「位相」とは、何なのかを恐ろしいくらいザックリ話す記事
それは
録音に携わったものならば一度は耳にする言葉。
ありとあらゆる分野・角度で分析さる事象。
位相とはなんなのか。
そもそも、録音やバンドにどう関係するのか。
俺も良く分からん。
・・・だけど
それを今日この場で、
自分が持っている
「多分半分以上間違っているであろう知識」
を基に説明する。
そんな適当で大丈夫すかw
多分、大丈夫;
何故かと言うと、位相や倍音の事を理解したとしても、MIXが極端に上手くなることはなく、ましてや音質が飛躍的に良くなるといったことも120%ない。
だから、「半分以上間違っているであろう知識」という、いい加減な前提情報で進めていったとしても、対した問題にはならないと思う。
なら、なぜ知る必要があるのか
音は基になる音と、そのオクターブ上(2倍音・3倍音4・5・・・)で成り立っている。
また、2つ以上の音が組み合った場合や、音が壁にぶつかった場合(eary refrection で音が複数になった場合)、マイクを2つ以上使用した場合、必ず位相が発生する。
マルチトラックの録音を「言葉」で表現する際、どうしてもこの用語がないと説明できない事象が存在する。
以前にも少し話した「EQせずに音源をコントロールする」という内容を説明するのにも、この用語が必要だ。(あとは、倍音という概念)
俺は前提が正しかろうが、間違っていようが、気にしていないんだ。
もし、正しい知識を身につけたいならば、物理の参考書を買うも良いし、もっと専門的なサイトを閲覧すれば良い。
ここでは、感覚がつかめるかどうかだけにポイントをしぼって説明する。
位相
1.周期的に繰り返される現象の一周期のうち、ある特定の局面。
2.男女・職業・階級などの違いに応じた言葉の違い。
もちろん、今日話すのは1番の方ですw
1番は二部構成になっているみたいだね。
・周期的に繰り返される現象
・ある特定の局面
音は周期的な振動で成り立っていて、一秒間に何回振動するかで高音となるか低音となるか決定する。(周波数)
ここまでは想像に難くないよね。
ギターもベースもドラムもボーカルも、弦やヘッドや声帯が反復するから音がでる。
この反復を「周期的に繰り返される現象」と位置づけている。
ほんじゃ、「ある特定の局面」ってなによ?
2つの音が全く同じ条件下でなったと仮定しよう。
もし、DAWが手元にある人は一緒にやってみて欲しいな。
同じ音を2つのトラックにコピーします。
そして、同じ条件なので、同じ db で同じ pan(center)で再生したどうなるかな。
答えは簡単。
1つの音で鳴らした時よりも当然大きく聞こえるよね。
「周期的に繰り返される現象」が特に打ち消し合うこともなく、「ある特定の局面」で共鳴しあったために大きく聞こえたんだ。
よって、「ある特定の局面」とは2つ以上の音が鳴り続けている期間、ということになる。
わーい、わーい
位相がなんとなくわかったぞー!w
では、どんどん次に進もう。
位相のズレ
この、位相とやらがずれたらどうなるかな。
半周期まるっきりずれた場合、どうなるかな。
DAWがある人はまた試してみてくれ。
たぶん、全く音が聞こえなくなると思う。
これは、位相がずれ、音同士が打ち消し合うからだ。
また、pan を左右に振ってみると、音が聞こえるようになる。
これは、pan を振ったことで打ち消し合いが解消されたからだ。
これは、ドラムのスネアの録音の時によく見られる現象だ。
打面側とボトム側、それぞれマイクを立てて録音すると、位相がヒックリかえっている。(打面側は凹むところから録音が始まるが、ボトム側は凸るところから録音が始まるから。)
でも、スネアのトラックを2つ同時に流しても、完全に無音にならない。
これは、完全に同じ周波数で同じ位相だった場合、無音になるものであって、色々と条件が異なるスネアのトラックは無音になることが無いんだ。
ちょっとだけずれたらどうかな。
中低域だけがなくなり中抜けしたような音になるはずだ。
中低域になるほど、周期の波は大きくなる。(一秒間に振動する回数が、少ないから、波が大きくなる。)
なので、位相がずれてしまった場合、波が大きい低域の部分から、どんどん打ち消し合ってしまうんだ。
つまるところ
位相がずれてたり反転していたりすると、音をロストしてしまう。
二つのトラックを同時に流して「なーんかへんだなー。音が引っ込むなぁ。」と思ったら、位相をずらしたり反転させてみるのが良いってことだね。
※ちなみに、この作業を何度も繰り返すと、「なんかへんだなー」から「あ、位相ずれてるな」という感じに、精度が上がっていく。聖人レベルに到達した場合、2MIXの段階からでも「XXとXXの間で位相がずれてるね」と判断できるようになる。
もちろんバンドアンサンブルでも応用可能!
