シビックテックコミュニティでプロダクトを創る「はじめの一歩」
(Code for コミュニティをはじめとした)シビックテックコミュニティが、"新しいアプリやサービスなどのプロダクトを創るときにどう進めていけば良いのか"、について色々とご相談を受けたので感じていることをまとめてみました。まだ立ち上がったばかりのコミュニティやシビックテックに関心があるプレイヤーの方のご参考になれば幸いです。
2020.08.09
この記事は随時、アップデートできたらいいなぁと思っています
1. どうやって創る?みんな忙しいから不安…
(5374.jpや新型コロナウイルス感染症対策サイトのように)他のシビックテックコミュニティが開発したアプリなどを横展開するのではなく、アイデアがあってその必要性を感じ、新しいアプリを独自で開発したいと思うときもあると思います。
課題もはっきりしているし、アプリのイメージもできている、さらにエンジニアだって揃っている!
…それでもこうした新しいプロダクトを創るというのは意外に大変です。
プロのソフトウェア会社であっても一つのプロダクトを創るというのは大変なことなのに、それを有志で集まったコミュニティで創っていけるんでしょうか?それぞれが仕事やプライベートで忙しいというのに…。
Code for Kanazawaでは、これまでにも多くのオリジナルプロダクトを創ってきました。全国に拡がった5374.jpをはじめ、のとノットアローン、ha4go、金沢テイクアウトマップなどがあります。また、この陰で数多くのプロジェクトが生まれて消えました。
その経験の中で、まず大事だなぁと思ったのは、プロジェクトリーダーの存在です。
シビックテックの活動は日々の日常との共存が大事であるため、時間が一番のキーですね、きっと。
2. リーダーと伴走者の存在が鍵
どんなことをやるときもプロジェクトリーダーは大事です。
でも、仕事ではないシビックテックプロダクトの開発には、このプロジェクトリーダーの存在はとても大事です。
・課題ってなんなの?
・どうしてこのアプリがそれを解決できるの?
・参加するわたしたちはどの部分をやればいいの?
そういったことをしっかり説明でき、情熱を持ってメンバーに協力を呼びかけることができるリーダーがいないと、最初にやる気があったメンバーも日々の日常に追われる中でモチベーションは下がっていきます。
「これを絶対にやりたい!」って思った「あなた」がプロジェクトリーダーをやらないと、きっとうまくいかないでしょう。
次いで大事なのは伴走者です。
シビックテックは仕事というより自発的な活動であることが多いため、仕事で開発プロジェクトを率いている人でもプロジェクトリーダーとして戸惑うことは少なくありません。そもそもメンバーとして関わる方々が、こうしたアプリ開発などに不慣れな場合も多いので。
そういったとき、シビックテックプロダクト開発の経験者やシビックテックの活動経験が豊富な人に相談者として伴走してもらうことで、きっと気持ちが軽くなります。
言ったことをやってくれない、スケジュールが遅れているけど向こうも忙しそう、あの人ばかりに無理をさせている、いつも批判的なことばかり言う人がいる…。
そもそもみんな社会を良くすることに力を貸したいと思って楽しんで参加していたのに…。
想いから始まるシビックテックのプロジェクトを推進していれば誰もが思うこういったことを経験します。こうしたことを解決するのも、「お金」ではなく、「想い」だと思うので、プロジェクトリーダーと伴走者の存在がとても大きいです。
伴走者になりえる人が自分たちのコミュニティにいなければ、外部のシビックテックコミュニティを頼っても良いと思います。どんどん他の方の力を借りてください!
外部のコミュニティがよく分からないという方は、僕が所属する一般社団法人シビックテックジャパンはそうした地域コミュニティの横連携を促進する団体ですので、そこに相談してみても良いですよ。
3. 小さく創る合宿やあらかじめUIを用意する
シビックテックプロダクトは小さく創って大きく育てる、が一番適しています。コミュニティで創るのだから大きなものはとても無理という話もありますが、早く創って使ってもらうことにより、改善点も見つけられるし、いろいろな人の声がモチベーションの維持にもつながります。
Code for Kanazawaの5374.jpは1泊2日の合宿形式で開発されたことは色々なところで話していますが、小さく創るのであれば一気に何人かで創ってしまう合宿も良いかもしれません。楽しいですしね。
また、その際にも既にあるイメージを簡単な画面仕様書にまでおこしてから取りかかるといいかもしれません。何にもないところから始めるより早いし、なおかつメンバー間の意識統一が早くできます。
シビックテックは身軽にスピーディーに開発できた方がなにかとうまく行く気がします。
のとノットアローンは半年以上、ha4goは1年以上をかけたプロジェクトでしたが、これはリーダーのパワーとメンバー間の信頼関係がなせた技かもしれません。
4. オープンソースで公開した方が良い?
多くのシビックテックプロダクトは、オープンソースライセンスで公開されています。Code for KanazawaもMPLを選択して公開しているものが多いです。
でも、これはもちろん絶対ではありません。オープンソースとして公開した方が良いかはコミュニティで選択してもらえば良いでしょう。仮にオープンソースではないからと言って悪いわけではないです。
各地域に横展開してもらいたいということであればコードを公開するというのは良いと思います。逆にサービスとして展開し、全国展開の場合もコミュニティが責任を持っておこなっていこうという場合はコードを公開しない方が良いでしょう。
例えば、Code for Kanazawaでは、5374.jpはMPLで公開していますが、その上位版となる5374Appはオープンソースとして公開せず全国サービスを展開しています。
但し、全国サービスを展開する場合、遠く離れた地域のサービスをシビックテックコミュニティとして運営することに大変さはないかをしっかり検討した方が良いかもしれませんね。
5. お金をとっても良い?
シビックテックコミュニティだからといって、お金をとっていけない理由はないと僕は思います。
適切な価格は幾らなのかというところは悩むかもしれませんが、地域にとってそのアプリやサービスの持続可能なモデルを創るために、代価をいただこうというのは健全な話なのではないかなぁと思います。
経費だってかかりますし、メンバーに謝金を支払いたいときだってありますしね。
6. 最後に
この部分の理解が社会全体に拡がり、地域の人たちから資金面でも支援が集まるようになって、地域のシビックテックコミュニティが自由に開発が可能になる時代が来るといいなぁって思います。
そのためにも、シビックテックコミュニティが意義を持って、活動そのものも楽しみながら、しっかりと貢献するプロダクトを創っていけるようになることは大事ですね。
僕個人としてもそういうところに今後も注力していきたいと思っています。一緒に考えていける方、ぜひよろしくお願いします。
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