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働きたい、働きたくない、働かなければならない。
働くってなんだろうか。
生活のためのか、自己実現のためとか、夢を叶いとか、いろんな理由があるんだと思う。だからきっと正解はないだろうし、人の数だけ正解の数もあるんだと思う。
私は新卒で入った会社にやりがいや働き甲斐を感じなくて、退職した。周りの大人には反対されたものだ。サラリーマンなんてそんなものだとか、自分にしかできない仕事はないだとか、悟りの境地のような意見が私を突き刺さった。
どこかでその通りだなと思う自分が居れば、一方で、仕事はもっと楽しいものだと信じたかった自分が居た。
SNSが普及してキラキラした仕事の投稿を嫌でも目にしたことで、そう錯覚してしまったのかも知れない。
そんな錯覚を抱いたまま、やりがいだけを求めて転職したけれど、現実はそんなに甘くなくて。
毎日残業が続き、何のための使われるか分からない資料作りに時間を奪われ、行きたくもない飲み会に参加する。近年の働き方改革や在宅勤務の広まり、ライフワークバランスを謡う企業の増加で、自分が置かれている環境、いや、自分が置くと決めた環境への不満が浮き彫りになっていった。
言い忘れていたが、転職してまだ1か月しか経っていない。それなのに、もう辞めたいと思ってしまっている。
こんなことを周りに言うと、もう少し頑張れよとか、踏ん張れよとか言われるのが目に見えているので、こうして密かに言葉にしている。
実際自分もそう思っていて、まだ頑張る余地はあると思うし、これで辞めてしまったら辞め癖がついてしまいそうだ。
でも、辞めたい気持ちはもう抑えられないし、もう転職したい気持ちが芽生えてしまっている。いくら理性的な思考を保とうとしても、一度思ってしまったことは、何をしようと消すことはできない。
働くってなんだろうか。
人生は長いと言う人はいるけど、私はどちらかというと短いと思ってしまう。だからこそ、やりたいことをやらなきゃ損だと思っているところがある。
学生の時に勉強してた国際協力系の仕事がしたいし、本が好きなので出版系に行きたいとも思ってる。英語もそれなりに喋れるので、それを活かせたらなおいいなと考えているし、小さい頃から芸能界にも興味があった。
けど、働いてみて思うのは、好きなことだけじゃ生活ができないということ。夢を追いかけるには土台が必要だってこと。それは経験だったりスキルだったり知識だったり人脈だったりする。
好きなことをして、キラキラしたキャリアを手に入れるのって幻なのだろうか。みんな仕事だからと、生活のためだからと、割り切って仕事しているのだろうか。そんな人生はどんな味がするのだろうか。
ときたま思うことがある。巷で言われているように、もし私たちの世界が、ただのシミレーションで、仮想世界にいるのだとしたら、一生懸命に働く意味ってなんなのだろうか。「あ、ここの計算は間違っている」と、簡単に捨てられてしまうひとつの関数なのだろうか。
本や映画でこんなセリフを聞くことがある。最期になった時、仕事のしすぎで後悔することはあるけれど、遊びのし過ぎで後悔することはない。だからもっと人生を楽しめよ、と。
その通りだなと感心することもあれば、そんなの分かってるよとつい突っかかってしまうことがる。
きっと私たちは、多くのものを背負いすぎてしまっている。必要のないものまで、背負うってしまおうとしている。欲と理性のはざまを行き来して、どうにか折り合いをつけて生きようとしている。
もし、理性を忘れて、欲に忠実に生きようとしたらどうなるのだろうか。
もし、欲を押し殺して、理性だけに従って生きようとしたらどうなるのだろうか。
そんなの不可能で。人間っていうのは、非常に複雑で混沌としていて、強くて、弱くて、摩訶不思議だ。