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【iDeCo】若者には地雷!?老後起業に最適!?安易な節税で詰まないためのnote
こんにちは、ケン|億超え資産作りの専門家です。
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最近、iDeCoに関するポストをXで行ったら結構な反響がありました。
今回の記事では、「老後資金を効率よく貯めたい」「節税効果を最大化したい」といった理由から注目されるiDeCo(個人型確定拠出年金)ですが、
2024年12月20日に発表された税制改正大綱で決定した、2026年以降に予定される税制改正によっては、期待していた退職金控除が思うように受けられないリスクも顕在化してきました。
本稿では、
20 ~ 40代の若い世代にとってiDeCoは本当に有利なのか?
老後起業を考える人こそiDeCoを使ったほうがいい理由とは?
2026年以降の税制改正がもたらす影響は?
そもそも“安易な節税策”に飛びつくと、どんな落とし穴があるのか?
といった疑問を中心に、iDeCoという制度を冷静に見直すための視点を提供します。最終的には「人によって最適な選択肢は異なる」という結論に落ち着くかもしれませんが、焦って始めてしまう前にメリット・デメリットをしっかり理解していただければと思います。
1. iDeCoの概要と“ロック期間”という大きな特徴
1-1. iDeCoとは?
iDeCo(individual-type Defined Contribution pension plan=個人型確定拠出年金)は、加入者自身が毎月一定の掛金を拠出し、その掛金を自分で指定した金融商品(投資信託や定期預金など)によって運用し、60歳以降に受け取る年金制度のことです。
拠出額は確定しているが、もらえる金額は運用の成果次第になります。
類似した商品で、事業主が掛金を拠出する企業型DC年金もあり、対比して個人型DC年金という呼び方をすることもあります。
以下が主な特徴です。
掛金が全額所得控除
iDeCoに拠出した掛金は、所得税・住民税を計算する際の課税所得から差し引かれます。結果的に節税効果が見込める仕組みです。運用益が非課税
通常、投資で得られる利息や売却益には約20%超の税金がかかります。しかしiDeCoの場合は運用期間中、運用益に税金がかからず、複利効果が大きくなりやすい点がメリットです。受取時の税優遇
一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る場合は公的年金等控除が適用されるため、他の金融商品よりも税制優遇があるのが特徴です。
1-2. 最大のネック:資金ロック(原則60歳まで引き出し不可)
iDeCoの最大の弱点は、原則として60歳になるまで掛金を引き出せないことです。途中で資金が必要になっても、貸付や中途解約が認められないため、「緊急時に備えたい」「事業投資で手持ち資金を増やしたい」といった人には不向きな側面があります。
特に若い世代であれば、人生のライフイベント(転職、起業、住宅購入、子育てなど)がまだまだ未知数。余裕資金が十分にあるなら別ですが、長期間の資金ロックを重く感じる方は多いはずです。
個人的には、公的年金の引き出し可能な期間が55歳が60歳になり、65歳になって、72歳まで検討されているように、iDeCoの引き出し可能な時期も先延ばしになるシナリオもあるのでは?というリスクも懸念しています。
2. 2026年以降の改正リスク:退職所得控除との兼ね合い
2-1. 退職金+iDeCo=ダブルで節税? その常識が崩れる
現行では、退職金を受け取るときに適用される「退職所得控除」があり、一時金でiDeCoを受け取った場合にも同じ控除を適用できます。
たとえば「60歳でiDeCoを一時金で受け取る→65歳で会社を退職し退職金を受け取る」という流れであれば、それぞれ別々に退職所得控除が使え、ダブルで税優遇が受けられるというお得な仕組みがありました。
このメリットと、掛金の全額所得控除を目的として加入されていた方が多いかと思われます。
2-2. 新たな“勤続期間の重複”調整
ところが、2026年以降は、一時金でiDeCoを受け取った後に10年以内に退職金を受給する場合、勤続期間の重複分を調整されてしまう制度が導入されます。
具体的には、「iDeCo受取時点の勤続期間」と「実際に退職したときの勤続期間」が重なる部分があれば、退職所得控除をその重複期間分、減らされることになるのです。
2-3. なぜ改正されるのか?さらに今後のリスクは?
