歌ってみたMIXのテクニック05:マルチバンドコンプレッサーを使ってさらにさらに馴染ませる
マルチバンドコンプレッサー。
どうして君は、マルチバンドコンプレッサーなんだい?
鞄の中、机の中、(オケとボーカルを馴染ませる方法は)
いくら探しても見つからないのに。
君は、プラグインの一覧、ネットショップのお勧め
どこにでも現れる、君は一体何者なんだい。。。
もし、一つだけプラグインを選んでMIXしろって言われたら
僕は、間違いなくマルチバンドコンプレッサーを選びます。
そのくらい、マルチバンドコンプレッサが好き。
マルチバンドコンプレッサーは、static EQ になるし
dynamic EQ にもなるし、ディエッサーにも、
フィルターにも、アナライザーにも・・・・
色んなものになれる!できることが多い!
(だけど、普通のコンプレッサーと同じ事はできないw)
これが、よくわからなくなる原因だw
できる事が多すぎてw
じゃあ、もっと的を絞って。
もっとシンプルに。
「ボーカルをオケと馴染みやすくする」
その1点に絞って考えたら・・・。
今日はそれだけに的を絞って記載したいと思います。
以前のブログで
なぜ、馴染まないのかを考えた時に
ボーカルがオケと同じ要素を持っていないから(かな?)
となったので、
ボーカルとオケに共通項を持たせて馴染ませる、という話をした。
でも、これは最後の仕上げの話だ。
ゴリゴリ電子音のオケの中に、たった一つだけ、マイクで録音したボーカル。
色んな処理を施した桶の中に、たった一つ、スッピンのボーカル。
グルーイングだけでは、なかなか上手くいかない。
浮いちゃう理由は、沢山あるんだよね
その一つに、「突出した音量」という事象がある。
たとえば、学校のHRの時間、突出してバカでけー声で
「くぁwせdrftghじこ!!!!」
って叫んでたらどうかな。
完全にクラスから浮いてるよねwww
クラス(オケ)に、そいつ(ボーカル)は馴染んでない訳だ。
朝、「そいつ」は眠たそうにしている
だから寝てばかり、ウンともスンとも言わない
授業はずーっと寝てばかりで、クラスの中では完全に空気だ。
昼、そいつは腹が減るようだ
「腹が減った、腹が減った」
周りに急に問いかけ始める、お前さっきまで寝取とったやんw
放課後、そいつは絶叫シャウト
「くぁwせdrftghじこ!!!!」
もう、何考えてるか意味不明だw
完全にクラスから浮いているw
そいつの、朝・昼・晩の行動は
曲に置き換えれば、Aメロ・Bメロ・サビと言い換える事が出来る。
Aメロからサビにかけて段々力強く!!!
当然だけどボーカルはサビを熱心にうたっているね。
(ボーカルが浮いてしまうとも知らず)
Aメロ・Bメロ・サビ、だけじゃない
低音・中音・高音、にも置き換えれるかもね。
低音や高音だけが大きくなれば、リスナーは
「あれ、なんか浮いて聞こえるな・・・」
となるわけです。
でも・・・
低音だけが大きくなったとき、小さくしてくれる道具
高音だけが小さくなったとき、大きくしてくれる道具
そんなのないよね、、、
あいつは、いつまでたってクラスから基地外じみた存在と認知され
可愛い彼女もまた夢のまた夢・・・。
放課後は、彼女とパフェたべたり、カラオケ行ったりしたかったろう・・・。
いいえ、あるんです!!(カビラ)
朝・昼。夜とマルチに制御してくれる
彼(マルチバンドコンプレッサー)なら。
めちゃくちゃで、全然馴染めてないあいつ。
それでも、彼なら、彼ならどうにかしてくれる。
彼(マルチバンドコンプレッサー)の使い方
マルチバンドコンプレッサーの使い方は非常に難しい。
だからここでは、一番簡単な使い方を記載しよう。
どこのメーカの彼だか知らないけど。
こいつは1・2・3・4バンド。
要は、朝・昼・夕・晩までカバーっしてくれるという事だ。
まずは、下記のように設定してみて。
1は、250Hz(低次倍音の境界線)
2は、750Hz(基音の境界線)
3は、3.5kHz(2~3倍音の境界線)
4は、7.5kHz(4倍音以上の境界線)
本当は、男性、女性、録音環境、マイクの特性によって違う。
だけど、そんなことに気にせずに設定してみて。
彼は(マルチバンドコンプレッサー)は適当に設定しても
それなりに動作してくれる、賢いやつなんだ。
ComprThrsh
どの位の音が大きくなったら発動するか。
音がでかくなった時だけ、押さえつけてくれる。
しかも、1・2・3・4に個別にね!!!
まずはそれぞれ、押さえつけられるか、押さえつけられないか
ぎりぎりの所に設定しよう。
そのあとに、1・4は、少しきつめに抑えるように設定しよう。
やっぱり、低音と高音が急にグン!とでかくなると、浮くからね。
RATIO
RATIOは、音がデカくなった時に、
どのくらいの勢いでたしなめてくれるか。押さえつけてくれるか。
激しい曲では3位。
普通・やさしい曲なら2位。
Attack
Attack は、音がデカくなったのを発見した後、
どのくらい経過したら抑えるか。
とりあえず4msに設定しておけばいいよ。
子音は逃して、母音だけを抑え込むセッティング。
Release
Releaseは、音が小さくなった後、どのくらい経過したら
抑え込むのをやめるか。
こいつは難しい・・・。
BPM・曲調によってかわるし、
あとは、こいつが良し悪しをすべて握っているといってもいい。
まぁ、50msec位がいいかな。
長すぎるのは、ダメ!絶対!!!
そして、仕上げに。
4の Gain Make-up をオケを聞きながら、
少しずつ丁度良いところまで上げていこう!
余裕があるなら1・2・3も上げたり下げたりして
調節してみて!
すでに、押さえつけている音のボリュームを上げるだけなので
音は暴れたりしないはず!!!
さて、「あいつ」はどうなったかな。
まず、1・2・3・4、個別に制御するようにしたので、
テンションのムラはなくなったはずだよね。
しかも、美味しい所(4)も安定、かつ大きい音で、
皆に聞かせれるようになったね!
だけど!
もしかしたら、
「HRのあいつの奇声、あれがないと一日終わった気がしねーよ」
そういう人もいるかもしれない。
そうだね。
それが、個性っていうもんだ。
統制しすぎれば、制御しすぎれば、個性は途端に失われる。
個性が一番大事だっていうことを忘れないで。
最後に
どうでしてた!?マルチバンドコンプレッサー!
凄いよね。マルチだよね!
このツールのポテンシャルは、本当に高い。
だけどね
このツールのポテンシャル
と、
「どのくらいこのツールを使えば良いか」
は、まったく相関しないことに気を付けて。
やっぱり、ポテンシャルが高いと沢山使いたくなる。
故に、何度も失敗してきたw
だからこその発言なんだけど。
(俺の発言なんて、なーんの説得力もないけどw)
別に浮いてたっていいじゃん。
少しバラついてたっていいじゃん。
SNSや動画サイトでは、そういう個性があるほうが、
聞いてて楽しくなるはず。
制御された音源なんて、メジャーの人たちに任せておこうよ。
僕は少なくとも好きだからやってる。
マルチバンドコンプレッサーのセッティングに悩んだり。
浮いちゃうよー、なじまないよー、って悩み続けるのなんてナンセンス。
制御されてないサウンドを聞きたいな~。
それが、その人を一番表現している音だと信じて止まないのです:-)b