郷原信郎弁護士らによる兵庫県 斎藤元彦知事とPR会社社長への告発状を読んだが稚拙で杜撰な印象
兵庫県斎藤知事らに対する告発状を、事務所ホームページにアップしました。
— 郷原信郎【長いものには巻かれない・権力と戦う弁護士】 (@nobuogohara) December 3, 2024
以下のリンクから、ダウンロードできます。https://t.co/CB9n44wmkM
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まず、全体の構成。
上記のように
第1 告発事実
第2 罪名及び罰条
とあるのだが、続いて、
第3 告発の理由
がだーっと続いて、最後に「第4」ではなく、
第3 強制捜査の必要性及び捜査体制について
とある。
番号のシリアライズがおそらく間違っていて、全体の構成が非常につかみにくかった。それがこの告発状が「杜撰」と感じた第一印象だ。
第3 告発の理由 については論証部分であり長大であるため後回しにして、最後の部分
第3 強制捜査の必要性及び捜査体制について
本件は、インターネットを用いた組織的な選挙運動をめぐる買収事件であり、過去 に例がない事案である。最重要証拠である note 記事については、投稿直後から、被 告発人側の弁解と符合する方向への修正削除が繰り返され、選挙運動に関わった選対 関係者間においても、note 記事の内容をめぐって SNS 投稿が繰り返されるなどの動 きあり、本件の真相解明のためには、関係各所の捜索等の強制捜査も含め、相当大規 模な捜査体制が必要となるものと考えらえる。
一方で、被告発人斎藤が現職の兵庫県知事であり、県警察組織を含む自治体のトッ プであること等も考慮すれば、検察、警察一体となった大規模捜査体制の構築が必要 になるものと考えられることから、告発人らは、神戸地検、兵庫県警両方に宛てて、 本件告発状を提出することとしたものである。
両捜査当局において緊密な連携協力の下、所要の捜査が行われ、厳正な処分が行わ れることを期待するものである。
2と3番目のパラグラフの言及については1番目のパラグラフの主張が正しいとすれば当然妥当なので、1番目のパラグラフの妥当性を検討する。
本件は、インターネットを用いた組織的な選挙運動をめぐる買収事件であり、過去 に例がない事案である。
まあモノは言い様で、70万円という小規模な額、「SNSと選挙運動」という従前から法整備もされてきた事象であることを考えると、「インターネットを用いた組織的な」「選挙運動をめぐる買収事件」「過去に例がない事案」という表現は捜査担当者や検察への単なる心象、印象操作であると思う。
最重要証拠である note 記事については、投稿直後から、被 告発人側の弁解と符合する方向への修正削除が繰り返され
真実がもし、被告発人(斎藤知事)側の弁解に正当性があるならば、折田氏が、斎藤知事や弁護士が指摘するとおり「事実ではない」「盛っている」記載が折田氏によって、事実に沿うように修正削除'される行為も準じて正当性がある、という事になる。
つまり、現状、単に疑いが払拭しきれない、という告発人の予断による可能性をもって強制捜査や大規模な捜査体制が必要だと要請しているに過ぎず、なんらかの非常に疑いが強い、誰が見てもファクトである可能性が強い事象があるから、その理由をもって捜査に着手すべきだ、という論理構成にはなっていない。
これがこの告発状の結論、総論部分を見た感想。
次は一個上に遡って、
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単なる告発人のエッセイ、感想文。「旧統一教会」とか本件とまるで関係のない事が盛り込まれており、これは所謂、左翼活動家連中が唱える念仏に等しいので、本告発状がその系統の強い思想を持つ人の活動の一環なのだろうということがこの文書単体からも容易に伺い知れる。
本件選挙においては、当初の予想を覆し被告発人斎藤が当選したことについて、SNS 等のインターネットによる選挙運動が有権者の投票行動に大きな影響を及ぼしたこ とが注目されていた最中に、その SNS 選挙戦略が、特定の PR 会社によって有償の業 務として行われた疑いが表面化し、実際に、報酬が支払われたことが明らかになった。
今回の選挙で実証された「SNS の選挙に対する影響力」からすれば、公職選挙で SNS 選挙戦略が有償の業務として行われることを放置すれば、今後の公職選挙において、 そのようなネット選挙戦略業務のノウハウ・スキルを持った業者に対して巨額の報酬 が支払われ、「ネット金権選挙による腐敗」が日本の公職選挙を席巻することになり かねない。それは、公職選挙法の目的を著しく阻害する事態である。
直近のアメリカ大統領選挙のように巨額の報酬があるならばそうだろうし、実際に公職選挙法はそういう理念で原則ボランティアで、とやってるのだろうが、「なりかねない」という将来的な大局の原理原則論は、本件の個別の事案の悪質性や重大性の論証には「なりえない」。
