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ツールは所詮ツール

ツールは所詮ツールだということを今一度、心に留めておいてほしいという話です。

例えば、デジタルデザイン界隈のプロジェクトをやっていると"コンピュテーショナルデザインで何かやりたい"という相談を多々受けます。
コンピュテーショナルデザインをツールとして使うことを考えた場合にどんなことができるかというのを提案することはもちろんできます。
が、手段が目的になってしまっている典型的な例と言えます。
順番としては、まずプロジェクトにおいて何を実現したいか。これがあってはじめて次に、では、どういう方法でその目的を実現しようか、ということになります。
そのときにコンピュテーショナルデザイン的手法がうまく使えるのなら使えば良いし、アナログ的に解決する方が良さそうであればその方が良いです。

もう1つ。
デジタルデザイン手法を用いて生み出したデザインであってもプレゼンする際には、その手法についての解説は多くの場合にまず説明不要です。
何かこれまでと違った方法で作り出したということで、この辺りの説明を熱心にしがちですが、むしろ逆効果です。

少し例え話をしましょう。
レストランに行った際に、シェフが料理の説明をしてくれたとします。
その際に「本日の一品は、このこだわりのシェフナイフで料理致しまして~」と言われても正直そんな話はどうでもいいのです。切れ味抜群のシェフナイフであろうと出刃包丁であろうと、食べてくれるお客さんはそこにはそれほど興味がありません。それよりもどんな食材でどんな味付けをしてくれたかの方がよっぽど聞きたいことでしょう。

これは建築に置き換えれば、
・食材→敷地などのプロジェクト条件
・味付け→どのような計画・デザインとしたのか
・包丁→計画やデザインでの検討手法
こんな感じでしょうか。
手描きのスケッチで計画・デザインされていてもCadであろうと、BIMであろうと、はたまたコンピュテーショナルデザインであろうと、それ自体には価値はありません。最終的なアウトプット、つまり味がどうであるか、に尽きます。

と、料理の方法については、ほぼほぼ説明不要という話を展開してきましたが、時に、他にはほとんどない特殊な石窯を用いて料理していることが大きな売りになっている場合は、もちろん、この石窯についての説明をすることは意味が出てきます。

つまり、相手が何を求めているのか?どんな話をしてほしいのか?を常に考えるようにしましょう。

相手が何を求めているか?
に通ずる話ですが、『相手の求めるものを提案する』ことも基本となります。
カレーはみんな大好きですが、ラーメン屋さんに入ってくるお客さんはやはりラーメンを食べたいと思っているわけで、ここでは素直にラーメンを提供することが喜ばれます。
ここで、奇をてらってカレーやフレンチを出したところで喜ばれることは基本的にありません。

相手を見て、しっかり対話することが基本で、そして大事です。

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Mt
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