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物理問題3


xy 平面の $${0 \leqq x \ [m] \leqq L \ [m]}$$ の領域(図の灰色部分)に、紙面に垂直に表から裏に向かって磁束密度 $${B \ [T]}$$ の一様な磁場が存在している。以下に示す回路をこの平面上で x 軸に平行に一定の速度 $${v \ [m/s]}$$ で移動させた。回路の移動にともなう摩擦や回路に流れる電流による磁場は無視できるものとして、以下の問に答えよ。

(1)
細い一様な導線で、長さ $${L \ [m]}$$、抵抗値 $${R \ [\Omega]}$$ のもの 4 本を使って正方形の回路 PQRS を作製した。そして図 1 のように最初 PQ を x 軸上の $${x < 0}$$ の領域に置いてから移動を開始した。

(a) Q が原点から $${(L, \ 0)}$$ に移動しているとき、この回路に発生する起電力の大きさはいくらか。

(b) (a) のとき、Q を流れる電流はいくらか。Q → R の向きを正として答えよ。

(c) Q が $${(L, \ 0)}$$ から $${(2L, \ 0)}$$ に移動しているとき、回路の移動に必要となる力の大きさはいくらか。


(2)
同じ導線で長さ $${\frac{L}{2}}$$ のもの 2 本を (1) の回路の 2 辺 SP と PQ のそれぞれの中点 S' と Q' で直角に辺と接続し、図 2 に示す大小 2 つの正方形を含む回路を作製した。そして図 2 のように最初 PQ を x 軸上の $${x < 0}$$ の領域に置いてから移動を開始した。

(a) Q が原点から $${\left( \frac{L}{2}, \ 0 \right)}$$ に移動しているとき、導線 QR が横切る磁束によってそこに誘導起電力が生じる。この起電力の大きさはいくらか。

(b) Q が $${\left( \frac{L}{2}, \ 0 \right)}$$ から $${(L, \ 0)}$$ に移動しているとき、Q を流れる電流はいくらか。Q → R の向きを正として答えよ。

(c) Q が $${(L, \ 0)}$$ から $${\left( \frac{3L}{2}, \ 0 \right)}$$ に移動しているとき、Q を流れる電流はいくらか。Q → R の向きを正として答えよ。

(d) Q が $${\left( \frac{3L}{2}, \ 0 \right)}$$ から $${(2L, \ 0)}$$ に移動する間に、この回路で発生するジュール熱の総量はいくらか。



$${\large📊 難易度評価と解答時間目安 📊}$$

$${\boxed{🔹難易度:★★★★★(難)}}$$  

この問題は、電磁誘導、フレミングの法則、回路の電流解析、ジュール熱の計算 などが複雑に絡み合った高度な物理問題です。  

$${\underline{\large✔理由}}$$  
(1)では、運動する導体に生じる誘導起電力を求め、回路の電流を計算する。
・(2)では、複雑な回路における起電力、電流の向きと大きさ、ジュール熱を解析する。
・電磁誘導に関する物理法則を正しく理解し、数式を適切に適用できるかが重要。

$${\underline{\large✔どのレベル向け?}}$$  
大学物理(電磁気学)を学ぶ学生向け。
・難関大学の物理試験を受験する人向け。

$${\underline{\large⏳解答時間目安}}$$  
・物理が得意な人:40~50分  
・一般的な受験生:70分以上  
・物理が苦手な人:時間内に解答するのは困難  

$${\underline{\large💡難所ポイント}}$$  
(1a):誘導起電力の基本式を正しく適用できるか。
・(2):電流の向きと分流を正しく理解できるか。
・(2d):ジュール熱の計算を適切に行えるか。

$$
\begin{Vmatrix}✨\\
\bold{電磁誘導の本質を理解し}\\
\bold{解答を導こう!}\\
✨\end{Vmatrix}
$$


$${\large📝解答・解説📝}$$  

【(1) 回路 PQRS の解析】

(a) Q が原点から $${(L, 0)}$$ に移動しているときの誘導起電力

導体が磁場内を移動すると、ファラデーの法則 より誘導起電力は:  
$${\mathcal{E} = B L v}$$  

答え:$${B L v}$$  


(b) Q を流れる電流

オームの法則より、電流 $${I}$$ は:  
$${I = \frac{\mathcal{E}}{R} = \frac{B L v}{R}}$$  
Q → R の向きを正とするため、

答え:$${\frac{B L v}{R}}$$ 


(c) Q が $${(L, 0)}$$ から $${(2L, 0)}$$ に移動しているときの必要な力

誘導起電力による電流 $${I}$$ が流れることで、ローレンツ力 が生じる。  

ローレンツ力の大きさは:  
$${F = B I L}$$  
$${F = B \times \frac{B L v}{R} \times L}$$  
$${F = \frac{B^2 L^2 v}{R}}$$  

答え:$${\frac{B^2 L^2 v}{R}}$$  


【(2) 回路 S'Q'R' の解析】

(a) Q が $${(0, 0)}$$ から $${\left( \frac{L}{2}, 0 \right)}$$ に移動しているときの誘導起電力

$${\mathcal{E} = B \times \frac{L}{2} \times v}$$  

答え:$${\frac{B L v}{2}}$$  


(b) Q が $${\left( \frac{L}{2}, 0 \right)}$$ から $${(L, 0)}$$ に移動しているときの電流

電流 $${I}$$ は:
$${I = \frac{\mathcal{E}}{R} = \frac{\frac{B L v}{2}}{R}}$$  

答え:$${\frac{B L v}{2R}}$$  


(c) Q が $${(L, 0)}$$ から $${\left( \frac{3L}{2}, 0 \right)}$$ に移動しているときの電流

$${I = \frac{\mathcal{E}}{R} = \frac{\frac{B L v}{2}}{R}}$$  

答え:$${\frac{B L v}{2R}}$$  


(d) Q が $${\left( \frac{3L}{2}, 0 \right)}$$ から $${(2L, 0)}$$ に移動する間に発生するジュール熱

ジュール熱は、$${P = I^2 R}$$ を時間 $${t}$$ で積分して求める。  

$${J = I^2 R t}$$  
$${J = \left(\frac{B L v}{2R} \right)^2 R \times \frac{L}{v}}$$  
$${J = \frac{B^2 L^2 v^2}{4 R^2} R \times \frac{L}{v}}$$  
$${J = \frac{B^2 L^3 v}{4 R}}$$  

答え:$${\frac{B^2 L^3 v}{4 R}}$$  


$${\large🌟ワンポイントアドバイス🌟}$$  

電磁誘導問題では、以下の3ステップを意識しよう!  
・① 誘導起電力 $${\mathcal{E} = B L v}$$ を正しく求める!
・② 電流 $${I = \frac{\mathcal{E}}{R}}$$ をオームの法則から計算!
・③ ローレンツ力・ジュール熱の影響を正しく考慮する!

$$
\begin{Vmatrix}✨\\
\bold{電磁誘導の本質を理解し}\\
\bold{問題を攻略しよう!}\\
✨\end{Vmatrix}
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