こんな杜撰なロジックで「本件の悪質・重大性」とか書かれて大上段から刑事告発なんてされたらたまったもんじゃないな、というのが率直な感想だ。
「たかだか70万円だよね」というのがあくまで本件個別事案の「影響力」であって、今回の「SNS戦略」とやらがどの程度、現実のSNSの趨勢に影響力を奮ったのかは、まさに「盛っている」「盛りすぎている」というのが大方の人の評価だろう。
さらに、文書を一つ遡る
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しかし、問題は、現に支払われた金額の多寡ではな い。インターネットによる選挙運動が PR 会社の業務として有償で行われ、実際に、 その対価が支払われたこと自体が、公職選挙法に違反する選挙運動の報酬支払であり、 決して許容してはならないものである。
結論の先取りの詭弁。違法事実が確定していれば、当然違法なのだから許容はされない、という当たり前の理屈があるだけで、支払われた金額の多い少ないは本件の違法事実がそこにあるかないか、を判断するにあたって非常に大きな事由となる。
たとえば仮に本件で500万円とかのレベルの金額が支払われていたならば「いくらなんでもデザインその他の契約の金額としては多すぎるだろう?」という疑惑の妥当性が高まるだろうし、本件のように70万円ならば「デザイン料で妥当だよね?会社の数週間のフルの選挙活動のコミットメントとして見合う金額じゃないなー」という憶測が成立しやすい。
同社が業務全体について、どの程度の対価を予定していたのかも不明 である。見積書で示した請求額の予定の一部しか支払われていない時点で、note 記事 で、merchu が被告発人斎藤の当選に貢献したことを公表したことで本件が発覚し、そ れが問題となったことで、報酬の残額の請求の未了となっている可能性もある。また、 同社の被告発人斎藤の当選への貢献に対して、同人が得る県知事の職権に基づき、今 後、何らかの見返りが提供される可能性もあり、被告発人折田が、それを期待してい た可能性もある。
このパラグラフは要するに、同社=折田氏のPR会社が本件選挙活動を無償でボランティアで行った、というシナリオについて言及している。
ならボランティアなんで合法だよね、何が問題でも?となってしまう。
「先行投資」したから、Note記事でまるですべて自身の功績であるかのように盛ってアピールしてマネタイズしようとしたのではないのか?という憶測もこの裏側に成立する。
「問題となったことで、報酬の残額の請求の未了となっている可能性」とかなんでも言いたい放題で、この告発状にはそんな可能性を示すファクトの論証は一切存在していない。適当に書いてるだけ。
本件については、現に支払われた対価の大きさだけではなく、有償で業務として行 われた選挙運動が選挙結果に影響を及ぼすという結果につながったことに着目すべ きである。
着目したいのは結構だが、繰り返しになるが、折田PR作戦による今回の選挙のSNS総体の挙動への影響力は極めて限定的であると見なされるし、それがボランティアであり、契約にない勝手な先行投資の思惑である、と告発人自らが示唆した直後に「有償で業務として行われた選挙活動」と身勝手な断定による結論の先取りに着目したい、というのは受け入れられない。
遡るが、遡った真上にまた(2)がある。
つまり、
3 被告発人らについての買収罪の成立について
というセクションの構成は(1)(2)(2)となっている。
プロによる告発状で、こんなシリアライズがデタラメな構成ってありえるのだろうか?杜撰すぎる。
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一体だと告発者が感じようがなんだろうが、5項目の代金70万円は、まさに5項目の業務に見合う規模でしかなく、それ以上の「選挙の広報全般の請負い」金額としては不合理に少なすぎる。
「明らか」「明らか」と繰り返している割には「可能性もあり」「可能性が高い」と繰り返していて、非常に稚拙。
たとえば、ChatAIに批判的に論証させてみたら、以下のようになる。
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ここでChatAIが分析しているとおり、この告発文は根本的に
- Note記事の内容を「信用性がある」と一方的に判断
しており、
- 代替的な説明の可能性を排除している
つまり、斎藤氏や担当弁護士がNote記事で削除されてしまったような「知事選挙での SNS 戦略を含む広報戦略 全般を依頼したこと」は事実と異なるので、それまでの経緯がどのようなものであれ、妥当な削除であったという可能性は排除されている。
これよりさらに事実の指摘が
第3 告発の理由
にあるが、ここですべて述べた枠組みの範囲内の事象の列挙だ。
この告発状は、極めて一方的で恣意的な論旨の運びで稚拙で杜撰である、という印象を強く持った。