も嬉しかったです。