日本人はなぜ海外への興味を失ったか 真逆を行く意味
ぼくは小学生のころからアメリカやイギリスの映画ばかり、中学生くらいから翻訳小説ばかりといった感じで、実際に日本人以外の友達はほとんどいなかったものの、その割にはアメリカやイギリスの文化に触れていたほうではないかと思う。
そして高校生でニュージーランドに留学することになるわけだが、2019年の調査によると留学に興味がある人は3分の1程度でたとえば韓国やドイツでは半数以上が興味があると答えているらしい。
たしかにコロナ以降の物価上昇と円安の影響で海外に留学するハードルが上がったことは間違いない。とはいえ、コロナ前の調査でも上記のような結果が出ているわけで、なぜ興味を失ったんだろうか。
翻訳小説に関しては悲しいことに10年前はたとえば文庫本であればほとんどが1000円以下で買えたのだが、現在は1000円を超える本がほとんどで2000円に近付いているものさえある。たしかに版権を買う際の値段も円安で1.5倍くらい上がっていたとしてもおかしくないし、ただでさえ本離れが進んでいる現状に、さらに値段が高騰したとあっては、手を出しにくくなるのも無理がない。
同時に、これはスマホやゲームの登場によって圧倒的に本に費やされる時間が減ったことだろうが、これは映画も同様ではないだろうか。
スマホでは好きなジャンルのみを楽しめる。テレビが衰退の一途をたどることにも原因がある気がする。というのも、テレビはすくなくともスマホ以上にはバリエーションのある番組を提供してくれるからだ。
そしてZ世代に至ってはTiktokなどの登場によって集中力が乏しい。なんなら、音楽でさえ最初の何秒かで掴まないと変えられてしまう有様だ。
そんな中で映画の2時間というのは非常に長い。
映画や小説が選択肢として失われるわけで、そうすると、アメリカやイギリスなどに興味を持つ人が減るのも無理はない。そもそも存在していないも同然なのだから……。
一度こうなってしまうと、個人的には再度興味を持ってもらうのは無理なんじゃないかと個人的には思う。
ぼくは翻訳小説が好きだし、ゴジラ以外の邦画なんてほぼ観たことがないくらい洋画が好きだ。でも、TikTokに慣れている世代にとって、映画は長い……といわれてしまうと、ちょっともう反論ができない。
海外に行かなくても学べる。家にいてもコミュニケーションが取れる。本を読まなくても学べる。
同僚が飲みの席に行かなければ飲みに行き、挨拶をしない人がいれば挨拶をする。海外に行く人が少なければ海外に行き、対面のコミュニケーションが下火であればそれを心掛ける。本を読む人がいなければ本を読む。
減っているからこそ、その行動をすることでほかの人に差をつけることができるのではないか。
何事も真逆をいけばいいわけではないけれども、真逆をいくことで、ボーナス期間的に、真逆を行くことで、その行動によってもともと得られる以上の利益を得られるのではないかと思う。