メーヤウのカレーと辛いものを食べたくなるわけ
早稲田大学のそばにあった伝説的なカレー屋「メーヤウ」。近年、有志の手によって復活したのです。メーヤウといえば、一度食べたらやみつきになる辛さ。辛くて辛い。中本で言えば北極くらい辛い。
辛いもの。わたし好きなんです。どうしても食べたくなるときがあるんです。
辛いものを食べていてよくあるのが「なぜわざわざ辛いものを食べるのか?」という疑念です。
辛いもの好きにはそれぞれ考えがあると思います。
汗をかくのがいい、痛みが気持ちいい、辛いの中においしいさがある、などなど。
ただし、どれもそのとおりなんだけど、核心的ではない。辛いものを食べるということの核心はなんだろう。
そこでニーチェを参照してみましょう(ニーチェが辛いもの好きかは置いておきます)
ここでポイントなのは、秩序である「アポロン的なもの」と混乱である「ディオニュソス的なもの」との「拮抗状態」に魅力があるということです。
これを辛いものに当てはめてみる。
そうするなら、「ディオニュソス的なもの」は食べるとヤバさをもたらす「辛さ」でしょう。
反対に、箸を休めているときは「アポロン的なもの」、秩序がもたらされるわけです。
すなわち、ニーチェによるなら、「辛いものを食べるということ」には、「ディオニュソス的なヤバさ」と「アポロン的な休息」との「拮抗状態」が満ちているのです。
カレーを口に運び舌に載せた途端に、辛さが痛みとなって伝わります。その辛みが痛みになり、その瞬間。静けさ。辛さが後を引く時間。辛みと休みの間の時間。このひとときが辛いものを食べる楽しみなのではないか……
辛いものを食べたくなったとき、辛いものを食べたとき、辛さに耐えているとき、その瞬間の少し楽しみが増えてくれれば嬉しい限りです。
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