たまーに、あるよね。
ゴリッゴリの爆音で、ブリッブリに低音聞かせたパート。
一番爆音になる部分で、なーんか中抜けしたような低音がないアンサンブル。
そして、めちゃ激しいヘドバン。おー、ギャップがありすぎるぜ!
生のアンサンブルは、位相をずらすことが出来ない。
なので、少し位相がずれても中抜けしないように・崩れないように、それぞれの楽器の音作りで周波数をうまいこと分散させておくんだ。
要は前にも説明した「楽器本来が持つ自然で一番良い音」を求めれば、結果的にバランスよく分散される。
ストラトにぃ、無理やりEMG載せてぇ、アンプシュミレーターのぉ、かつ本物の5150のチューブの歪でぇ、とかってやりだすと、楽器本来の周波数を飛び越えてしまう。
ギター本来の周波数を超えて、ベースの周波数までかぶってきたら大変だよね。
迫力を出したいからといって、全員ゴリゴリに同じ帯域を上げまくると、少しずれた瞬間にスカスカになるよ。
位相はなんとなく分かった?
言いたかった事は、位相がずれれば音源本来の良さはなくなるってことさ。
そしてここで、もう一つ大事なこと。
位相のズレは「周波」と「それがどのくらいズレたか」の二次元ではない、ということだ。
録音時、その日の湿度・気温・壁の材質・音の歪み方、もちろん音の大きさ、色々なものに影響される。
DAWの中で位相は、20Hz 〜 20 kHz まで、各周波数でまんべんなく発生している。
(低音の位相はずれてるけど高音はずれてない、とかね。)
だから、録音する時・編集する時・MIXする時・マスタリングする時、その時々で、「位相を崩さない意識」を持つ事が大切なんだ。
どうやったら、崩れにくくなるか。
それは、み~んな企業秘密にしていると思うよ。
そんな部分もこれからどんどん実験して白日の下に晒してくぜ!
(そうできたら良いなw)
今一つだけ言えるとしたら・・・。
過剰なEQ、強烈すぎるコンプ、尖りすぎたディレイは位相ズレの原因だよ。
あ、最後に
中腹辺りに記載したんだけど、位相がずれてしまった時に「中低域だけがなくなり中抜けしたような音になる」と記載した。
じゃあ、中低域が要らない音は、位相ずらしちゃえばいいじゃん。
実際、この方法では高域側も位相がずれるため、あまりいい方法とはいえないけど、「あまり前に出て来てほしくない音」には使用できる。(使用できた)
超ショートディレイをかけてみても、いい感じに存在感をロストさせることが出来る。
あとは、2つトラック作って片方だけ少しだけ遅らせて、pan を適度に振れば中抜き&ステレオエンハンス。
このあたりの方法が適用できるのは超稀だし、存在感をがいらないならEQすりゃええやんって感じだよねw
・・・でもほら
EQしなくても・コンプをかけなくても・ステレオコーラスを使わなくても、少しだけ音源をコントロール出来るようになったでしょ :-)b
http://keisan.casio.jp/exec/system/1240368538