斉藤守弘師範の小手返し分析

合気道開祖、植芝盛平から最も長く教えを受けたとされる斉藤守弘師範の海外講習の動画から小手返しを分析してみる。

参照動画:Saito Sensei Kote Gaeshi Detailed

小手の握り方

小手返しの小手の取り方は薬指と小指の骨の間に自分の親指を差し込み、小指をメインに相手の手首側を握り込む。

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これは基本的な教えで、開祖から教えを受けた師範の多くが小手返しでこうした取り方を指導している。

胸取り小手返し

動画では胸取り小手返しで説明を行うが、斉藤師範の場合、胸を取りに来た所を転換し、相手と並ぶ。
その時に転換と同時に相手に当身を入れることを指導している。

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但し、これは上級者向けのやり方となり、初心者こ場合は当身に意識が行きすぎて身体のバランスを崩してしまうので推奨はされない。

当身を入れてから手を取ったり、転換してから当身を入れたりするのではなく、同時に為されなければいけない。

まずは転換する身体を開くこと。その気持ちを忘れずに当身を入れる。

手の捉え方

胸取り小手返しだが、想定は恐らく胸への突きになっている。
突き小手返しの場合も同様の考え方が必要。

小手返しをかけようとして小手を掴もうとすると相手が手を引いたりして、掴めないことがある。
その為に重要なのは相手に合わせること。

体の変更(転換)の時の相手を動かす意識と同じだとしている。

また、手を引くような取り方になってはいけない。引っ張っていては当身も入らない。当身の届く距離で転換することが一つのポイント。

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取った相手の小手は自分の中心になくてはならない。自分の中心から外れていると力が入らないからだ。

相手の崩し方

相手の小手を取ったら90度転換し、力の感覚としては相手の首筋を引いて、両足の間、後ろ後方に引くように崩す。
小手返しの方向性はこれと同じように相手の方、後ろ後方を狙うように崩す。

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痛みで崩すのでなく、角度で崩す。
斉藤師範の場合は小手を上にあげすぎないよう注意している。
一定の腕の角度のまま相手を崩していく。

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この角度で相手の後ろ方向に向かって押せば崩れる。
初心者は痛みで崩れるが、経験者はそれでは崩せないとのこと。正しい角度を取る。

斉藤師範の場合、まず横方向に動かして相手の腕のアソビを取った後に相手の後方への力を加えて崩しているという印象。

相手に手を引かれてしまったときは相手の拳を握りこむようにして崩す。
引かれると相手の腕にアソビができてしまうので拳のように引くところのない部分で返しをかける必要があるためと考えられる。

極め方

崩したら肘辺りを取って相手を返して抑え極めに入る。
個人的な注目ポイントは相手の腕と斉藤師範の腕が一本になっていること。
この時に気を抜いていると相手に肘を曲げられて逃げられてしまう。

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極め方については東京本部道場式の極め方を悪くはないとしながらも、翁先生式の極め方を説明している。

左が本部式、右が開祖式

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この辺りは極め方の違いのような感じもしないでもない。実際に本部の型を知っているわけではないので現時点では不明。

相手の肘と手首を制しながら地面から直角に腕を抑える。

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発声

胸取りを転換する瞬間に「ア」

正面打ちの場合は正面に手を合わせた時が「エイ」
転換して当身を入れる所で「ア」

感想

この他にも動画では正面打ちの小手返しの説明も行なっている。
どちらの場合も入身転換、体の転換の形で手を取っており、またその時に同じように当身が入っている。

どちらの場合も同じ理屈で動いており、ひとつの合気道の共通部分を感じることができる。

またなんといっても美しいのが抑え込みの時の相手の腕の角度。
綺麗に真っ直ぐ取っていて、これは見習いたい。




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