区分所有法第五節 規約及び集会

第30条(規約事項)

1 建物・敷地・附属施設の「管理・使用」に関する区分所有者相互間の事項は、区分所有法に定めるもののほか、「規約で定めることができる」。
2 一部共用部分に関する事項で「区分所有者全員の利害に関係しないもの」は、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを「共用すべき区分所有者の規約」で定めることができる。
3 規約は、専有部分・共用部分・敷地・附属施設(関連する権利を含む)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払つた対価その他の事情を総合的に考慮して、「区分所有者間の利害の衡平」が図られるように定めなければならない。
4第一項及び第二項の場合には、区分所有者以外の者の権利を害することができない。
5規約は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により、これを作成しなければならない。

第31条(規約の設定、変更及び廃止)

1 規約の設定・変更・廃止は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議によってする。
 →「規約での定数減は認められていない。」

 この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に「特別の影響を及ぼすべきとき」は、その承諾を得なければならない。

2 一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係しないものは、「当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の四分の一を超える者」又は「その議決権の四分の一を超える議決権を有する者」が反対したときは、することができない。

第32条(公正証書による規約の設定)

 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、「公正証書」により、下記に関する定めの規約を設定することができる。

  1. 規約共用部分

  2. 規約敷地

  3. 分離処分禁止の排除

  4. 専有部分と一体化される敷地利用権の割合

第三十三条(規約の保管及び閲覧)

1 規約は、管理者が保管しなければならない。
 ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
2前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。
3規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

第三十四条(集会の招集)

1 集会は、管理者が招集する。
2管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない。
3 区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求できる。
 ただし、この定数は、規約で減ずることができる。

4前項の規定による請求がされた場合において、二週間以内にその請求の日から四週間以内の日を会日とする集会の招集の通知が発せられなかつたときは、その請求をした区分所有者は、集会を招集することができる。
5管理者がないときは、区分所有者の五分の一以上で議決権の五分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。

第35条(招集の通知)

1 集会の招集の通知は、会日より少なくとも「一週間前」に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。
 ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
※ 通知の方法について、区分所有法上では特に制限はない。したがって規約の定めがなくとも、電子メールや電話、口頭での招集通知は理論上可能。

2 専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第四十条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。

3 第一項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。

4 建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第一項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。

5 集会の招集の通知をする場合において、会議の目的たる事項が次の場合は、その「議案の要領」をも通知しなければならない。

  1. 共用部分の変更(形状・効用の著しい変更を伴わないものを除く)

  2. 規約の設定、変更及び廃止(第31条第1項)

  3. 建物の一部が滅失した場合の復旧等(第61条第5項)

  4. 建替え決議(第62条第1項)

  5. 団地内の規約の設定、変更及び廃止(第68条第1項)

  6. 団地内の建物の建替え承認決議(第69条第7項)

第36条(招集手続の省略)

 集会は、「区分所有者全員の同意」があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。

第37条(決議事項の制限)

1・2 集会においては、招集の通知によってあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。そして、この規定は、区分所有法に集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前二項の規定は、前条の規定による集会には適用しない。

第38条(議決権)

各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分割合による

第39条(議事)

1 集会の議事は、区分所有法又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
2 議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる。
3 区分所有者は、規約又は集会の決議により、書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によつて議決権を行使することができる。

第40条(議決権行使者の指定)

専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。

第41条(議長)

「規約に別段の定めがある場合」及び「別段の決議をした場合」を除いて、「管理者」「集会を招集した区分所有者の一人」が集会の議長となる。

第42条(議事録)

1 集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。
2議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。
3前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名しなければならない。
4 議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び集会に出席した区分所有者の二人が行う法務省令で定める署名に代わる措置を執らなければならない。
5 第三十三条の規定は、議事録について準用する。

第43条(事務の報告)

1 管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。
→ 他の方法での報告は、規約での変更を許さない。

第44条(占有者の意見陳述権)

1 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、「集会に出席して意見を述べる」ことができる。
→ 「占有者」は独立した占有権原を有する者(賃借人、使用借人など)をいうが、区分所有者の同居の親族は「占有者」に該当しない。


2 会議の目的たる事項につき利害関係を有する占有者がいる場合には、集会を招集する者は、「区分所有者へ招集の通知」を発した後、遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

第45条(書面又は電磁的方法による決議)

1 区分所有法や規約により、集会において決議をすべき場合において、「区分所有者全員の承諾」があるときは、書面(書面決議・持ち回り決議)又は電磁的方法による決議(ネット決議)をすることができる。
2 区分所有法や規約により、集会において決議をすべきものとされた事項については、「区分所有者全員の書面による合意(全員書面合意)または電磁的方法による合意(全員ネット合意)」があつたときは、書面・電磁的方法による決議があつたものとみなす。
3 区分所有法や規約により、集会において決議をすべきものとされた事項についての書面決議・ネット決議は、集会の決議と同一の効力を有する。
4 書面決議・全員書面合意の書面、ネット決議・全員ネット合意の電磁的記録については第33条の規定を準用する。
 ・ 管理者の保管義務
 ・ 規約の閲覧義務
 ・ 保管場所の掲示義務

5集会に関する規定は、書面決議・ネット決議について準用する。

第46条(規約及び集会の決議の効力)

1 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
2 占有者は「建物・敷地・附属施設の使用方法」につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

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