フェアでクリーンな勝利 2022J1⑭大阪ダービー
ダービーで勝つことの効果はとてつもないもの。
サッカーの試合をスタジアムで初めて見た人、セレッソ大阪の試合を初めて見た人、親と一緒にセレッソの試合を楽しんでいた子どもたち。
彼らのなかで、この試合を境にセレッソを応援してみよう、これからチェックしてみよう、追っかけてみようと決めて、セレッソに"ハマった"人は絶対いたはず。
なにを根拠にと言われそうだが、自分は大阪ダービーをきっかけにセレッソ大阪にハマった人間なのでどうしても期待してしまう。
少し昔話をする。
自分がセレッソを応援するようになったのは2004年あたり。祖母が長居に住んでいたので自然とセレッソを応援するように。
当時はまだ幼かったこともあり、セレッソの立ち位置とか、ダービーのプライドとかもよく分かっていない。ただ目の前で繰り広げられているサッカーの試合に夢中だった。学校から配られる招待券を使って、長居スタジアムによく行った。もっとも、最初は年に5試合ぐらいだったけど。
正直、最初はセレッソもガンバも両方応援していた。大阪ダービーのときは必ずセレッソ。関係のないときは、どちらも大阪だからそれぞれの立場から応援する。サッカーを観ること以外にも好きなものはあったので、阪神の試合を観ることもあったし、別の趣味を探して過ごすこともあった。ごく普通のマイペースな少年。
ただ一番応援しているサッカークラブはセレッソ大阪に変わりはなかった。
そんな自分だが2010年に南アフリカW杯で日本代表が躍進したのとセレッソがJ1で3位に食い込んだこともあって再びサッカー観戦に夢中に。チームの中心だった香川真司が移籍したのに3位に入ったのでセレッソにより注目するように。
2011年のACL。絶対クロスだと思った高橋大輔のボールがネットを揺らしたときにTV前で興奮したのは今でも思い出せる。セレッソもガンバに勝てるんだと、興奮とともに嬉しさもあった。
そして2012年3月17日。たしか自分の受験の合格発表の翌日だった。久しぶりに長居スタジアムで観戦。
若くて有望な選手がたくさんいて懸命に戦うも同点で、このまま引き分けるのかなと思ったが、残り1分でシャケさんのふんわりクロスをケンペスがヘディングでゴールに叩き込んで2-1。
これ以上ない劇的な幕切れで勝利。大阪ダービーでセレッソ大阪が勝ったのを初めて生で観た試合。セレッソ大阪はこんな素晴らしい試合ができるようになったんだと感動した試合。
この試合をきっかけに、自分は完全にセレッソ大阪のサポーターを名乗るようになった。毎試合速報をチェックして選手も全員覚えた。ハイライト動画も見まくった。
そしてもうガンバは応援しなくなり、むしろ敵対視するように。自分も歳を重ね視野が広がったことでセレサポとしてのプライドが芽生えた。
セレッソも強くなっていったので、もうセレッソだけを応援していけばよかった。
あれからかなり時が過ぎ、ここ最近の大阪ダービーは完全にセレッソの思い通りの展開になっている。
2017年10月8日ルヴァンカップ準決勝で、セレッソがアディショナルタイムで決勝ゴールを決めて決勝進出を決め、その勢いのまま初タイトルを獲得。
しかしリーグ戦では内容で上回りながら1点が遠く勝ち切ることができない試合も。
そんな中、2019年9月28日のリーグ戦で3-1の完勝。これまで通りプロレス技で押し切ろうとする相手に対してロジカルなサッカーで普段通りに戦って勝利。この試合を境に風向きが変わった。
大阪ダービーの勝ち方、こうやれば自分たちが優位に試合を進められるよという戦い方をセレッソにもたらしてくれたミゲル・アンヘル・ロティーナ氏には感謝しかない。
勝たないといけない試合で勝つこと、こちらの期待に応えてくれること。これから新たにファン・サポーターを増やすためにも、セレッソ大阪はダービーの意味を理解して確実に結果を残せるクラブであってほしい。
ダービーについていろいろ書いたところでそろそろ今回の試合の話へ。
今回の大阪ダービーのスローガン?は「フェアでクリーンなダービー」。
要は揉めるなよ、喧嘩するなよ、絶対喧嘩するなよ!ってことで。人として当たり前のルールは守ってくださいって話。
大体いつもそうなんだけど、大半のサポーターは平和に過ごしているしスタグルにも一緒に並んでいる。お互いのサポーター同士の揉め事は(自分が知る限り)今回は特に目立たなかった。
