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失言の幸運

南アメリカ最南端にあるフェゴ島は、一名「火の島」ともよばれ、そこでは寒気がまっ赤に燃えさかっている。(425)

『象は世界最大の昆虫である ガレッティ先生失言録』池内紀=編訳

 フェゴ島はマゼランが発見した際に多数のたき火を見たために、スペイン語で火を意味するフエゴから名付けられたそうです(ウィキペディア)。
 ガレッティ先生は数字にはめっぽう弱いようで、この本にはおびただしい数の数字に関する失言が載っていますが、このような詩的な言葉もたくさんありまして、わたしはそちらが好きです。
 これを失言というのかどうか、原文を読んでいないわたしにはわかりかねますが、失言として取り上げていただいているおかげで出会えたことは幸運でございます。
”寒気がまっ赤に燃えさかっている”
まさに最果ての地に極寒の炎が見えるのでございます。


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