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現役高校教師が考える大学の選び方

大学に進学経験のある方、自分の選んだ大学は正解だったと思いますか?

大学入学共通テストが終わり、受験生にとっては共通テストの自己採点結果をもとに受験する大学を確定させる時期になりました。そこで今日は受験生はどのように大学を選べばいいのか、高校教師の自分なりにお話ししたいと思います。

私の大学決定体験記

その前にまず、私が自分の母校(出身大学)に進んだ経緯について、少し長くなりますが体験談としてお話させてください。

私の出身大学は、中部地方のとある国公立大学です。私はもともと、国公立・私立に関わらず関西地方の大学で、英語を学べて教員免許を取れる大学ならどこでもいいと思っていました。なぜ関西地方かというと、私はアカペラサークルに入ることに強い憧れがあり、関西地方には強豪アカペラサークルがたくさんあったからです。正直なことを言うと、学部学科は二の次で、アカペラサークルが強い大学をいつも第一志望にしてました(笑)

そんな私ですが、高校3年生になってから成績が伸びず、選べる大学の選択肢が(学力的に)どんどん狭まっていきました。

そんな中で、結局母校となる大学を受験したのは、「センター試験(当時)を課さない推薦入試」があったからです。高校の途中までまあまあ頑張っていたことから内申点はあり、生徒会長経験もあって面接やグループ討論で意見を話すのは得意でした。その推薦入試は内申点・小論文・面接・グループ討論のみで、センター試験の前に進路決定できる可能性があるということから、せっかくの推薦の権利を無駄にするのはもったいないと考え、その推薦入試を受けました。

実を言うと、その大学、受ける直前まで全く進路の選択肢として頭にありませんでした。今申し上げたように「推薦の権利を行使する」のが目的で、その推薦入試がかなりの倍率と難易度なのも知っていました(なにしろ二次試験どころかセンター試験すらなしで国公立大学に入れるわけですから)。たぶん受からない、もし受かればラッキーくらいの感覚でした。

そしたらなんと、予想に反して合格しました。それなりに対策はしましたし、試験当日も自分なりの力は出せたと思っていました。その大学のことを一応自分なりに調べて、魅力を感じている部分もありました。でもまさか受ける直前まで頭になかった大学に進学することになるとは、人生って、運命って分からないものだなと思いました。

さて、以上の私の体験談は、ラッキーな話を自慢したくてお話ししたのではありません。「大学の選び方失敗談」としてお話しています。

その大学に進んだのは、最終的には正解だったと思っています。尊敬するゼミの恩師、素晴らしい友人や先輩後輩に出会えましたし、雰囲気も比較的自分に合っていたと思います。ただしそれはあくまで結果論です。たまたま合っていただけです。これから大学を選ぶみなさん(またはこれを読んでくださっている保護者のみなさん)、私のようにいきあたりばったりで大学を選んでいては、無駄な4年間を送ることになるかもしれません

教員になって考える「大学の選び方」

高校教員になって大学進学指導をしていると、なかなか一筋縄ではいきません。「浪人NG」「経済的に国公立オンリー」「実家から通えるところでないとダメ」など縛りがある家庭もあり、学力以前にそうした条件で選べる大学が絞られるケースが多々あります。

そんな中で、私がアドバイスしたいのは以下のようなポイントです。

■「普通の日」にキャンパスに足を運ぶ

オープンキャンパスに行って大学を見るのはよくあることですが、私がお勧めしたいのがオープンキャンパス以外の「普通の日」に大学に行って、学生の様子を見てくることです。もちろん高校生も平日は授業があるので現実的にはかなり難しいことだと思いますが。

オープンキャンパスの落とし穴は、大学が「いいところ」しか見せないことです。学生の実態や大学周辺の雰囲気は、普通の授業日になってみないと分かりません。日程的に可能な日があれば、行ってみてください。

私がもう少し学校内で決定権を持てる立場になったら、大学の「普通の日見学ツアー」なんてものを開催できたらいいなと思っています。(大学が見学許可してくれるかな...)

■教員紹介を見る

大学というと、「学部学科」で選びがちです。もちろんそれ自体は間違っていないと思いますが、最終的にどの大学も「ゼミ」に所属することになります。ゼミに所属するということは、師事する教授の専門に近い分野を勉強することになるということです。

「学部学科の名前」で興味を持てても、その中でさらに細かい分野を研究することになったとき、自分の興味関心に近い分野を研究している先生がいないと、面白く思えない分野について学ぶことになります。これはとても苦痛です。

教授も転勤がありますので、ゼミに所属することになったとき必ずしもその先生が在籍しているとは限りませんが、大学のHP等で「学部学科紹介」だけでなく「教員紹介」のページも見てみてください。面白い研究をしている教授に出会えるかもしれません。

■大学の施設の充実度

施設といっても、校舎の綺麗さや広さという意味ではありません。図書館や就職支援センター、国際交流センターなど、学生生活をより有意義にしてくれる付属施設の充実度のことです。

大学をいい意味で「使い倒す」ために、付属施設の存在も見逃せないポイントです。就職支援センターなどに早くから足を運んで情報収集をしておけば、大学の先にある将来によりよいヒントがもらえます。国際交流センターに行って留学生と会話をして世界観を広げるのも意味のあることでしょう。私は大学時代、大学内の英語のみ使用可能な部屋でボランティアスタッフとして働いたことがいい経験になりました。

アルバイト等だけで時間を消費するのではなく、せっかくある大学施設を最大限活用するため、事前にどんな施設があってどんなことができるのか、確認してみるのも面白いのではないかと考えます。

最後に

凡庸ですが、大学の価値は偏差値で決まるのではありません。日本の就職は依然として学歴重視なところもあるかもしれませんが、これからの時代、大学の時間をどう過ごしてきたかが重要視されていくようになるのではないでしょうか。

私が進学校で勤務していたとき生徒にいつも言っていたのは、「難関の○○大学に合格できた=正解なのではない。自分の進路は自分の力で正解にするんだよ」ということです。

まずは4年間を有意義に過ごせそうな大学を自分の目で吟味して選ぶこと。その決断に自分で責任をもつこと。そして進んだ大学にある環境を十分に生かして将来につなげることが大切なのではないかなと思います。4年間と約200万円(国公立の場合の4年間の学費)という貴重な時間と資産を使って通う場所です。すべての受験生が後悔のない選択をしてほしいと願っています。

今回の記事は偏差値・学費・立地といった基本的な大学選びの視点は無視して書きました。これらの要素はもちろんとして、多角的な視点から4年間の居場所を見極めることができるといいのかなと考えます。

最後に受験生のみなさん、最後まで頑張って桜を咲かせてください!

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!

大学の話は、私がnoteを始めたきっかけ、いわば私の「師匠」の記事が面白いのでご覧になってください☟

https://note.com/yawaraishi/n/n3adc33582e3f