
化学問題5
天然のタンパク質を加水分解して得られたペプチド X に関する以下の実験 1~7 の記述を読み、問 1~問 6 に答えなさい。
【実験1】
ペプチド X の元素分析を行ったところ、質量比でそれぞれ炭素 59.4%、水素 6.3%、酸素 21.6%、窒素 12.6% であった。
(これらの分析値は、それぞれ小数点以下第 2 位を四捨五入している関係でそれらの合計は 100% となならない。)
【実験2】
100 g の水に、4.40 g のペプチド X を溶解すると、凝固点が $${3.70 \times 10^{-1}}$$ K 下がった。
【実験3】
ある機器分析により、ペプチド X は芳香族化合物であることがわかった。
【実験4】
中性の緩衝液を浸したろ紙の中央に、加水分解したペプチド X を滴下し、両端をそれぞれ直流電源の正極および負極に接続して電気泳動を行った。
電気泳動の終了後、$${\underline{アミノ酸検出用の発色溶液を作用させた}}$$ところ、中央付近にのみ発色が確認され、電源の正極側や負極側に大きく移動した成分は確認されなかった。
【実験5】
シリカゲルを充填したガラス管に、ペプチド X の加水分解物を流し込むと、シリカゲルへの吸着力などの違いで、ガラス管から出てくる時間の異なる 2 種類のアミノ酸が得られた。
【実験6】
【実験5】で得られた 2 種類のアミノ酸をアミノ酸 A、アミノ酸 B とした。それぞれの溶液に偏光をあてて観察したところ、アミノ酸 A では変化が見られなかったが、アミノ酸 B は偏光を回転させたので、アミノ酸 B には光に対する性質の異なる異性体が存在することが明らかとなった。
【実験7】
ペプチド X を $${\mathrm{H_2}}$$$${^{18}O}$$ を含む溶液中で加水分解したところ、$${^{18}O}$$ はアミノ酸 B にのみ確認された。
問1
【実験1】の結果から、このペプチドの組成式を答えなさい。
問2
【実験2】のデータをもとに、ペプチド X の分子量を求め、有効数字 3 桁で解答欄に答えなさい。
問3
【実験4】の下線部について、アミノ酸の発色に用いる溶液として最も適当なものを下表の行 (i) から、それによる反応が陽性の場合には何色になるかを下表の行 (ii) から、そしてその反応がペプチドのどのような構造によるものかを下表の行 (iii) からそれぞれ選んで、解答欄に記号 (ア)~(オ) で答えなさい。
$$
\begin{array}{|c|c|c|c|c|}
\hline
& (\text{ア}) & (\text{イ}) & (\text{ウ}) & (\text{エ}) & (\text{オ}) \\ \hline
(\text{i}) & \text{フェーリング液} & \text{硝酸銀水溶液} & \text{ビウレット試薬} & \text{濃硝酸} & \text{ニンヒドリン溶液} \\ \hline
(\text{ii}) & \text{橙} & \text{黄} & \text{緑} & \text{紫} & \text{黒} \\ \hline
(\text{iii}) & \text{ヒドロキシ基} & \text{アミノ基} & \text{ペプチド結合} & \text{カルボキシ基} & \alpha\text{-炭素} \\ \hline
\end{array}
$$
問4
【実験5】のような混合物の分離方法を何と言うか。
問5
【実験1】から【実験6】の結果を総合して、アミノ酸 A の名称を答えなさい。
問6
【実験1】から【実験7】の結果を総合して、ペプチド X の構造式を推定した。ペプチド X が中性の溶液中で最も多く存在する状態を表すように、次ページのペプチド X の構造式内の(ア)~(エ)にあてはまる原子や原子団を選択肢群より選び、解答欄(ア)~(エ)に書きなさい。
ただし、(イ)には選択肢(た)~(な)から選ぶものとし、選択肢(た)~(な)の価標先端にある ⚫および ■ は、それぞれ構造式の(イ)欄の ⚫ と ■ に対応しているものとする。


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