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テキサス州司法試験:受験会場での注意点(2024年7月受験)

はじめに

本記事の狙い

今回は、テキサス州の司法試験を受験するにあたって、受験会場で注意すべき点について書こうと思います。私は、2024年7月にオースティンの会場で受験しました。テキサス州司法試験は、試験問題こそMulti-stateを採用していて他州と基本同じであるものの、ラップトップの利用や、持ち物など細かい点において、独自のレギュレーションを持っていると思います。今後受験される方の参考になりましたら幸いです。

なお、司法試験等に関連するものとして、以下の記事も別途書いていますので、適宜ご参照下さい。

参考資料

受験会場での注意点という意味では、テキサス州司法試験委員会がGeneral Instructionsという形で公表しており、これがオーソリティです。この文書は、出願手続きを進める中でいずれ遭遇することになると思います。本記事は、その中でも特に注意を要しそうな点を、個人的な体験に基づいて解説するものです。

https://ble.texas.gov/bar-exam-general-instructions

受験会場

テキサス州内でいくつか受験会場はありますが[1]、私は受験当時オースティンに居住していたため、オースティンで受験しました。会場は、Palmer Events Centerでした。ここに受験者が1,000人くらい収容されていたと思います。[2]

Secure Area

受験会場においては、Secure Areaという概念が重要になります。要は、実際に試験が実施される空間ですが、このAreaの中に持ち込めるもの(Allowed Items、後述)は限定されています。Palmer Events Centerの場合、建造物全体がSecure Areaに指定されています。これが何を意味するかというと、建造物に入る時点で、手荷物はAllowed Itemsに絞っておく必要があるということです。

Each exam site has a designated Secure Area. Restrooms and water fountains are located within the Secure Area. Do not leave the Secure Area during any testing session to use alternate restrooms, smoke, eat, drink, or for any other reason.
If you leave the Secure Area during a testing session, you cannot re-enter it during that testing session, and we may disqualify you from the entire exam.

General Instructions

逆に言うと、Allowed Items以外のもの(Prohibited Items、後述。わかりやすい具体例はスマホ)は、Secure Areaに持ち込むことができないため、それらを試験中に保管しておく空間を建造物外に手配しておく必要があります。その候補としては、①駐車場の車、②近隣のホテル、あるいは③自宅といったあたりです。ただ、自宅から会場までの移動に時間を要する場合、③は現実的ではないので、①②のいずれかになるでしょう。

私は、①、すなわち自分の車を駐車場に停めてそこにProhibited Itemsを全て置いてきました。駐車場から会場までは歩いて1分です。他方、②の場合、一番近いホテルはHyatt Regencyだと思います。このホテルから会場までは歩いて数分です。ただ、季節的に暑いので、①が取りえるのであれば、①のほうがいいと思います。

Centerの駐車場には、受験当日も十分な容量があるような印象でした。

以上をまとめると、以下のような位置関係です。

Palmer Event Centerをめぐる位置関係

タイムテーブル

受験のタイムテーブルは、Multi-stateで共通だと思うので、他州と同じだと思います。念の為、抜粋すると以下のとおりです。

ポイントになるのは、Lunch Breakの過ごし方です。上記のとおり、建造物全体がSecure Areaに指定されており、かつ、飲食物はAllowed Itemに含まれていないため、昼食を取る場所を建造物の外に確保する必要があります。上記のとおり、駐車場に車を停めておいて、そこで食事したりして1時間半過ごすのが良さそうです。

持ち物

Required ItemsとAllowed Items、いずれにも該当しないItems(=Prohibited Items)の区別が重要です。

持ち込める物・持ち込めない物

Required Itemsは、Admission Ticketと、身分証明書です。Allowed Itemsは、筆記具やラップトップなどです。

Prohibited Itemsは、上記以外という形でネガティブに定義されているのですが、代表例はCell phoneです。その他、時計、帽子、カードホルダー、ラップトップ・スリーブあたりが注意を要するでしょう。食事も持ち込めません。

