マニラKTV☆カラオケ物語14
【前回までのあらすじ】
ショッピングセンターで何でも買ってあげるとラーニャに言うも
何も欲しがらない。あまりにも拍子抜けした健太であるが
この後に厳しい現実を思い知ることになる・・
さあホテルに戻ってこれからと思った矢先、突然帰られてしまう。
すっかり傷心となった健太は部屋に帰ってふて寝をする。
そしてその後に藤田さんから彼女の従妹を食事に連れてって
くれないかと頼まれる。とんだお荷物を背負込んだと落込むが
グレイスのあまりの可愛さに健太は驚く。そして明るく人見知り
しない性格に徐々に惹かれつつも苦悩は続く。 そして部屋にグレイス
を置いて出かけて戻った所、朝突然ラーニャが訪ねて来て泡を喰う。
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見たこともない番号からの着信である。
『シノ ポシィラ?(どちら様ですか)』俺は少々戸惑いながら出た。
『ハロー、ミシェルよ』
『お願いがあるの、パパには黙ってて・・』
少しばかり罰が悪そうにミシェルは言った。
やっぱりさっき見かけたのは間違いなかったようだ。
『突然消えたのはびっくりしたぞ』
『それに藤田さんが心配してる、早く戻れ』
俺はあきれ返りながら吐き捨てた。
『健太の姿が見えてびっくりして・・』
『とっさに目の前の「バリオフェスタ」に隠れたの・・』
『いま戻ったわ、でもパパの機嫌が悪いの・・だからお願い』
『朝までグレイスを預かってほしいの』
自分のことは棚に上げて、全く勝手な言い草をミシェルは言った。
『分かったよ』
身勝手なミシェルの言動であったが渋々容認した。
何しろここはアウェイである、現地のフィリピン人とやりあっても得策はない。
そしてタクシーでマカテイシネマスクエアの向い側にあるサウナの前で下車した。
ゆっくりと風呂につかり、マッサージで旅の疲れを癒した。
2時間ほどの滞在で帰路についた。
タクシーは深夜のマビニ通りを突っ走る。
20分ほどの乗車で、ホテルの玄関先に到着した。
エレベーターを上がり、ルームキーを差し込んで、部屋へと入り恐る恐るベッドに近づいた・・
グレイスはベッドでシーツをかぶり寝息を立てていた・・
俺はホッとしてそのままソファーに座りこんだ。
1分もたたずに俺は、深い眠りについていた・・
プルルルル、プルルルル・・ベッドの備え付けの電話が鳴っている。
時計を見るとまだ6時半だ、俺は起き上がって受話器を取った。
『おはようございます、フロントです』
『ラーニャさんという方がお見えになってますが』
『お部屋の方にお通ししてよろしいでしょうか?』
フロントから想定外の電話に、俺は眠気が一気に吹き飛んだ、心の中でヤバイ!ヤバイ!と叫んでいた。
『ありがとう、ロビーで待たせといて下さい』俺は平静を装って言った。
『承知しました』そう言いフロントのスタッフは電話を切った。
『おい!起きるんだ』俺はグレイスの体を揺り起こした。
グレイスはゆっくりと起き上がり、そのまま俺に抱きついてきて離れようとしない・・
そしてグレイスのうなじの辺りから漂うなんともいえない甘い香りが、こんな状況下であるのにかかわらず俺の股間を刺激した。
まいったな・・もしかして嵌められたんではないか・・
そう思った矢先である、部屋をノックする音が聞こえた・・
俺は心臓が張り裂けそうになりながらも『フワッグ カン マグアララ(心配いらないよ)』グレイスにやさしく語りかけた。
俺はドアのところまで行き『シノカ?(だれ?)』とぶっきら棒に言った。
『健太、私よ・・』
つづく
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