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寒空にラーメン

 美を見ようとする人は、まず徹頭徹尾、肩書や値段を忘れなくてはならない。
 耳に沈黙を聴き、ひたすら目を開けるんだ。言葉も忘れろ。まず解説を読むなんてとんでもない話だ。寒空にラーメンは黙って食うべし。
(ポール・セザンヌ ー 実感の現実)

『美を見て死ね』堀越千秋

 美を見るっていうのはすごいことですな。
セザンヌの塗り残しは、なぜか。というわたしにはチンプンカンプンの問いの答え。

 絵はゼロから描くのである。どこまで描くのか? 何がどうなったら描くのをやめるのか?
 職業画家なら「売れそうになったら」。日曜画家なら「入選出来そうなかんじになったら」。
 しかしセザンヌは違う。「レアリザシオン」(実現)と言った。風が吹き、鳥が啼き、暑く寒く自分をも含み、ひろがる星々の空間。それを見るこの俺。その実感を実現するまではやめなかった。で、ある程度実現したから、塗り残したままやめた。ある程度? そう、自分で棺の蓋をしめる奴はいない。
 こんな凄い絵が日本にある。
(帽子をかぶった自画像 ー ブリヂストン美術館蔵)


 ラーメンも最近高いし、とても口コミや値段を見ずには食えんですよ。
 懐寒し、冬の空

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