見出し画像

ワンクリックで実況・予報資料が確認できる環境をつくってみました

専門的な実況図や予報資料は予報業務許可事業者、国や地方公共団体等の関係部署に就業している人であれば、身近に閲覧できる環境が整っているかと思います。
一方で民間企業で働いている人や現役を引退した方々にとっては、これらの資料入手は可能ではありますが、”容易に” ”継続的に” ”俯瞰して” という観点でみると閲覧環境が整っているとはいえません。

かくいう私も運行管理を担当していたことがあり、特に悪天候が予想される場合にはナウキャストをみたり、気象庁のHPから予報図をダウンロードしたりしていました。こんなとき気象会社ほどではなくとも、もう少しスマートに見たい情報が閲覧できたらいいのにと思うことがよくありました。

前回、「九州の(前日の)お天気」を公開したことをお伝えしましたが、今回は、専門的な実況図や予報資料などをワンクリックで閲覧できるサイトを作成、公開しましたので、ご紹介したいと思います。

「気象予報士のほとんどは予報ができない気象予報士」なんて不要論を吐く人もいるようですが、予報業務に携わっていなくとも、その多くは必要に応じて専門知識を活かしていると思っています。

そんな気象予報士の方々や興味・関心のある人が、ある意味で障壁となる定期的な情報収集や多くの資料に辿り着くまでの無駄な労力が省力化されて、気象予報士の日々の能力向上にも役に立つのかもしれないという思いです。

公開先

お天気アーカイブ

<公開している情報一覧>
・実況図
・短期予報資料
・週間天気予報資料(Sunnyspot社の専門天気図より)
・2週間気温予報資料(解説資料はSunnyspot社の専門天気図より)
・1か月予報資料(支援資料はSunnyspot社の専門天気図より)
・GPV(GSM、GFS、ECMWF)

以下、公開している中身についてちょっとだけ説明を加えます。

実況図・予報資料

主に気象庁が公開している実況図や予報資料、解説資料を公開しています。
解説資料を読んでいると、前日の予報に対する変化であったり、モデル間の予報の違いであったりといったことがよく記載されています。そこで、最新の予報資料と前日の予報資料を横並びに表示したり、前回、前々回の予報も閲覧できるようにしたりして、予報の変化が把握しやすいような画面構成にしてみました。ただ、資料は入手サイズのまま掲載しているので縦方向に画面からはみ出してみにくいところもありますがご容赦ください。

GPVデータ

各機関、1日4回予報していますが、取得している情報は初期時刻12UTCのみ1日1回更新です。(10日から16日先ぐらいまでの情報なので1日1回で十分かなと思っています)表示画面はスライダーを使って5秒おきに自動的にスライドするようにしています。マウスオーバーやクリックで画面スライドが止まります。

ECMWF(欧州気象中期予報センター)では多種多様なチャート図が公開されています。ただ、本家サイトの閲覧は1予報時刻のチャート図のファイルサイズ(1MB超のPNG)のせいなのか、ネットの回線速度のせいなのか、画像が表示されるまでにかなり時間がかかり、表示できない場合も多いのでイライラしたりもします。ちなみにデータセットはわずかなGRIB2データを取得しようとするだけで年間€23,000もの費用がかかるようです。なので、データセットの入手は断念してfreeで入手できるチャート図を公開しています。

画像1

NCEP(アメリカ国立気象局 国立環境予測センター)はチャート図もデータセットもfreeで入手できます。チャート図はいかにもアメリカっぽい感じがします。アンサンブル予報のスパゲッティダイヤグラム(下図)もあって、高度線予想のばらつきが確認できます。
GFSモデルのGRIB2データは全球データです。全球データは0.25°、0.5°、1°の解像度をもつデータから選択が可能です。全予報時刻・0.25°単位のデータをダウンロードしようとするとファイルサイズが大き過ぎて時間ばかりかかってしまうため、1°単位、時間間隔を12時間おきにすることでデータ量を減らして取得しています。GMSの日本域(20-50N,120-150E)よりもやや広い領域(20-60N,110-150E)を作図して公開しています(下図2番目)。

画像2
画像3

気象庁のGSMデータは京都大学生存圏研究所から日本域のデータを取得しています。こちらも1日1回更新、初期時刻12UTCの予報データのみです。

画像4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?