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ダボダボ(double double)という魔法

はじめまして、舌根研です。

足下研が「わたしの偏愛的美味しい」を語るとき、

舌根研になることに決まりました(ついさっき)。

なので、はじめまして、です。


さて、

もともと映画の中に出てくる靴を見つけてニヤニヤしているだけだったわたしですが、

それも元々世界文庫アカデミーという学校に通う際に行われた

校長 古賀鈴鳴さんとの面談のなかでふと出てきたアイディアでした。


そして今回そのときとまったくおんなじようなノリで

「これ、書けるんじゃないの?」となったのが

山フーズ 小桧山聡子先生からの宿題「わたしの偏愛的美味しい」

だったのです。


ということでちょっと書いてみたいとおもいます。


早速ですが、

わたしはコーヒーを水のように飲みます。


いつからそうなったのか定かではないのですが、

小学校高学年くらいには既にコーヒー(甘いやつね)を飲みはじめていて

高校に上がるころにはすでにブラックのコーヒーをがぶ飲みしていた記憶があるので、

中学時代に少しづつ砂糖やミルクを入れなくなっていったのでしょう。


とにかくそれ以降は水の替わりにコーヒーを飲むような状態で、

最終的には某コーヒーチェーンでアルバイトをはじめてしまうほど、

コーヒー無しでは生きていけない状態になっていました。


最近ではようやくちょっと心配になってきて、

夜はジャスミンティーとか炭酸水とかに意識して切り替えるようになったのですが、

それでも日中はとにかくガブガブという擬音が響くぐらい飲みます。


そんなコーヒージャンキーな「わたしの偏愛的美味しい」は

ティムホートンズのコーヒーです。


わたしは一時期カナダに住んでいたことがあり、

ティムホートンズはそのカナダにおいて国民食のような扱いをされている

カナダ最大のファーストフードチェーンです。


よくアメリカのドラマとかを観ていると

ヒマそうな警察官たちが街のドーナツ屋でドーナツを頬張りながら

薄いコーヒーで流し込んでいるみたいなシーンがあるとおもうのですが、

まさにあんな感じのドーナツ屋さんです。


で、

このティムホートンズのコーヒーが、

まずい。。。


なんと表現したらいいのでしょう。。。

公園で遊んでいる子供たちが砂場に作った山に流した水を濾過した、みたいな?


とにかくそれまでは日本の安くて美味しいブラックコーヒーを浴びるように飲んでいたわたしは、

早速この強烈なカルチャーショックを受け、カナダに来て早々、

「この国には住めない。。。」と悟るに到りました。


しかしカナダで生きていくにはティムホートンズは避けて通れず

(それほどいっぱいあったし、生活に密着していた)

仕方なく行かなければならない時などには紅茶やラテなどでお茶を濁していました。


ただそのときのわたしは知らなかったのです、

ティムホートンズのコーヒーはブラックで飲むものではなかったことを。


カナダで出来た友人たちとランゲージエクスチェンジ

(彼らがわたしに英語を教え、私は日本語を教える)をするのは

決まってティムホートンズでした(なんせ安い)。


そのときもいつものようにオールドファッションドーナツとラテを買おうと列に並んでいた際に、

前のひとがこうオーダーしたのです。


「ダボダボ」


ダボダボ?

当時のわたしはランゲージエクスチェンジをしているくらいですから、

予期せぬ単語は聞き取れず、

そのときも「ダボダボ?」という擬音のような音しか聞き取れませんでした。


ダボダボ?


どうにも気になったわたしは、

自分の会計の番になった時に思い切って店員さんに聞いてみました。

"What is ダボダボ?"


すると店員さんは心底面倒くさそうな顔で言いました

(あちらの店員さんは本当にご多分に漏れず全員愛想ゼロである)

"Two cream, two sugar"と。


ク、クリームふたつに砂糖ふたつだと!?


普段ブラックでしかコーヒーを飲まないわたしには想像もつかない組み合わせであり、

当時の言葉でいうならば正に想定外の答えでした。


その答えに言葉を失っていると

店員さんはなんでもいいから早くしてよとでも言わんばかりに

"You want double double?"

というので、わたしは思わず反射的に"Yeah"と言ってしまっていました。


そしてわたしの手元にはまるでミルクキャラメルのような色の「ダボダボ」が手渡され、

店員さんはさっさとどいてよと言わんばかりに次の客に"Next!"と声をかけ、

わたしはそそくさと友人のいる席に戻りました。


そして友人が入れ替わりにコーヒーを買いに行ったあと、

おそるおそるそのダボダボを口に含んでみると。。。


これは、、、

美味い!?


いや、

すこし落ち着けw

決して美味いわけではない。

でも、これなら飲める!

飲めるぞ!

あの泥水が!


そしてふとこの感覚を昔味わった記憶が蘇ってきました。

これは、、、

マックスコーヒーだ!


※マックスコーヒーとは足下が学生の時代に限定的に流行った

超激甘系缶コーヒーの名前であります。

当時もブラックしか飲んでなかったので、初めて飲んだときは超衝撃的でした。


友人がコーヒー片手に席に戻ってきたので何をオーダーしたのか聞いてみると、

案の定「ダボダボ」との答え。

なんでこんなクソ甘い飲み物を飲んでいるのか?という問いに友人は、


①コーヒー自体が美味しくないのでその味を誤摩化さないと飲めない

②寒い(-20℃とかに平気でなる場所でした)ので糖分を取らないといけない

③ ①②がカナダ人に定着してしまいひとつの文化になってしまったから

(当然言い回しとしてはおかしい。

"Two milk, Two sugar"を敢えて"Double double"と言っているわけだから。

しかしこの"Double double"という単語は現在ではオックスフォード辞典にも載ってしまったらしいです。)


とのことでした。


以降、わたしはティムホートンズでホットを飲むときは、

この美味しくもない「ダボダボ」を頼むようになりました。


そして帰国したあとも時折あの味が飲みたくなるんです、

美味しくもないのに。


残念ながらと言うべきか、

日本の美味しいコーヒーにミルクふたつ、砂糖ふたつ入れても、

安っぽくてそんなに美味しくないあの味にはなりません。


そしてそのことがまたあの味を恋しくさせるのです。




※注意

当時の記憶のはなしなのでいまのティムホートンズは美味しくなってるかもしれません。

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足下研/スニーカー文化研究家
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