Prohibited Itemsに該当すると、Secure Areaに持ち込めないルールになので、既述のとおり、オースティンのPalmer Event Centerの場合、建造物に持ち込めないことを意味します。ただ、試験中にCell phoneを預ける場所(Mobile Locker)が試験主催者によって用意されることになっており、実際Event Centerにそれらしきものがありました。ただ、そこに預けると、Lunch Break中には取り出すことはできず、その日の午後の試験が終わるまでは取り出せません。私は、Lunch Break中にスマホを触りたかったので、Lockerには預けず、自分の車に置いてきました。

実際に持ち込んだ物

実際に持ち込んだものについても振り返ってみます。まず、服装ですが、空調が効きまくっているので、セーターやらスウェットやらはあったほうがいいです。

ラップトップにステッカーを貼っていたのですが、これは特に何も言われなかったです。Prohibited Itemsの例として、Laptop privacy screens, filters, or filmsが挙げられていたのでやや気になってましたが、これらには該当しないのでしょう。

鍵は持ち込める物に含まれているので持ち込みましたが、念のためキーホルダーからは外しておきました。

ヘアゴムは特に何も言われなかったです。Prohibited Itemsの例として、Hats / head coverings (except religious items), scarves, headbands that cover the earsが挙げられていますが、文理上もこれらには該当しなさそうです。

ラップトップの事前登録

最後に、受験会場それ自体ではないですが、受験当日の注意事項に関連するものとして、ラップトップの事前登録手続きについて触れます。試験科目のうち、MPT/MEEについては、ラップトップを用いて答案作成することが認められています。この場合、司法試験委員会を通じて事前にラップトップを登録することが必要です。

そのスケジュールとしては、6月7日に手続きがオープンし、7月12日が対応期限でした。登録した後、ILG Exam360というソフトウェアをインストールします。一連の手続きは全てオンラインで完結します。登録料は90ドルです。なお、私のラップトップは、MacBook Air(2024年M3、米国で購入、USキーボード[3])でしたが、特に問題なく使えました。

一度インストールしてしまえば、受験本番だけでなく練習用にも使うことができます。日頃からMEE、MPT対策ではこれを使っておくのが良いでしょう。

注意点として、再びSecure Areaに戻りますが、一度このAreaに入ると、ラップトップ上ではExam360しか使ってはいけないルールになっています(厳格にエンフォースされているのか分かりませんが)。なので、予め全ての他のソフトウェアを切っておくのが望ましいです。


[1] 受験会場は、全部で6箇所のようです(Houston、Dallas-Fort Worth、Austin、San Antonio、Lubbock、Waco)。いずれも人口・経済規模において、テキサス州を代表する都市ですが、とりわけ州内にある全10のロースクールをカバーするという意図があるように思います。人口でいうと、El Pasoはかなり大きいはずですが、会場に入っていないのはロースクールがないからでしょう。

  • Houston: South Texas Colleg of Law, Texas A&M, Thurgood Marshall School of Law, University of Houston

  • Dallas-Fort Worth: Southern Methodist University, University of North Texas

  • Austin: University of Texas

  • San Antonio: St. Mary's

  • Lubbock: Texas Tech

  • Waco: Baylor

[2] 会場ごとの受験者数は公表されていないので、あくまで感覚に基づくものです。あえて統計上の裏付けを探すと、まず受験者全体で3,299人いたようです。このうち、学校の所在地的にオースティン会場を利用しそうなのは、テキサス大学を卒業した学生だけだと思います(上記脚注1参照)。ただ、これだと、315人です。これにテキサス大学のLL.M.の卒業生(多分受験したのは20人弱)や、州外からの受験者(953人)の一部を加えて、1,000人くらいだったのではないかと思います。

https://ble.texas.gov/2024_july_stats

[3] 日本語配列のキーボードの場合、注意が必要かもしれません。

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