なぜ多くの異性愛者が同性愛者を嫌悪するのか
僕ね、気づいたことがあるんですよ。
ちょっと前に書いたこれ。
これね、自分で書いたときに思っていた以上に、これいいこと言ってるんじゃないかと思ったのです。
いや、今こんなこと書いてて正直ちょっと恥ずかしいですよ。でも恥を忍んで書くけど、これいいこと言ってるんではないかと、改めて思った。
僕自身は他のところにも書いたように、性的にはマジョリティだと思う。他の面ではだいぶズレを感じるから部分的には多分マイノリティだと思うけれど自分ではわからない。
セクシュアル・マイノリティのうち、いわゆる同性愛者と呼ばれる人たちがよく、異性愛者から「キモい」などと言われるという話を聞く。僕は異性愛者だけど、同性愛の人をキモいと思ったことはなくて、それがどういうところから来る嫌悪感なのかよくわからなかったのですよ。
それが、↑のあれを書いたことでわかったような気がするのです。
同性愛の話を聞いたときに、「相手の立場になってしまう」からではないか。要は、相手の立場に自分を置き換えて、自分が同性を愛したり愛されたり、なんなら同性と肉体関係を持ったりすることを想像してしまうから、「耐えられない!」となるんではないか。
どうこれ。僕これ割と真理なんじゃないかと思うのだけど。今、ものすごい大発見をした気分なのだけど、もしかしてすでに常識だったら恥ずかしいわね僕…。でもそのまま続けますよ。
例えば「あの人ゲイなんだよ」という話が出たとき、「マジで?無理!」とかいう展開、ありそうなわけですね。無理って、べつにあんたに同性愛者になれって言ってるわけじゃないのですよ。
同じようなことが他の領域でもあって、たとえば仲良くしてる友達かなんかが「イグアナ飼ってるから餌にコオロギ買ってくね」とか言うと「マジ無理!」みたいな。
いやおまえにコオロギ持って来いって言ってるわけじゃないよ、というこの感覚。
これ、幼いころからあまりにも相手の気持ちになれと言われすぎてるせいで、何か言われるとすぐ自分の身に置き換えるんではないか。そのせいで全部自分のことになってしまって、「自分が同性と恋愛するのは」「キモい!」「無理!」ってなるのではないか。
それなら合点が行く。
やはりね、なんでも相手の気持ちになる、なったつもりになる、っていうのは害しかないんですよ。他人のことはわかるはずがないという立ち位置にいた方が良い。わからないから、認め合う必要がある。
相手のことを理解するために相手になりきる必要はない。自分が異性を好むようにある人は同性を好む。自分が犬を好むようにある人はイグアナを好む。自分がドストエフスキーを好むようにある人はラノベを好む。
「なんであんなものが好きなのか理解できない」
相手だってなんであんたがそれを好きなのか理解できないと思うよ。いいじゃない理解できなくて。
異性愛にだっていろいろある。いろんなフェティッシュもある。それこそ性癖。
「理解できない」
それ、自分は理解してほしいと思うわけ?理解してほしいわけじゃなくて、口出ししないでくれればいい。違う?
だからお互い、「自分はこうだ」ということを宣言して、「そうなんだ、いいね!」って一緒にいたらいいのではないの?
変に、理解せねばならん!理解できるはずだ!と思うから、理解できないものは排除しなければならない!みたいなことになるのでしょ。その先にホロコーストだってあったわけでしょ。
理解なんて最初からできるはずがないのだから、できなくていい。理解できないものを排除しなくていい。
同性愛については、『ロケットマン』という映画を見てほしい。同性愛者としても有名なエルトン・ジョンを描いた映画で、彼の盟友バーニー・トーピンと会話するシーンがとてもステキなのだ。
エルトンがバーニーに自分が同性愛者であることをカミングアウトした後のシーン。セリフは字幕版で見て記憶しているものだから確かではないけどニュアンスはこんな感じ。
バーニー「僕は君が好きだよ。でもそういう好きじゃない」
エルトン「わかってる」
異性愛者のバーニーは同性愛者エルトンの一番近くにいて、彼に好意を向けられながらも、こんなふうに返す。エルトンもわかっていて、それ以上踏み込まない。この関係性。
別に相手の気持ちそのものにならなくていい。二人は決定的に違う。違っていい。違うからこそ尊重し合っている。そしてだからこそ、このままの距離感でずっと一緒にいられる。
奇しくも『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリーも『ロケットマン』のエルトン・ジョンも同性愛者。こうした作品によって異性愛者との間にある壁が少しでもなくなればいいと思う。
肝心なのは相手の立場にならないこと。必要なのは同性愛を理解することではなくて、自分と違う性的指向を持つ人の存在を認めること。単に、そういう人もいるとわかればいい。そこに「キモい」が介在する余地はないはずだ、と思うのだけどな、僕は。
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