新平年値もどきを算出してみました(降水量)
続いて、降水量についてお伝えします。
対象地点は平均気温と同様に5地点です。
降水量
平均気温と同じく、気象庁が公開している平年値(1981-2010)と計算により得られた平年値(1981-2010)をグラフ上に表示してあります。重なり合って表示されていますので統計扱いしないデータの影響はほぼないといえそうです。
そのうえで、秋田、山形の平年値はほとんど変わらないようにみえます。また、東京、広島、熊本についても降水量が増えた期間、減った期間がまちまちであまり変わらないようにみえます。
グラフのスケールがばらばらで申し訳ありません。
平年値の比較
平年値(1991-2020)から平年値(1981-2010)を引いた値をグラフにしました。
秋田、山形は東京、広島、熊本に比べ、日ごとの変動幅は小さくなっています。一方、広島や熊本では特に梅雨時の日ごとの変動幅が大きくなっています。
平年値を算出する過程において日値は当日とその前後の4日間の値による移動平均(9日間移動平均)を3回繰り返しています。新平年値の対象から外れる1981-1990年と新平年値の対象に加わる2011-2020年で移動平均対象となる前後9日間の降水量に差がなければ平年値の差としてはあらわれないことから、変動幅が大きくみられる広島や熊本は降水量の多くなった期間が変化したとみてもよいのではないかと思いました。
特定年の災害クラスの降水量によって引き上げられた部分が大きいことが推測されますが、広島は7月上旬が増加してその前後で減少、熊本は6月から7月上旬にかけて増加して中旬以降は大きく減少しています。
階級区分値の変化
階級区分値は、かなり少ない、少ない、多い、かなり多いの4つに分類されます。かなり多いとなる階級区分値は30個のうち多いほうから3番目と4番目の平均値です。この値が大きく変化するということは1981-1990年の間にはなかった極端に多い降水量が2011-2020年にあったことが考えられます。
通常、降水量の階級区分値は平年値に対する割合として百分率で表しますが、ここでは1地点の変化をみていることや実値のほうがわかりやすい(降水量の多い時期は大きく、降水量の少ない時期は少なくなる)ことから、あえて実値のままにしました。
広島では7月上旬にかなり多いとする階級区分値が上昇し、その前後では低下、熊本では梅雨末期の7月中旬から下旬にかけて、かなり多いとする階級区分値が大きく低下していて、大雨となりやすい期間がいわゆる梅雨末期よりも前の期間にシフトしているのではないかと思います。
このことは山形のかなり多いとする階級区分値の変化をみてもわかります。広島や熊本のかなり多いとする階級区分値が低下した7月中旬から下旬にかけて、山形のその階級区分値は大きく上昇しています。山形において50mm/日以上の降水量を観測した回数は1981-1990年では1回(1988年/62mm)のみでしたが、2011-2020年では5回発生していて(最大値は2020年/155.5mm)、梅雨末期の降水域が北にシフトしやすくなっていることを示していると思われます。
昔は関東甲信が梅雨明けしたら一気に太平洋高気圧が北にも強く張り出して東北南部もまもなく梅雨明けというのがよくあるパターンだったように思うのですが、そうはいかなくなった、そういった変化も平年値や階級区分値といったところにも現れてきそうです。
このところ、毎年のように大きな豪雨災害が発生していますが、今年は穏やかな年であってほしいと願うばかりです。
日照時間は顕著な変化が見いだせていないので、日を改めてお伝えしようと思います。
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