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ユーザーに最適化され進化する未来のアプリデザイン解説

アプリを使い始めて戸惑うこと

アプリを初めて使うとき、ほとんどのユーザーが最初に感じるのは「どこに何があるのか分からない」という戸惑いです。特に多機能なアプリや複雑な操作を求められるアプリでは、この「迷子状態」が非常にストレスになります。どのボタンを押すと何が起こるのか、どこに必要な機能があるのか、最初はすべてが謎のように感じます。

たとえば、アプリに複数のメニューや設定があると、最初は「これが必要だと思って選んだ場所が実は違う」なんてことがよく起こります。結果的に、目当ての機能を見つけるまでに時間がかかり、その間にユーザーが感じるストレスや不安が増してしまいます。この問題を解決するためには、より直感的で、使うたびに学習して最適化されるインターフェースが求められます。

「直感的なインターフェース」設定の設計は意外に難しい

アプリ開発において、特に「直感的なインターフェース」を作るというのは非常に難しいことです。直感的なインターフェースとは、ユーザーが何も教えられなくても、使っているうちに自然に操作方法が分かり、効率よく目的を達成できるようなデザインのことです。しかし、すべてのユーザーが同じ感覚を持っているわけではないため、個々のニーズや使用パターンに合ったインターフェースを提供するのは簡単ではありません。

たとえば、あるユーザーは「設定」や「通知」を頻繁に使いたいかもしれませんが、別のユーザーは「メッセージ」や「カメラ」機能を多く使うこともあります。さらに、ユーザーが使う頻度や習慣によって、アプリの使いやすさは大きく変わります。そのため、どのボタンや機能を最初に表示させるべきか、あるいは目立たせるべきかを慎重に考え、柔軟に調整する必要があります。

このような難しさを解消するためには、アプリがユーザーの使用パターンを学び、動的にインターフェースを変更する仕組みを組み込むことが重要です。

改善例:アプリでよく使う機能ボタンが徐々に大きくなってトップに表示されると嬉しい

ここで紹介したいのが、「よく使う機能ボタンが徐々に大きくなってトップに表示される」という機能です。アプリがユーザーの使用履歴をもとに、よく使う機能を優先して表示する仕組みです。例えば、ユーザーが頻繁に使うボタンやメニューは、最初は目立たない位置にあっても、使うごとにだんだん大きくなり、画面上部に表示されるようになります。

これによって、ユーザーは次回アプリを開いたときに、探すことなくすぐに必要な機能にアクセスできるようになります。最初は目立たなかったボタンが「自分専用の優先ボタン」へと変わることで、アプリの使いやすさが格段に向上します。特に、日々繰り返し使う機能にはこのような柔軟な対応が求められるため、効率的でストレスの少ない操作が可能になります。

ついでに、文字入力の予測候補みたいに、次に使う選択肢も上位に徐々に移動とかできるんだろうか?

さらに、文字入力時の予測候補機能のように、「次に使う選択肢を予測して、上位に徐々に移動する」という仕組みをアプリにも応用できるのではないかと考えます。文字入力では、過去に入力した単語に基づいて、次に入力する単語を予測して表示しますが、これをアプリの操作にも活用できます。

例えば、ユーザーがよく使う機能や選択肢があれば、アプリがそれを学習し、次回の使用時に予測して、ユーザーが選びやすい位置に表示します。これにより、ユーザーは最も利用するであろう機能に迅速にアクセスでき、操作がさらにスムーズに行えるようになります。こうした予測機能をアプリに導入することで、ますます直感的な操作が可能になると考えられます。

ユーザーのメリット

このような動的なインターフェースには、ユーザーにとって多くのメリットがあります。

  1. 効率的な操作: よく使う機能がトップに表示され、目立つようになるため、ユーザーは探す手間なく、素早く機能を使えます。

  2. パーソナライズされた体験: ユーザーの行動に基づいてインターフェースが学習し、最適化されるため、アプリの利用がますます便利になります。

  3. ストレスの軽減: どこに機能があるのかを毎回探す必要がなくなり、操作がシンプルでスムーズに行えるようになるため、ストレスが減ります。

開発側のメリット

開発前

アプリ開発の初期段階で、ユーザーの使用パターンを学習するための仕組みを設計することができます。例えば、ユーザーの行動を追跡し、よく使われる機能を把握するためのデータ収集機能を組み込みます。この情報を元に、どの機能を優先して表示させるべきかを事前に設計することが可能になります。

開発中

開発中には、ユーザーの行動データをリアルタイムで学習し、アプリのインターフェースが自動的に調整されるようにするためのアルゴリズムを組み込む必要があります。この動的なインターフェースにより、ユーザーごとに最適なUIを提供することができます。

開発後

リリース後、ユーザーのフィードバックや行動データを基に、さらに改善を加えることが可能です。例えば、使用頻度が高い機能の表示をもっと強化したり、新たに追加された機能の配置を調整することで、アプリが常に進化し、ユーザーにとって最適な体験を提供し続けることができます。

発想を更に発展:ユーザーインターフェースの大半を事前に固定しないアプローチ

さらに発展したアプローチとして、ユーザーインターフェースの大半を事前に固定しないという方法もあります。これにより、事前に準備する設計書やマニュアルが少なくて済み、開発過程が柔軟になります。また、ユーザーからの要望が多い機能を後から追加する場合にも、どこにその機能を組み込むかを事前に悩むことなく追加できるというメリットがあります。

このアプローチは、アプリをリリースしてからの対応が非常に効率的で、ユーザーのニーズに応じてインターフェースを調整することが可能になります。

未来の段階:アプリ機能をネット側でアドホックに生成する

未来の段階では、アプリ機能が手元のスマホ内に全て必要か?という疑問が出てきます。ネット側でユーザーのニーズを解釈し、必要な機能をアドホックに生成して、結果だけを返すというアプローチが考えられます。ネット側でアドホックに生成された小さなアプリを随時整理して、次回のリクエストに応じて最適な機能を提供することが可能になるかもしれません。

このようなシステムでは、アプリ自体は非常に軽量で、必要な機能だけをその場で生成し、ユーザーが求める機能を最速で提供できるようになります。例えるなら、お客様センターで収集した情報を整理して、全社的に展開するような仕組みです。これにより、ユーザーは常に最適な状態でアプリを利用できるようになるでしょう。


まとめ

「よく使う機能ボタンが徐々に大きくなってトップに表示される」という機能は、ユーザーの操作を効率化し、アプリの使いやすさを大幅に向上させます。さらに、次に使う選択肢を予測し、上位に移動させる仕組みや、ユーザーインターフェースの柔軟な設計が、アプリの進化を促進します。開発者にとっても、動的なインターフェースの設計は、柔軟なアプローチを取ることで、より効果的なユーザー体験を提供できるようになります。そして、未来的には、アプリがネット側で必要な機能を生成し、ユーザーのニーズに応じて最適化される時代が来るかもしれません。

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