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マニラKTV☆カラオケ物語26


時間は19時45分を過ぎたあたりで、ナンシーとノエルと初老の男性の3人組は会計を済ませてお店を後にした。

「ところで部長、申し訳ないですが明日は僕だけ早いんで、ホテルに戻ったら早々に休ませてもらいますね」

いつもはサトシ君の言葉に「何だ付き合い悪いな」と文句の一つも言う部長であるが、なぜか「うんうん分かった」とニコニコしながら頷いた。

島田部長は居ても立っても居られない感じで「健太さん、お願いします!今晩にでもそのお店に連れてって下さい!」と懇願してきた。

「島田さん、それはかまわないよ、でもなるべく同伴のお客さんと被らないように時間を遅めにしましょう」

「ところで島田さん、たまには気分転換にエドコン(パサイのゴーゴーバー)にでも行ってみますか?」

部長は顔をしかめながら「いや~でもあの娘たちって誰でも出来るんでしょう?どうもそういうのダメなんです」

「僕って愛がないSEXというものが、どうしても理解が出来ないんです・・すいません」

大きな体をすぼめながら申し訳なさそうに、部長は言った。

「それから・・何度もお願いしてすみません、一人でタクシーとか乗れないんで一緒に行ってもらえませんか?」

俺は苦笑しながら「それでは23時過ぎにホテルに迎えに行きますよ」と言って部長達とは一旦別れ、一人でタクシーに乗り、デジャヴに向かった。

乗車中のトヨタのカローラはまだ新車の匂いが充満していた。

車と女は新しいほうがイイよなぁ・・等と考えながら、ウインドウ越しに流れる妖しげなネオンやきらびやかなマニラの街並みをぼんやりと眺めていた。

一夫多妻の国があるように、何人もの女の子を愛することが悪いとは思わない。

しょせん人間が決めた法律なんであって、宇宙の法則からしたらどうってことないと、その時は本気で思っていた。

そして10分ほどの乗車で目的地のデジャヴに到着した。


つづく


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