心理が物理を超えるとき。~第1回進路希望調査~
10月に実施された,
第1回進路希望状況調査
の結果が,昨日発表になった。
今回の調査結果で,きのしたが運営する教学館がある東部地区付近では,
大宮高校(普通科) 1.93倍
越ヶ谷高校 1.73倍
杉戸高校 1.71倍
が《倍率TOP3》となっている(市立は除く)が,杉戸高校の倍率の上げ幅には正直驚かされた。
上がるだろうと予想はしていたが,まさかこれほどとは。
昨年の同時期の倍率が1.17倍なので,前年比約46%増。
一昨年まで定員割れだった(倍率1倍に満たなかった)とは思えない躍進だ。
TOP3には入っていないが,岩槻高校は普通科で1.20倍がついている。
こちらも杉戸高校同じように3年前までは定員割れの状態だった。
何が要因となっているんだろうか。
先日,塾仲間の根岸先生(幸彩学習塾/南栗橋),山本先生(躍進館さいたま原山教室/浦和)と対談をさせていただいた(→こちら←にアップされています)ときに,山本先生が仰っていた,「心理的な距離」というワード。
それが要因の一つになっているのではないかと考えている。
(それにしても,ナイスなワードだよなー。私が言ったってことにならないかな。ww)
昨年度あたりからじわじわと,そして今年度になって一気に,SNS(特にInstagram)を開設して運用を始めた県立高校が増えた。
それによって,学校内や生徒さんたちの様子や雰囲気,先生方の雰囲気さえも感じることができるようになった。
今までならば学校公開や授業体験,部活体験などに行かなければ体感することはできなかった。
でも今は,家にいても,何ならベッドに寝転んでいても感じられる。
また,イベント時の生徒さんの姿はある程度作られた姿(だと思っている)で,
「今日は公開授業だからな。身だしなみ大丈夫か?廊下で人を見かけたら取り敢えず挨拶しとけ。」
的な。(まあ,ここまで酷くないと思うけど。w)
SNSの普及で,作られていない,よりリアルな生徒さんたちの姿を見ることができるようになった。
だから,心理的な距離が近づいた。親近感,と言い換えても良いかもしれない。
でも,SNSを始めた学校がすべて倍率UPに繋がっているか,と言われればそんなことはない。
今までの学校選びは,まず『自宅から近いかどうか(物理的距離)』が先行していたと思う。
通学時間が1時間以内でも「ちょっと遠い」とか「電車の乗換が…」とか,そんな理由を挙げて,そもそも候補にも挙がらないことがあった。
つまり,物理的距離が先行して,心理的距離を縮める段階まで進まない。
しかし,今は違う。
SNSなどを見て「この学校楽しそう!」と『学校が楽しいかどうか(心理的距離)』が先行しつつある。
実際に学校に行ってみようという段階になって「あれ?意外と遠いな。」となる。
違うのはその後で,「でもまあ,一度行ってみようか。」となることが多い。
心理的距離が先に縮まっていると,物理的距離を理由に即,除外されることはない。
実際に三者面談などをしていて,そう実感している。
心理的距離は時として物理的距離に打ち勝てる。
…と思う。
いろいろな学校のインスタアカウントをフォローしてチェックしているが,定員割れから脱却した岩槻高校と杉戸高校はとにかく使い方が上手い。
岩槻高校は,県内公立高校の中でもSNSの先駆者的存在だ。
フォロワー数も多く(11/1現在 約10,125フォロー),公私併せても花咲徳栄高校(11/1現在 約12,490フォロー)に次ぐ2番手。
他校がSNSの運用に関して視察に訪れるくらいだ。
杉戸高校は,フォロワー数こそ多くはない(11/1現在 約1,580フォロー)が,同時にXも運用していて,投稿の手数が多い印象だ。
また,InstagramとXの特性をよく理解していて,上手く使い分けているように思う。
両校とも,毎日必ず1投稿(少なくとも)はしている。
日々の学校の様子がよく伝わってくるし,動画も多い。
生徒さんたちの学校内で楽しそうにしている様子もあれば,真面目に授業を受けている様子もある。
実に上手く,硬軟織り交ぜている。
ちょっと岩槻高校はネタに走っていたような時期があったけど。w
「インスタ,良いらしいよ。ウチも始めてみる?」
そんな軽い感じで運用が開始されるのではないと思うが,取り敢えず初めてみたけれど更新頻度が高くない,という状態では学校の中の様子が伝わりきらない。
ただ運用しているだけだと心理的距離は縮まらないし,結果が出なければ(手応えがなければ)どんどん投稿が減っていく。
最初は「取り敢えず初めてみました」でも良かったと思うが,生徒募集に繋げるならやはり中身も大切だ。
募集の第1段階は学校に来てもらえるかどうか,だと思う。
「来てもらえればトリコにできる(興味を持ってもらえる)ぜ。」って自信をお持ちの学校も多いだろう。
でも今は,《学校に来る→興味を持ってもらう》ではなく,《興味を持ってもらう→学校に来る→さらに興味が深まる》という流れになってきているのではないだろうか。
第0段階が生まれた。そしてそこから既に勝負が始まっている。
その第0段階として,つまり学校に興味を持ってもらう手段として,SNSは最適だ。
あと数ヶ月での逆転はないかもしれないけれど,来年度,再来年度に向けて運用の仕方を考えてみても良いんじゃないかなと思う。
もちろん,募集はそれだけではないけれど,少なくとも今の公立高校募集のトレンドになっていることは間違いないだろう。
取り敢えず,今日はここまで。
進路希望調査のお話,続くかも。続かないかも。
なお,県内の私立・公立高校のInstagramアカウントについては,教育ジャーナリストの梅野弘之先生のブログにまとめられています。
フォロワー数順になっていて,興味深いです。
該当記事は→コチラ←です。