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整形外科おすすめの教科書~各論編~ 上下肢・スポーツ・脊椎・人工関節 小児・関節リウマチなど
今年もあと残すところわずかとなりました。
私は研修医2年目の秋に整形外科に入局をしてから少しずつ専門書を買い進め始めました。素の知識ではどうあがいても上司に遠く及びませんので、高くても教科書はたくさん購入をして少しずつ知識を身に着ける必要があると思います。忙しい中、教科書に載っている情報を文献検索する時間は不毛です。ほかにも余計な買い物をたくさんしてきましたが買ってよかったと思うもの、一部買わなくてもいいかも?と思うものも理由をつけて紹介しています。
①上肢
レジデントのための整形外科診療 上肢 -電子版付-
レジデントのための整形外科診療シリーズ上肢編です
レジデントのためのとタイトルには記載がありますが、上肢、特に肘関節から以遠については詳しく述べられています。外来診療だけでなく、手術における注意点の記載もあり価格も加味すると上肢の教科書の1冊目としては購入しやすいと思います。
上肢のスポーツ外傷・障害 [肩・肩甲帯・上腕・肘・前腕・手関節・手部]
スポーツ整形の教科書です。値段は比較的高めですが、良くまとまっていて一番購入してよかったと思う一冊です。スポーツ整形に加え、外傷の手術についての記載、後療法やリハビリテーションも詳細に記載があります。
外来、手術ともに参考になる点が多く、値段は少し高いですが購入をぜひおすすめします。後述しますが、下肢編もかなりよく続いて脊椎編もおすすめです。総論は立ち読みをして興味があれば購入するとよいでしょう。
超実践 肩の外来診療−症例で学ぶ診断テクニック
肩の臨床に特化した本はあまり出版されていないように思います。
上腕骨近位端骨折、腱板断裂は勿論のことスポーツ外傷や変性疾患の対応や手術療法について書かれています。
詳細な手術手技は書かれていませんがこの疾患にはこの手術といった感じで、レジデントが読むにはちょうどわかりやすいのではないかと思います。
手の外科―私のアプローチ 第2版
手外科の手術はレパートリー豊富かつ、数も多く、細かいものも多いです。
一般的な手外科手術からマイクロまで網羅されています。手外科の先生にお勧めしてもらい購入しましたが、一般整形でも使用頻度が多く上肢の手術に臨む際はかなり参考にしています。
値段は高いですが、余裕があれば購入をお勧めします。
②下肢
下肢のスポーツ外傷・障害[大腿・膝関節・下腿・足関節・足部]
上肢に引き続き下肢もかなりおすすめです。膝の靭帯再建、半月板などスポーツ外傷を診る際に必須の知識が詰まっています。手術手技についてもテクニカルな記載があり、外傷手術が主の今、かなり勉強になる点が多いです。
BHA・THA 人工股関節置換術パーフェクト〜人工骨頭置換術・人工股関節全置換術の基本とコツ
定番の人工股関節置換術の本です。TKAやUKAに比べ、人工骨頭は初期~後期なりたてでする機会があると思います。アプローチやピットフォールなどしっかり記載あり、写真も多く掲載されていますので読みやすいのではないかと思います。人工関節の先生にこれ買っておけば大丈夫と言われて購入しました。若手であれば基礎的な部分はこれで十分だと思っています。
TKA・UKA 人工膝関節置換術パーフェクト〜人工膝関節全置換術・人工膝関節単顆置換術の基本とコツ
定番の人工膝関節置換術の本です。こちらも人工関節の先生にこれ買っておけば大丈夫と言われて購入しました。若手であれば基礎的な部分はこれで十分だと思っています。
図説 足の臨床−第4版
有名な足の教科書です。
足の治療について幅広く記載あり事典的な使い方ができます。
ただし、各内容については掘り下げて書かれたものとそうでないものとが分かれ、今のところ値段の割には有効活用できていないように思います。
足診療はややニッチな分野になると思うので自分の知識を増やしながら理解の幅を広げていく必要があるかもしれません。
③脊椎
速考! 脊椎外来診療エッセンス
専攻医になってから初めて購入した脊椎外科の本です
