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『けん玉ハウス』02 | シェアする、「ほんとに住んでくれるの?」


古民家でシェアハウスをはじめたので、その経緯と日々のできごとについて書くことにしました。

前回の記事→01 | 古民家でシェアハウスをすることにした

今回は“あちゃんが住んでくれると言った日のこと”です。

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けん玉ハウスで1人じゃなく、2人で住むというイメージは膨らんでいたけど、実際のところ、あちゃんがどういう反応をするかは本当にわからなかったです。

あちゃんはわたしと同じ28歳。そのとき実家暮らしをしていました。生活圏が変わらなかったこともあり、一度も実家を出なかったようで家を出ると告げると親御さんはどういう反応をするだろうかと少し考えました。ここまで出なかったんだからこのようなタイミングで出ることは想定してないだろうし、飼ってるワンちゃんのお世話をどうするのかとか、シェアハウスを快く許してもらえるのだろうかとか色々なことが頭の中で渦巻きました。

そして、一つ大きな気がかりがありました。


実は以前あちゃんが実家を出ようと思ったタイミングがありました。それはあちゃんが前に付き合っていた人と同棲をしようとしている時でした。(この話はすごくプライベートなのであちゃんに書いていいか聞きました)
けれど、その同棲の場所は、1階が彼の実家で2階が彼の家という二世帯住宅の新築。ここに住むというのはもう、“けっこん…”が隣り合わせになっているようなシチュエーション。こういう時、鈍感力や勢いがあると行けたのかもしれないけど、あちゃんは同棲開始予定月から1ヶ月、2ヶ月と経っても行くことはありませんでした。最終的に行かないことを決めた時、あちゃんは「私、人と住めない……」と涙を浮かべました。

そんなことがあったので断られる可能性は大いにありました……

次の打ち合わせでは建築家の友人ヒさんがリフォーム会社の人を連れてきてくれることになりました。リフォーム会社の人に実際、けん玉ハウスを見てもらって見積もりを出してもらうという日。

「業者の連れての下見、来週木曜の19時からはどうかな?」
「OKです!母も誘いますね」
「人当たりのいいノッポのおっちゃん連れての行きます!」
「よろしくお願いします!」

そんなメールをしているころ、タイミングよくあちゃんに飲みに誘われました。
絶好のタイミング。

「ねえ、あちゃん。けん玉ハウスを改修しようと思ってて、この前ヒさんに来てもらって見てまわったんよ。それでね、生活の想像をしたんやけどね、一人ではさみしいってなって…一緒に住んでくれん?」
この時のわたしには勢いがあった気がします。ぐいぐい誘い込みました。お酒の力を借りながら。
「来週の木曜日の19時からけん玉ハウスでまた打ち合わせがあって、その時業者の人とヒさんも来てみて回るんだけど、それに来てー」
「わかった。」
OKをもらいました。
この後、楽しそうやなとか言ってくれてたので、意外と前向きに考えてくれるかもしれないと可能性を感じました。ヒさんにメール。
「ヒさん、あちゃんも来てくれことになりました!」
「あちゃんも来るとか口説く流れやな(笑)」
「もうちょっとで落とせるかな?笑 援護射撃頼みます」
「任せといて!」



9月17日19時
仕事終わりにあちゃんに車で迎えにきてもらってけん玉ハウスへ向かいました。

ヒさんが『津田の家プロジェクト(仮)』と書かれた資料を一人ずつに配る。
ヒ「津田の家プロジェクト!ちょっと大きく出てしまいました(笑)」
一同「笑」

その資料には前回の内覧日の時に撮っていた各部屋の写真が左に、右にはそれぞれの部屋で見積もりを取ってほしい内容が記載されていました。
その資料にみんなで目を通し、ヒさんが前回汲み取ってくれた要望+ヒさんの気づいたところをリフォーム会社のノッポさん(ここではそう呼びます)に説明しました。ヒさんもノッポさんも慣れているようで、スイスイと進んでいきました。

ヒ「どしたんあちゃん、借りてきた猫みたいで(笑)」
あ「いやあ(笑)」
たしかにあちゃんはこの日、母の手前だからか、すごくおとなしかったです。

資料を一通り見て、実際に家の中を見まわって、打ち合わせは1時間半くらいで終了。

ヒさんとノッポさんが帰り、母とあちゃん、わたしの3人になりました。
わたしはあちゃんに部屋割りの話を切り出しました。
「もしあちゃんが住んでくれるならここをあちゃんの部屋にしようと思ってる…!」
あちゃんはうなづきながら部屋を見渡しました。そのままにしてあった掛け軸と壺が目に入ったので、わたしは慌てて「あ、あれらはもちろん捨てるからね」と付け加えました。あちゃんがどういう気持ちでいるのかあまり読み取れず、様子をうかがっていると、母があちゃんに
「あちゃんは、どう?住んでくれる気持ちはある?まだ決まってない?」と聞きます。
わたしは内心、“お、お母さん、、聞けなかったこと聞いてくれてありがとう!”と思いながら恐る恐るあちゃんを見ました。
あちゃんは涼しい表情で「はい。引っ越し12月からですよね。私も年内には住む方向で考えてます」と。

さっきまでの借りてきた猫感はなんだったんだろう思うほどあっさりと決まったので、びっくりしましたが嬉しかったです。

実はこの日、あちゃんは心を決めて挑んでくれていたのと思います。

ヒさんにあちゃんがけん玉ハウスに住む方向で考えてくれてることを伝えると喜びました。
「よかったなあー!ほなけど、よういけたなあ」それもそう、人と住めん発言を数ヶ月前にしてたばかりだったから。

この事をあちゃんに問うと
「あの時、人と住めんていうのと、これとは全然違う。ゆりちゃんとはずっとじゃないしね。」
と言っていました。

たしかにわたしとは半年もしくは一年くらいかもしれない−。

あの時言った“人と住む”っていうのは“ずっと住む”ということを言っていたんだなあとここでわかります。
そして、おこがましいけど、この生活であちゃんが“人と住む”ことに対するハードルが低くなったらいいなと思いました。

最後までお読みいただきありがとうございました。次回はけん玉ハウスというニックネームの由来をお話しします。またよければご覧ください。

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