大阪ダービー、ならびにヤンマー #Football is our engine サポーティングマッチということもあり、ヨドコウ桜スタジアムに改修されてから最多となる18,750人が集まった。
この試合は久々にバックスタンドが埋まっており、新メインスタンドもかなりにぎわっていた。自分は先輩からありがたく頂戴したゴール裏のチケットで入場、今季初のゴール裏で観戦。入場者プレゼントで配られたフラッグとともにかなりの数の旗が舞う。
試合はコートチェンジにより前半から自分たちのゴール裏に向かって攻める展開に。
先月のルヴァンカップで対戦したときに相手のビルドアップの出来が悪すぎて、さすがにこの試合は改善してくるだろうと書いた。だが、正直ほとんど改善されていなかった。細かい修正はあったのかもしれないが形に表れていなかった。感染症や負傷の影響で多くの離脱者が出た影響もあったのだろう。
ほぼセレッソが試合を支配した。ビルドアップのミスから痛恨の失点を喫してしまったが、だからといってチャンスが減ったわけでもなかったし、先週の名古屋のように割り切って守るといったこともしてこない。選手も小菊さんも必ずチャンスはくると信じてプレーしていた。自分も、ゲームプランは間違ってないからチャンスが来たら必ず仕留めろ!という思いで応援していた。
後半その思いが実って本当によかった。
58分、相手のセットプレーが流れたところから、ジンヒョンの素早いリスタート、陸の攻め上がり、キヨの絶妙なトラップからの高精度のスルーパス、奥埜の走力と粘り。全員でタガートの今季初ゴールを生み出した。結果的にタガートにアシストした形になった三浦弦太のクリアボール。相手は完全に後手を踏んでいた。
追いつけばもう無理にリスクをかける必要がない。前半とペースを崩さずに戦える。これで流れを取り戻し、完全にセレッソが試合を支配したので、あとはチャンスを決めるだけ。
66分、相手が攻撃をしかけたところを原川が奪って、鳥海→原川→キヨ→山中とテンポよくつないで左サイドのクロスからタガートが囮になり奥埜がヘディングゴールで逆転。
その後鳥海が負傷交代、舩木がリーグ戦では初めての左CBで出場。役目を終えたタガートとパトリッキ、キヨに代わり、為田と颯太、陸次樹がイン。
順調にセレッソが試合を進める中で、ガンバは78分に味方同士の謎のパスミスからセレッソにCKをプレゼント。このあたりからもう様子がおかしかった。
そして88分。
自陣からのスローインを始めようとする昌子と味方とでリスタートのタイミングが合わず、昌子がボールを叩きつける。そこで何を思ったのかレアンドロペレイラがこの試合最速のスプリントを見せて昌子に激しく詰め寄り、それを他の選手たちが身体を張って止めるありさま。
試合中なのになにをやっているんだと呆れる片野坂監督とガンバサポ。逆にセレサポはこちらの思うつぼと言わんばかりに拍手を浴びせる。颯太も陸次樹も冷たい目で相手の身内喧嘩を見ていた。
この試合、地上波・NHK大阪で中継されていたのに(笑) 地上波でダービーの試合中に身内喧嘩がおきてテレビにさらされる事態なんてガンバサポとしては屈辱的。
録画を見返してみると、解説を務めていた大久保嘉人が「味方同士でもめてますね」「ああいうことが起きるということはチームがバラバラということなので非常にもったいない」と話していた(嘉人は相手や審判には食ってかかりよくもめていたが苦笑)。
あの振る舞いは真剣にチームを勝たせたい思いから生まれた行動だという意見もあるが、勝利への執念は理解するとしても、その気持ちの示し方はあきらかに間違っていた。
これでもうこんなチームには勝てると思ったのと、こんなチームに追いつかれるようなことがないように最後しっかり締めてほしいという気持ちとで揺れながら観ていたアディショナルタイム。
セットプレーのピンチを迎えるも陸次樹がクリア。セカンドボールをマイクが刈り取ってスピードに乗ったドリブルで運び、外側から猛ダッシュで攻め上がった奥埜に渡して、奥埜がニアサイドをぶち抜くシュートでネットを揺らす。
最後まで運動量が落ちなかった2人による仕上げのゴール!
終始内容で圧倒して、後半見事に結果で圧倒した。
こういう試合を続けていけば必ずセレッソ大阪はもっと注目されるクラブになると期待できる試合になった。
注目度が高いダービーマッチで確実に勝利を収めたことの意味は大きい。
この試合をきっかけに、セレッソを応援しようと決めた人が出てきてほしい。かつての自分のように。
また、忘れられない思い出ができた。
セレサポでよかった!