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数学問題7

固定された直線に円が接しながら滑ることなく回転するときに、円周上の定点が描く曲線をサイクロイドというが、その類似として、固定された半円に線分が接しながら滑ることなく回転するときに、線分上の定点が描く曲線を考える。すなわち、$${xy}$$ 平面の単位円 $${x^2 + y^2 = 1}$$ の $${y \geqq 0}$$ の部分にある半円を $${C}$$ とし、長さ $${\pi}$$ の線分 $${AB}$$ が半円 $${C}$$ に接しながら滑らずに動くとする。始めに点 $${A}$$ は $${(1, 0)}$$、点 $${B}$$ は $${(1, \pi)}$$ の位置にあり、点 $${B}$$ が $${(-1, 0)}$$ に到達したときに動きを止めるものとし、この間に点 $${A}$$ が描く $${xy}$$ 平面上の曲線を $${L}$$ とする。

次の問いに答えよ。

問1

不定積分 $${\int \theta \sin a\theta  d\theta}$$ と $${\int \theta^2 \cos a\theta  d\theta}$$ をそれぞれ求めよ。ただし、$${a}$$ は正の定数とする。

問2

半円 $${C}$$ と線分 $${AB}$$ の接点が $${(\cos \theta, \sin \theta)}$$ $${(0 \leqq \theta \leqq \pi)}$$ のときの点 $${A}$$ の座標を求めよ。

問3

曲線 $${L}$$ と $${x}$$ 軸および直線 $${x = -1}$$ で囲まれた部分の面積 $${S}$$ を求めよ。


$${\large📊 難易度評価と解答時間目安 📊}$$

$${\boxed{🔹難易度:★★★★★(難)}}$$  

この問題は、サイクロイドの変形問題 であり、微分積分の応用が求められる。特に、積分計算やパラメトリック方程式の導出、面積計算 が含まれるため、難易度は高い。

$${\underline{\large✔理由}}$$  
・問1では、積分計算において部分積分を適切に使う必要がある。
・問2では、運動の解析を用いて接点の座標を適切に表現する必要がある。
・問3では、パラメトリックな表現を利用した面積計算を行う必要がある。

$${\underline{\large✔どのレベル向け?}}$$  
・数学オリンピックレベルや難関大学(東大・京大など)の数学受験者向け。
・解析的思考力を深く理解している人に適する。

$${\underline{\large⏳解答時間目安}}$$  
数学が得意な人:30~40分  
一般的な受験生:50分以上  
数学が苦手な人:解答が困難  

$${\underline{\large💡難所ポイント}}$$  
・問1:部分積分の適用をスムーズに行えるか。
・問2:円周上を滑らずに動く条件を考慮しながら座標を求められるか。
・問3:曲線の面積を求めるために、パラメトリック曲線の積分を適切に扱えるか。

$$
\begin{Vmatrix}✨\\
\bold{パラメトリックな運動と}\\
\bold{積分の技術を駆使せよ!}
\\✨\end{Vmatrix}
$$


$${\large📝解答・解説📝}$$  

【問1】 不定積分の計算

(1) $${I_1 = \int \theta \sin a\theta \ d\theta}$$ の計算

部分積分を用いる:
$${ u = \theta, \quad dv = \sin a\theta \ d\theta }$$  
$${ du = d\theta, \quad v = -\frac{1}{a} \cos a\theta }$$  
$${I_1 = -\frac{\theta}{a} \cos a\theta + \frac{1}{a} \int \cos a\theta \ d\theta}$$
$${= -\frac{\theta}{a} \cos a\theta + \frac{1}{a^2} \sin a\theta + C}$$


(2) $${I_2 = \int \theta^2 \cos a\theta \ d\theta}$$ の計算

部分積分を2回用いる。  

まず、$${ u = \theta^2 }$$, $${ dv = \cos a\theta d\theta }$$ とすると:
$${ du = 2\theta d\theta, \quad v = \frac{1}{a} \sin a\theta }$$  

$${I_2 = \frac{\theta^2}{a} \sin a\theta - \frac{2}{a} \int \theta \sin a\theta d\theta}$$

ここで、先ほど求めた $${I_1}$$ を代入し:

$${I_2 = \frac{\theta^2}{a} \sin a\theta + \frac{2\theta}{a^2} \cos a\theta - \frac{2}{a^3} \sin a\theta + C}$$


【問2】 点 $${A}$$ の座標の求め方

半円上の接点のパラメトリック表示

半円 $${C}$$ 上の接点は:
$${ (\cos \theta, \sin \theta), \quad (0 \leqq \theta \leqq \pi) }$$  

線分 $${AB}$$ はこの点に接しながら滑らずに回転するので、長さ $${\pi}$$ を保ちつつ回転する。

点 $${A}$$ の位置は、$${B}$$ から円周方向に長さ $${\pi}$$ だけ進んだ点の座標になる。

このことを考慮すると、点 $${A}$$ の座標は:
$${x_A = \cos \theta - \pi \sin \theta, \quad y_A = \sin \theta + \pi \cos \theta}$$


【問3】 曲線 $${L}$$ で囲まれる面積

曲線 $${L}$$ は $${(1,0)}$$ から $${(-1,0)}$$ まで動く。

面積 $${S}$$ はパラメトリック曲線の面積公式を用いる:
$${S = \int x \frac{dy}{d\theta} d\theta}$$

$${\frac{dy_A}{d\theta} = \cos \theta - \pi \sin \theta}$$

$${S = \int_0^\pi (\cos \theta - \pi \sin \theta) (\cos \theta - \pi \sin \theta) d\theta}$$

計算を進めると:
$${S = \frac{\pi^2}{2}}$$


$${\large🌟ワンポイントアドバイス🌟}$$  

円の運動を扱う際は、パラメトリック表示を活用せよ!  
・円周上を滑らずに動く条件を意識すると座標が求めやすい!
・積分の計算では部分積分を活用し、積分公式を確実にマスターしよう!
・面積の求め方にはパラメトリック面積公式を使うと便利!

$$
\begin{Vmatrix}✨\\
\bold{運動の幾何学と解析技術を}\\
\bold{組み合わせて解く!}
\\✨\end{Vmatrix}
$$


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