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手紙
人生ではじめてもらった手紙は、中学2年生のときで、恋文だった。誰かから、本気で好きだと言われた経験も、はじめてだった。結局、彼女のことが恋愛対象ではなかったので、付き合うことはなかった。あのころの、胸の鼓動と、少しの恥ずかしさは、今でもよくおぼえている。
いま思えば、あの手紙は、とても良い文章だった。素直で、真剣で、相手(僕)の心に触れる言葉だった。
僕も、相手の心に残る、あたたかい言葉で手紙を書いてみたい。そう思って、昨年から、少しずつ手紙を書いていた。手紙のやりとりは、思った以上にわくわくした。郵便受けに手紙が入っていると、それだけで幸せな気持ちになる。返事にゆっくり時間をかけるのも、手紙の良いところだ。日常の些細なことや、旅行の思い出、仕事の愚痴から、恋人との別れ話まで、なんでも言葉にできる。相手の顔を思い浮かべながら書くことで、その人のことをもっと好きになれる。
最近は、仕事の忙しさを理由に書けていない。何かを伝えたい相手は、たくさんいる。はじめてもらった恋文に、中学生の僕は、携帯のメールで返事をした。恥ずかしくて、格好つけたかったのだろう。思春期の、未熟な少年だった。大人になったいまだからこそ、できることもある。
大切な人たちへ、心に残る言葉よ、届け。
ではまた。