普通日記、我今更音圧戦争事思。
今日はTIPSというか、単なるブログです;
音圧戦争
それは、レコード時代から続く「無形物をどれだけ有形物に詰め込めるか」を競うスポーツにも似た非暴力的抗争だ。
幾多に渡るマルチバンドコンプのたすき掛け。
バウンスしてインポートして、バウンスしてインポートしての無限ループ。
ビックマック張りに積み上げられたマキシマイザー、リミッタ、コンプレッサのプラグイン。
もうあの手この手を使って、みんな音圧を高めてくる。
音圧戦争では「力こそパワー」。
ここまでは全部俺のしったかだ!!
音圧戦争?で俺が知っていることといえばそれくらいかなー?
音がでかいと、テレビ番組のランキングの時とか耳に残るじゃん。
俺がそれを実感したのは、椎名林檎さんのアルバムCDが発売された時だ。
あれは、聴感上の音圧がマジで大きく感じた。
商業的にも成功を収めて、色々と激震だったのではないかな。
ま、今までもそんな事は何回もあったんだろう。
レコードからCDになった時のほうがよっぽど激震だった訳だし。
僕自身はどうなんだっけ?
僕はずぶの素人童貞、あ、まちがった。
僕はずぶのアマチュア素人なんで、音圧戦争とは無縁の世界に生きてます。
でも、ここで今一度、音圧について振り返りたい。
まずは、自己分析
敵を知る前にまずは己から。(そもそも、敵って誰やねんw)
面倒なんで peak/rms は計測しません。冷静に自己分析。
音圧戦争平均レベルから考えると低音当たりがちょっと低いかな。
過酷な音圧戦争に、僕はあっけなく破れてしまったのです。
音圧に悩んでる?
いや、そんなに悩んでないかな。
なんで、悩まなくなってしまったのか。
音圧戦争に敗れ、勝利者になることを諦めたから?
それも、あるかもしれないけど、一つ決定事件が起きたからなんだ。
楽曲・プレイヤーによって音圧が左右される
ここには、今まで録音したバンドの音源が集まっている。
最初は高校生達と一緒に、わいわいやってたわけよ。
下手なりにも音圧に相当ナーバスだった。
自分の中で様々な工夫を施しても、やはり音像は小さかったように思う。
その内、20代くらいのバンドの子も録音するようになった。
そしたら、音圧が勝手に底上げされてたんだ。
アレンジ力の向上
「なんでだろうなー、なんで底上げされたんだろう。」
突き詰めていったら答えは簡単だった。
高校生といえばバンドを始めたばかりの子も多い。
例えば、Eの音を出すときに、全員が譜面の頭でEの音を鳴らすだろう。
以前話した位相の話を基に考えると、EがEを呼びEが増幅されメータの中はEだらけになり、Eで侵されEで食い荒らされ・・・(略
20代となると少し違う。
Eと言っても、オクターブ上もあるし下もある、7th/9th を使ったり分数コードに当てはめたりもする。また、頭から入るという概念からはずれ、半拍ずらして入る奴が現れたわけだ。
そうなると、EはEを呼ばない。
メータは振りきっていないのに音圧が出る、という仕組みだ。
誤解してほしくないから一応記載しておくけど、「うぉーーー!!やったるぜ!!」って言うパワーが溢れているのは、高校生のパワーコードだ。
疲れて果てたとしても、また機材を運んで録音しよう!って気になったのはそれがあったからだ。
音圧は2次元じゃ表せない。
それぞれのトラックに付いてるメータ。
あれはいわば、時間×dbを基準に動作する2次元のメータだ。
音圧を測るにそれ+αが必要だ。
上下(ほぼ)無断階に広がる各周波数
左右(ほぼ)無断階に広がるPAN
※PANの事は、MS (mono / stereo)と表現したりもする。
「(ほぼ)無断階」というワードがやっかいだ。
200Hzの時はこうなります、200.1Hzの時はこうなります。
そんな事はとてもじゃないがやっていられない。
だからメータじゃ表せない。
今音圧がどういう状況下にあるか、把握することができない。
もちろんRMSも。
指標にはなるけど、平均なんて計ったって改善にはならない。
だから、なかなか試行錯誤しても効果が出なかったんだ。
一番の収穫
もちろん、試行錯誤が無駄になった訳ではなかった。
一番の収穫は、「マキシマイザーはピークを切らない代わりに、音源の質をウンコにする」というトレードオフ機能が備わっていることを知った時だ。
これは偏見かも知れないが、マキシマイザーを使った途端に音源が失速する。
昔はピークを切るのが怖いからマスターに挿していたが、頑張って録音した音源を肥溜めに捨てているのと同じ行為だった。
マキシマイザの事を「うんこ製造機」と呼んでいたほどだ。
だけど。
視点を変えた使い方をしたら、とんでもなくパワフルなツールだった。
どうやら、リアルウンコ製造機は俺の方だったらしいw
(じゃあどういう時に使うの?っていうのはまた別の機会に。)
結局、音圧を上げるには
心技体、全てが揃ってなきゃダメなのかもしれない。
良いプレイヤー・良い楽曲・良い機材・良い環境・良いエンジニア。
先人たちは音圧戦争の果てに何を見たのか
これは、あくまでも俺の勝手な意見なんだけどさ。
俺が気づかなかっただけで。
音圧戦争ってのは、すでに終わりを告げてたのかもしれない。
最近あんまり、聞かなくなったもんね。音圧戦争。
音圧戦争の果てにあったものは、文字とおり音圧を稼ぐという行為。
それは「CMで流すときに音がデカイと聞こえが良いです」みたいな商業的な使われ方じゃなくて、「激しい箇所は、より激しく。音源にメリハリをつけてリスナーに聴かせる」ための、マストテクニックに昇華したんだと思うよ。
今更な話だったらごめんなさいね。