背景には、国の財源不足や社会保障費の増大などが挙げられるのではないでしょうか。退職金が出る企業は依然として多いものの、退職金制度自体も見直しが進む傾向がありますし、“退職金+iDeCo”のダブル控除を「二重優遇」と見なす動きが今後さらに強まっても不思議ではありません。
もし将来、退職所得控除の計算方式がさらに厳格化されれば、長期でiDeCoに拠出し続けた人ほど「こんなはずじゃなかった」という事態に陥る可能性があります。後出しジャンケンをされても、途中解約ができない以上は泣き寝入りするしかなくなります。
3. 若者には地雷?――iDeCoが「向かない」理由
3-1. 流動性不足が大きなデメリット
若い世代は、転職・独立・結婚・出産・住宅購入・親の介護など、人生の大きな変化が起こりやすい時期です。そうした変化に対応するには、できるだけ資金に余裕や柔軟性をもたせたいのが本音でしょう。ところが、iDeCoは60歳まで原則引き出せないため、いざというときに使えません。
ロック期間が長いぶん、「他の投資や貯蓄に回したほうがよかった」と後悔するケースも考えられます。
3-2. 退職金制度があやしい若手・中堅には特にメリットが薄い
近年、退職金制度を廃止している企業や、退職金そのものが少ない企業も珍しくありません。大手企業や公務員であれば退職金は期待できるかもしれませんが、それでも今後の制度変更で額が減るリスクがあります。
「退職金×iDeCoで大きく税優遇を受ける前提がそもそも揺らいでいる」状態の若手にとっては、iDeCoのメリットはそこまで魅力的ではない可能性があります。
3-3. 他の運用手段が十分ある
若い世代であれば、投資信託や株式、あるいは自分の事業(起業・副業など)に投資するなど、リスクを負いながらも短期〜中期で運用益を狙える手段が数多く存在します。
iDeCoの強みは「節税」と「運用益非課税」に尽きますが、肝心の資金が長期間ロックされてしまうため、他の投資と比べた成長機会の損失も否めません。税優遇でいえば、NISA制度が投資商品の多様化や、投資可能な金額の増加、流動性の高さなどで優位性が高い場合があるかもしれないし、事業者であれば小規模企業共済の方が運用性はなくとも資金の自由度で優位性があるかもしれません。
4. 老後起業にこそiDeCoが“最適”と言われる理由
4-1. “差し押さえ”から資金を守れる性質
一方で、iDeCoに非推奨のスタンスを取りながらも、個人的にiDeCoの活用するのに向いている人もいます。それが50代以上かつ起業や融資を受けての不動産投資などリスクを取って動こうとされている方たちです。
iDeCoや中小企業退職金共済(中退共)、小規模企業共済、公的年金などは、基本的に自己破産などの法的整理における差し押さえの対象にならない性質があります。確定拠出年金法によって、差押禁止財産と規定されており、破産をした場合でもiDeCoで積み立てた資産は守られるのです。
(受給権の譲渡等の禁止等)
第三十二条 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。
老後起業でリスクを取る場合、最悪の事態として事業がうまくいかない可能性もゼロではありません。有名起業の役職者が定年退職後に起業、失敗、自己破産。そんな流れも何人も見てきました・・・。そんなときに、最低限の老後資金を守る仕組みとしてiDeCoを活用するのは大いに理にかなっています。ただし、上記のように国税を滞納した場合など、税金に関しては差し押さえ対象になるので注意が必要です。
4-2. 残り運用期間が短い=制度改正リスクをある程度織り込みやすい
50代や60代でiDeCoを始めると、運用期間はそう長くありません。そのため、税制が大幅に変更される可能性や、iDeCoのルール改正による不利益を被るリスクは、若年層よりも相対的に小さくなります。
また、受給開始を60歳から少し先延ばしにできるのも特徴で、年金受取時期や退職時期との“タイミング”をある程度コントロールしやすいです。