手術ではなく、外来に特化した本で外傷、変性疾患、腫瘍、小児、鑑別疾患など脊椎に由来する所見を丁寧に解説してあります。
最初はしびれや麻痺、脱力など神経症状にかなりビビっておりましたが、少しずつ疾患のメカニズムや治療法を学ぶことで自信をもって診療に臨めるようになってくると思います。
初期研修では脊椎については触れる機会が少ないと思いますので買っていて損はない1冊です。
若手医師のための脊椎外傷の診断・保存的治療・手術: 写真・WEB動画で理解が深まる
脊椎外傷について手術手技まで記載のある本です。脊椎外傷診療をするのに必要な知識であれば問題なくカバーされているのではないかと思います。
速考! 脊椎外来診療エッセンスである程度臨床の知識を入れた後読むと更にわかりやすいと思います。
体幹のスポーツ外傷・障害[頚椎・胸郭・胸腰椎・骨盤・股関節]
上肢、下肢に続いて、体幹編です。外傷であれば上肢・下肢が多いイメージですが慢性疼痛は腰痛、股関節痛が多い印象です。手術加療になることは多くない印象ですが、その分リハビリテーションや装具療法などの保存療法をしっかり勉強する必要があります。アスリートは新米整形外科医より詳しく疾患を把握していることもあります。スポーツ診療をする際に心強い一冊です。
④小児
小児骨折治療: 外傷整形外科医と考える基本から難治症例まで
定番の?小児骨折の教科書でしょうか。小児は手術、保存療法との判断が難しいと思うことは多々あると思います。上下肢のパートに分かれており、症例を基に治療方針を提示してくれます。
まず小児骨折ならこちらを購入してもよいと思います。
その他
超入門 関節鏡視下手術: 若手医師のための (整形外科SURGICAL TECHNIQUE BOOKS 7)
関節鏡の本です。上下肢含め基本的な内容となっています。
関節鏡は執刀数も多くないため、基本的な内容を抑えた本が欲しいと思い購入しました。執刀数が増えてくるようなら専門的なものを購入しようと思っています。
新装版 もう悩まない! 骨粗鬆症診療 あなたの疑問にお答えします -電子版付-
脆弱性骨折は想像以上に多いです。高齢者は転倒しただけでどこか折れると思っておいた方がいいです。
骨粗鬆症はどの科が治療すべきかは議論のあるところですが、二次性骨折予防を整形外科医が取り組んでいる以上、ビスホスホネート一択ではややものたりないと思います。薬物療法ははじめはわかりにくいですが、教科書を参考に知見を広げていけると思います。
迷わず打てる関節注射・神経ブロック
整形外科手術や診療にはエコーが不可欠です。エコーガイド下腕神経叢ブロックは整形外科医になってから最初に学ぶ手技の一つですが、ブロック麻酔は各所で施行できますし、神経支配を理解することは臨床でも大きな助けになると思います。具体的なブロックの方法は動画を見ながら学習し、メルクマールやピットフォールなどを教科書で学習し臨床に臨むといいでしょう。
こんな対応はNG! 非専門医のためのリウマチ・膠原病診療
リウマチを始めとした膠原病診療の本です。
膠原病内科専門医の先生が書かれています。職場の上司がリウマチ外来もやっていて、上司のコロナ罹患を契機に勉強を始めましたが、リウマチ診療は奥深く、鑑別の幅も広がり勉強してよかったと思っています。
値段も比較的手ごろで読みやすい本だと思います。
リウマチ診療のための関節エコー撮像法ガイドライン
リウマチ診療には関節エコーは欠かせません
seronegativeRAや経過のフォロー、病状評価など用途は様々です。
各関節の関節エコー写真を参照できます。
もし、診療に興味が出てくれば購入することをおすすめします。
最後に
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
多くは後期研修医1年目に購入したものですが、必要に応じて買い進めています。どれも安くないものばかりですが、必要なものを吟味して無駄な教科書を買わないように心がけています笑
少しでも皆さんの参考にしていただければ幸いです。
もしお勧めの参考書があれば教えてください!
質問などあれば気軽にDMいただければ幸いです。