xRの倫理についての考察
xRの世界では今の現実と違う状況が多々起こり得ます。
世界が変われば倫理も変わるわけですが、xRの世界ではその変わりようが激しい気がして、ワクワクするとともに不安にも駆られます。
全く専門家ではないのでモヤモヤしてるだけですが、まとめてみます。
VRでの美醜
VRは今までのデジタルより人間的というか肉体的です。さらにVRがメタバース的になっていって人生の大半をそこで過ごすようになった場合(人が既に人生の大半をスマホで過ごすように)、VR上での見た目=アバターがその人の外観になります。VRでしか接点のない人にとっては、本当にその人はそのアバターの見た目なのだとして認識されるでしょう。
今までのSNSなどでのアバターやアイコンはあくまで「センス」の問題で、実際の格好いいとか可愛いとは意味合いが違いました。しかし、VR上でのアバターは、可愛いと感じうるのではないでしょうか。
2次元キャラに慣れている日本では、その傾向も強い気がします。
格好いいとか可愛いから遺伝的な要素や、実際にどんな生活を送っているか等の要素がなくなった場合、顔が整っていることや痩せていることの意味はどうなるんでしょう? 美男美女ばかりになるのか。あえてずらすセンスが大事なのか。VR上でモテたい場合、どんな見た目にすれば良いのか。モテるというような多様性を欠いた発想自体がなくなるのか?
国や時代によって美しさの基準が変わったりしますが、それどころではない変化が起こるような気がしなくもないです。
VRでのセックス
気になります。方法とかではなく、それがどういう意味を持つのか。
倫理的になんだか危うい感じがします。。
現実であれば見た目だけでも、どんな食生活なのか、運動しているのか、身だしなみを整える社会的意識があるのか等わかります(偏見も含んでしまいますが)。VR空間で、それが隠されている状態で「好意」をどういう基準で持てば良いのか。下手したらちょっとした会話や仕草なんかも、AIなどを使うことで誤魔化せてしまうかもしれません。
「好意」を持つ基準が今までのルールが通用しない以上、「好意」の先にあるべきとされる「愛のあるセックス」というルールも通用しなくなってしまう可能性もあるんじゃないかと。
具体的に起きそうな問題として、
・相手がAIであれば自慰行為になるのか? AIとのセックスなのか。
・相手の性も不明(いわゆるネカマ)になりますが、それはもう良しとするのか。相手がおじさんでもVRでは美女として捉えて割り切ってしまっていいのか。
・年齢制限は流石にちゃんとしてほしい。本当に。けど、実効性のある規制方法があるのか?
・芸能人がzoomセクハラを暴露されてたりしますが、デジタル上での性行為のそういう面でのセキュリティを守れるのか?
など思いつくだけでも問題が山積みです。
エロがビデオやインターネットやVR普及のエンジンだったと言われたりしますが、メタバース上でのバーチャルセックスについてはパンドラの箱感がします。
ARの公共性
同じ通りを歩いていても、AR空間では全く違うものを見ている可能性があります。
現実ではただののどかな公園が、仮想空間がマッピングされた状態では危険なサバイバル空間だったりします。まぁ、アクションゲームのようなものは使用が制限されるんでしょう。されないと、危ないし。
純粋にマッピングだけして見ているタイプはもっと制限が難しそうです。
例えばパレードを見てる群衆の一部がアンチのAR空間に入っていて、パレードの主役達に批判的なコラージュを施して馬鹿にしているかもしれない。
もっと下品な例だと、歩く人みんなにアイコラみたいなのを施すARとか。
それが個人的に楽しむだけだとしても、ある程度は規制が必要な気がします。想像するのは自由だけど、ARはそことは一線を画すのかと。
VRでのものの価値
xRにあるものはすべてデジタルなので、基本的にはコピーが可能です。
1億円の価値がある壺も、無限にコピーができるのであれば価格は暴落するでしょう。
なのでもちろん、コピー制限をかけることになります。ブロックチェーンとかうまく使って制限かけていくんでしょう。たぶん。
コピー制限をかけるということは意図的に希少性を高めるということです。
xRでの価値は、ブランド、著作権、特典のようなものに集約していきそう。ものとしての希少価値、工数による価値というものは今とは違う係数として扱われると思います。
希少性では、ダイヤモンドやプラチナなどのような希少性はなくなり、「限定品」のような希少性のみ残ります。工数・手間賃は今後も価値を持つでしょうが、供給の量によって価値が激減するんじゃないでしょうか。工数1時間でも、1人が使うだけ(そして他の人が欲しがらない)のであれば、それは高いでしょうし。工数が2週間でも、何万人が使うようなものであれば、ほぼ無料になるでしょうし。
著作権という仕組み自体がそこまでうまく回ってないように見える昨今、著作権的な価値が強くなるxRの世界でどうやって著作者に還元してくのか。
ブロックチェーンとxRが組み合わさることで経済が大きく変わるような話がありますが、もう「価値」というもの自体が大きく変わるんじゃないかと思います。
VRの世界の透明性
ディストピアとしては一番リアルに怖い問題が、どこかのプラットフォーム企業が世界をコントロールすることです。
アメリカの大統領選などで暗躍したとされる「ケンブリッジ・アナリティカ社」のように、SNS等のデジタル上で民衆をコントロールすることが急激な進化を遂げてしまっています。
xR世界はすべてが作り物なわけで、幾らでも人の意識を変えるものを入れることができます。韓国ドラマではドラマ内で商品が出てしれっと広告していますが(某サンドウィッチ屋さんとかよ〜く見ます)、そんなものをやり放題なわけです。
さらに一挙手一投足どころか、視線の方向までがすべて把握されうるので、とんでもないレベルで分析される可能性があります。この政党を支持していて、このドラマを見て、この意見に賛同していて、というようなレベルではない、人間では言語化不可能なレベルでのグルーピングをAIによって行い、そこに対して確実に響く政治広告を打つなんてこともありえます。
なので、もちろん法規制が大事。利用規約への同意を超えるような法律が必要だろうし、利用規約への理解とかツッコミとかもより必要になると思います。
どんなデータが取得されているのかはぜひとも透明性高く、明らかにして欲しいと思います。なのでプラットフォーム企業に独占させるのではない「分野間データ連携基盤」のような考え方は、支持したいです。
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