4-3. 公的年金の不足を実感している世代
一般的に、年齢が上がるほど「老後の収入源」を意識する方が増えます。公的年金だけでは生活が厳しいと感じる人にとって、iDeCoを活用した資金づくりは安心材料になり得ます。しかも老後起業の場合、事業収入が安定するまでの“つなぎ”として、60歳以降のiDeCo受給を検討する人もいるでしょう。
5. “安易な節税策”に飛びつくリスクと教訓
5-1. 税制は変わり続ける
過去には、相続税や贈与税の節税のために海外移住をするケースも話題になりましたが、その後「5年ルール」が「10年ルール」に変更されるなど、一度決めた節税スキームが将来にわたり絶対安泰とは言えません。
iDeCoも同様で、2026年の改正を皮切りに、さらに不利な方向へ修正される可能性は否定できないのです。個人的には「後出しジャンケンで改悪されるだろう」と10年前から警鐘を鳴らし続けていました。
5-2. 「将来の優遇を期待しすぎる」と痛い目に遭う
iDeCoの受取時に退職所得控除を期待していたのに、いざ受取時期がきたら制度が変わっていた――というシナリオは十分にありえます。実際に数十年先を見据えて拠出するわけですから、その間に税制や経済状況が大きく変化していても不思議ではありません。
「制度改正リスク」を織り込んだうえで、iDeCoに拠出しすぎない、あるいは受取時期を複数に分散するなど、慎重な設計が望まれます。
5-3. 20年・30年の「資金人質」を容認できるか?
特に若年層がiDeCoを始める際に強く意識したいのは、「ロック期間の長さ」と「その間に大きな改正があっても自分には対処のしようがない」という点です。
投資や事業で資産形成を目指すのも良いですが、iDeCoに拠出しすぎてしまうと、流動性を失いチャンスを逃す可能性があります。経営者やフリーランスなど、資金ニーズが変動しやすい人ほど、このデメリットは重大でしょう。
6. それでもiDeCoを使うべき人、避けるべき人
6-1. iDeCoを使うべき人の例
50代以上で、退職が近い人
運用期間が短くなるため、将来の税制改正リスクが限定的。退職金や公的年金を見据えながら、iDeCoの税優遇を使いやすい。老後起業を検討している人
ビジネスで失敗したときもiDeCo資産が差し押さえされにくいメリットがあるため、最低限の生活資金確保に役立つ。サラリーマンを続け、一定以上の所得が見込める人
年収1,000万円以上で税率も高く、ある程度の課処分所得もあり、安定収入があるほど、拠出限度額をフルに活用した節税効果が期待できる。
(個人的には、自分がサラリーマンだとしたら、大手起業かつ年収2,000万円を超えているなら優位性があり加入を検討します)
退職金も見込める大企業勤務なら退職所得控除の恩恵を最大化する計画が立てやすい。
6-2. iDeCoを避けるべき(慎重に検討すべき)人の例
若年層(45歳以下)でキャリアが流動的な人
資金ロックが長すぎる上に、これから起こり得る転職・起業・家族計画などに柔軟に対応しにくい。事業投資や短期〜中期の資産運用を重視する経営者・フリーランス
事業資金として使えるお金を減らすことは、成長機会の損失につながる可能性が高い。優先して他に投資すべきもの、年金づくりでも他の制度を活用する方が優位性が高いケースが多いです。将来の制度改正リスクを許容できない人
退職所得控除や受取時期の制度がさらに改悪されるリスクを考えると、長期で大きな額を拠出するのはギャンブル性がある。
7. まとめ:結局は「人それぞれ」――自分のライフプランと照らし合わせよう
税制面でのメリットが強調されることの多いiDeCoですが、実際に活用すべきかどうかは「年齢」「職業」「収入」「ライフスタイル」「キャリアプラン」「マネーリテラシー」「今後の人生設計」など、個々の事情に左右されます。
