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外厩(ガイキュウ)について知ろう。4
実は数年前に『追分ファームリリーバレー』では、イヤリング厩舎(離乳した1歳馬の管理・馴致を行う)を生産牧場である『追分ファーム」から『追分ファームリリーバレー』へ完全に移している。
本来なら育成牧場は調教に特化し、イヤリングは完全に分離するもの。
なぜ『追分ファームリリーバレー』へわざわざイヤリング厩舎を移したのかと言うと、雪の量が大きな理由だという。
『追分ファーム』と『追分ファームリリーバレー」の降雪量を比較すると、『追分ファームリリーバレー』の方が雪が少ないらしい。
さすがに1歳馬はコースでバリバリ乗るワケではないので、いくら調教コースに屋根があっても意味がない。
したがって1歳馬の運動量を確保には、雪の量が少ない『追分ファームリリーバレ一』が最適・・・・・・ということになった。
さらにイヤリング厩舎が目の前にあればイヤリングから本格的な調教への移行もスムーズに進むため、より馬の個性や体力に合わせて調教を進めることができる。
こうして『追分ファーム』生産馬全体のレベルアップに繋がっていくワケだ。
最後に『追分ファームリリーバレー』出身馬のエピソードを少し紹介しよう。
『追分ファームリリーバレー』出身のG1馬といえばペルシアンナイトだが、やはり 1歳の頃からモノの違いを見せていたそうだ。
ペルシアンナイトの本格的な調教は1歳10月頃からスタートしたそうだが、この当時から2000mを1ハロン20秒くらいで走っていたそうだ。
普通の馬ならば、ここまでのスピードで走れるのは年末くらいだが、ペルシアンナイトはイキナリから脚力や体力の違いを見せていた。
坂路に入れても「1頭だけ抜けて走っていた」とのこと。ただ、他の馬に合わせた調教メニューだとペルシアンナイトには足りない。逆にペルシアンナイトに合わせると、他の馬が潰れてしまう。
「他とは3段くらい違う馬」とも言われており、強い調教を行う際は、集団から外れてより強い調教を課していたそうだ。
マイル戦でG1を勝っているが『追分ファームリリーバレー』側は「2000mでも大丈夫」と見ていたそうで、3歳時は皐月賞で、古馬になってから札幌記念など2000mのレースでも好走していた。
そしてもう 1頭、2018年に2000mの距離を克服したサングレーザーだが、こちらは『追分ファームリリーバレー』独自の調整でパワーアップしたという。
3歳時も4歳時も札幌で勝っているが、その裏には「追分ファームリリーバレー』での仕上げが大きく貢献しているという。
3歳の夏には、サングレーザーとタンタアレグリア(2017年のA JCCを勝利)しか耐えることができないくらいの過酷な調教メニューを課し、なおかつ馬体を減らさないようカイバなどを工夫してパワーアップに成功。
そして4歳時(2018年)は、2000m路線で行くことが早々と決定していたため、1年前のノウハウを取り入れつつ、コーナー4つの競馬に対応するため、ペースの緩急に対応するため、工夫した調教で2000m仕様に鍛え上げたという。
G1制覇にはあと一歩届かなかったが、2000mでもG1馬を相手に互角の走りを見せて競馬を盛り上げてくれた。
ペルシアンナイト、サングレーザー、ルヴァンスレーヴ、そして最近では、セリフオス、ガイアフォースなど、様々な試みが実を結び『追分ファームリリーバレー』での活躍馬も徐々に増えてきた。
『追分ファームリリーバレー』としては「まだまだ、これから」という話も出ているようだが、充実した施設を駆使し、イヤリング(1歳)からの一貫した育成が噛み合い、成績を伸ばしているところ。
今回で『追分ファームリリーバレー』の紹介は最後となるが、今後も様々な活躍馬を送り出してくると思われるので注目してほしい。
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