長期間の資金ロックや制度改正によるリスクがある一方、退職が間近の人にはリスクは少なく掛金と退職金控除のメリットを享受でき、老後に起業・副業でリスクを取る人にとっては、iDeCoの“差し押さえ回避”メリットなどが非常に大きい場合もあります。
7-1. 「今」を取るか、「老後」を取るか
若者にとっては、将来の老後資金よりも「今の人生をどう安定・拡大させるか」が優先度として高いことが多いでしょう。また、若い段階からiDeCoに資金を回すことで得られる節税メリットと、将来の不測の事態への備え(現金や他の投資商品を持っておくこと)とのバランスを慎重に考える必要があります。個人的には年金を目的にするとしても違う手段をお勧めします。
7-2. “失敗しても老後の資金だけは死守”したいなら有力
一方、老後に向けてビジネスチャレンジを予定している人であれば、「万一失敗してもiDeCoで貯めた資産は守られる」という大きな安心感があります。事業に挑戦しつつも老後の資産を安易に失わない方法として、iDeCoをポートフォリオの一部に組み入れるのは合理的といえるでしょう。
8. “安易な節税”に飛びつく前に考えるべきこと
制度改正リスクへの備え
iDeCoに限らず、税制は常に変化します。今のルールが将来まで続く保証はありません。税制優遇を受ける施策を行う際は、万が一税制優遇効果がひっくり返される可能性もシナリオに加味して実施することを勧めます。資金ロックと流動性
個人のライフステージやキャリアによっては、流動性が極端に低いのは致命的なデメリットになる。自分のキャリアビジョンに合っているか
会社員を続けるのか、いつか独立・起業するのか、海外に移住する可能性はあるのか…。将来の方向性が不透明なら、iDeCo以外にもっと適した運用法や保険があるかもしれません。“割り切り”ができる金額を拠出する
「とりあえず月々数千円〜1万円程度なら、ロックされてもそれほど痛くない」という程度の拠出から始めるのも一案です。大きな額を最初から突っ込むと、改正があったときのダメージが大きくなりがちです。
9. 終わりに――最終的には自分の状況次第
iDeCoは、あくまで「自分の老後資金を作るための仕組み」です。その性質上、“節税になる”というメリットが注目されがちですが、国の財政事情や制度改正の波を考えれば、いつまでも手放しに優遇される保証はないのです。最近の退職所得控除の改正はその一例に過ぎません。
思考停止で飛び込んでしまうと、若い世代ほど「ロック期間の長さ」や「制度改正のリスク」といったデメリットが色濃く出やすく、安易に飛びついてしまうと“詰む”可能性も否定できません。
一方で、50代以上や老後起業を狙う人など、「運用期間が短い=改正の影響が少ない」「自己破産しても資産を守りたい」というニーズがある方にとっては、むしろ最適な選択肢にもなります。結局は、「自分のライフプランや資産状況とマッチするか」がすべてなのです。
したがって、「iDeCoを絶対に始めるべき」「iDeCoは絶対にダメ」といった単純な結論ではなく、「その人の状況に合わせて、ベターな選択肢を探す」ことが極めて重要となります。老後資金の準備には、NISAや積立保険、その他共済制度、不動産投資など、ほかにも様々な手段があります。自分に合う方法は何かを考え抜き、安易に飛びつかず、そしてむやみに恐れすぎず、冷静に情報を精査していきましょう。
最後にもう一度、このテーマを貫くメッセージをお伝えします。
「安易な節税策を求めて地雷を踏むな。人によって最適な施策は違う。」
将来の税制リスクやライフプランをじっくり考えながら、自分に合った資産運用の方法を見つけることをおすすめします。人生100年時代だからこそ、今だけでなく5年先、10年先、20年先まで見据えた設計をしていきましょう。
あなたの人生にとって最良の選択を見つける参考になれば幸いです。
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(ヘッダー画像:株式会社産経デジタル、Yahooニュースの記事より引用)